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りんご

話を考えるのってなかなか難しいですね。


よければ読んでくださいな。


感想とかご意見くれたらうれしいです。


(これ…どうするかなぁ)


 鎧の男達、おそらく町の衛兵か何かだろう。そいつらに連れられていき、俺は今現在牢の中にいる。

 相変わらず何を言ってるかがよく分からない上に時折こちらを見て何かを話し込んでいておそらく今後の処遇をどうするか相談しているのだろう。

 幸いこちらに来た際に持っていた荷物は没収されなかった。だが役立ちそうな物は何も持っていない…と思う。時折SNSを見ようとしてスマホの電源を入れてしまうのが悲しい。これぞ現代っ子

 そして何より腹が減った。本来なら今頃ラーメンを食べ終わって満腹で帰宅している頃だろうか。


「す、すいません…」


 ただ待っていても何の解決にもならないので、俺は勇気を出してコンタクトを試みる。

 

「!?! ……?」


「…?」


 ダメだこりゃ、何言ってるかわかんねぇ。だんだんイライラしてくるぞこれ。

 決死のコンタクトは予想通りの失敗に終わってしまった。もう何をしても無駄なのかもしれない、自分の中でそう答えを出してまただんまりに戻る。

 やる事が無ければ寝るに限る。とくに今は無駄にエネルギーを消耗するわけにはいかないのだ。


 そうして夢の異世界生活、初日は牢の中で終わりを迎えるのだった。





-次の日-





(ガシャン!)


 物々しい音で目が覚める。よくわからないがどうやら牢の扉が開いて中に人が来たらしい。一体何が起きたというのか。

 

 寝ぼけている中、衛兵に捕まれて牢から出される。ついに処遇でも決まったのだろうか。

 少なくとも歓迎という形ではないだろう、そんな不安を抱えたまま外へ出る。


(まぶしいなぁ…)


 1日ぶりの太陽はとてもまぶしく感じる。オンラインゲームでイベントが来た際もこんな感じだった気がするぞ。


「……。 ……?」


 こいつらが何を言ってるか分からないが、牢のある建物から外に出されて色々言われた結果解放されてしまった。個人的には処刑か拷問あたりかと予想していたが、さすがにこれは計算外だった。

 

 いきなりこんな世界にきて捕まったと思いきやまた放り出される、なんて自由な世界なんだ。

 これがゲームだったらクソゲーと言って放り出していたところだ。現実はクソゲーなのかもしれない。

 とにかく最初に自分がいた場所、井戸を詳しく調べてみようか。喉も渇いたしな。

 幸い昨日通った道は覚えているのでまずは始まりの井戸へ向かうのだった。





(水うめぇ)


 久しぶりの水は美味しかった。

 

 ここに来て辺りの様子を見たが、まだ早朝なのだろうか人の気配がない。そしてこの井戸も何の変哲のない井戸。どこから見ても井戸。

 帰る手がかりが何か見つかれば良いと思っていたのだがあるのは水くらいだ。さすがに降りようとは思えないし降りてまた不審者扱いされて捕まるのもゴメンだ。


 こうなってしまうと改めてゼロからのスタートなのだと再認識してしまう。未来には不安しかない。



(とりあえず食料を探さないとなぁ…)


 こういった状況、他のサバイバルなゲームやテレビ番組でも、まず最初は飲み水と食料の確保をするのが鉄板と言えるだろう。エアプだけど。

 どうせ誰ともコミュニケーションを取る事ができないのだから無人島と同じようなモノなんだ、そう考えて食料を探してうろうろするのだった。




 さすがに店先や畑から盗んでまた牢屋行きするのだけは避けたい、そう考えるとやはり食料を見つける可能性が一番高いのは森の中だろう。

 

 町の中心から少し外れて進んだら森の入り口が姿を現した。案外狭い町だった、もしかしたら田舎なのかもれしない。

 

 森の入り口には読めない看板が立っているだけだった。どうせ「立ち入り禁止」みたいな事が書いてあるのだろうが読めないので関係ない。とにかく森の中へと進んでいく。




 森の中は少しじめじめしていて、ときおり野生動物の姿が見える。少し薄暗いので足元注意だ。

 もしかしたら何か怪物が出てきてもおかしくない雰囲気、そんな展開は止めて欲しい。


 森の中を進んで10分くらいだろうか、特に苦労もせず果実のようなものが生っている木を見つけた。人の手があまり入っていないからか同じように果実や木の実をつけた木がいくつもあるのでここはきっとオアシスなのだろう。

 あまりの空腹からか近くに落ちていた木の枝で赤い果実を落とし、一心不乱に噛り付いていく。


「これリンゴじゃん!」


 とても驚いた。馴染みのある味がしたのだ。見た目が似ていたがまさかとは思っていたがこれはどう見てもリンゴだった。

 周りに自分の見知ったものが何も無い中、いきなり自分の知っている物に出会えた感動からか少し涙ぐんでしまった。でも食べるのはやめない。


 

 空腹をある程度満たした後、いくつかリンゴと他の果実をいただいてこちらに来る際に持ってきていたリュックに入れる。そんな事をしている中、後ろから近づく影に俺は気付けなかった。


「ガウッ!ガウッ!」


 背中へいきなり重さを感じ、そして倒れこむ。何かに飛びつかれたらしい。

 起き上がって見てみると一匹のオオカミ、のような動物がそこにいた。小さいからまだ子供だろうか。これ魔物なんじゃね?

 思わず先ほど手にしていた木の棒を構える。勝てるわけがないが。

 一人で勝手に臨戦態勢を取っている中、オオカミは木になっているリンゴをじっと見ている。

 

 もしかしたらこいつも腹が減っているのだろうか、先ほどの自分と同じなのだと思いリンゴをひとつ取りオオカミに差し出す。

 やはり空腹だったのだろうかオオカミも一心不乱にリンゴを齧りだす。なんだか微笑ましい。


 

 ある程度食料も確保し、今後の食料の心配も無くなったので行くアテもないがふたたび森の中へと進もうとする。そうすると先ほどのオオカミが再び目の前に現れて獣道のようなところを進もうとする。こちらをチラチラ見ているのでついてこいと言っているのだろうか…。

 

 行くアテも無いのでオオカミについていく。道は草や木でぐちゃぐちゃになっていて非常に進みづらい。

 

 


 数十分くらいだろうか、道の無い道を進むと少し広い場所に出た。そこにあったのは一軒の小屋だった。きこり小屋だろうか?こいつはここに案内しようとしたのか?

 とにかく疲れていたので特に何も考えずに小屋に入る、中は少し汚れているが寝泊りするぶんには困らないだろう。汚れの具合を見るに人がいなくなって結構経っているのが分かる。


 中を見ていて、気付いたらオオカミが小屋の入り口付近で寝ていた。なんて自由な奴なんだこいつは。そんな姿を見ていたら自分も疲れていたので横になってしまう。


 


 衣食住、必要最低限には確保できたがまだまだここがどこなのか、どうすれば帰れるのかが分からないので不安ばかりだ。

 だが案外悪い事ばかりでは無いな、と横になっているオオカミを見ながら思う。

 そう考えている間に少しの希望が見えた2日目が終わりを迎える。


























 朝目覚めたら、オオカミは姿を消していて




 昨日採った果物が全部食われていた。




 …最悪だ。 

 

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