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ああ、わたしのお姉様!  作者: 虹毒しえら


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8/8

ごっこ遊びにて

年下の少女に狂わされる!ファム・ファタール百合


年下の少女に狂わされるお姉さんたち。

ファム・ファタールの少女達に狂わされ心乱される女性達の短編集

 芝生の揺れる音が耳に心地いい。

 昔は、ここでよくエカチェリーナとごっこ遊びをしていた。おもちゃティーカップにおもちゃのポットで注いで。お茶会ごっこなどをよくしたものだ。


「おねえさま、好きな人っているの?」


 エカチェリーナは突然真面目な顔になって言った。


 私は「好き…?私はエカチェリーナが好きよ」と返した。今思えば中途半端な返事だった。

 あの頃の私は恋愛感情を知らなかったのだ。エカチェリーナは既に知っていたのだろう。昔からませた所のある子だった。


 エカチェリーナは顔を輝かして、くすくす笑っていた。そして少しだけ悲しい顔になって、絵本を閉じた。

「おねえさま、私、王子様なんていらないの」と言う。

 エカチェリーナなら素敵なお姫様になるだろうなとぼんやり思った。同時に、胸がちくりといたかったのは、もう既に彼女が好きだったのかもしれない。


「おねえさま、わたし、おねえさまが好き」


 そう言って初めて触れあった唇は、レモンの味ではなかった。

 もっと神秘的で、甘くて、胸が熱かった。


「内緒にしてね」と悪戯っぽく笑うエカチェリーナ。

 私は固まってしまって、ゆっくりとした思考で、すごく幸せだった。


 整えたての芝生の青い香りが風になる。エカチェリーナが「お姉様~」と向こう側で手を振っている。「今行く」と煙草を火消しにねじ入れた。

 芝生が歩く度にさくさくと鳴る。ふわふわしたワンピースに日傘を差したエカチェリーナはモネの日傘をさす女のように美しい。その腰を抱いてつむじにキスを落とす。


「まあ、お姉様!キスをするならちゃんとしてくださいな」

 と文句を言うわがままな可愛い恋人。屈んでお望み通り唇にキスをすれば、嬉しそうに手を握ってくる。


 エカチェリーナは昔を覚えているだろうか。あの日から私はお前の虜なのに。然り気無い仕草でエカチェリーナの唇を指でなぞる。柔らかくて艶やかな唇。

 これが私ものということが嬉しくて、もう一度キスをした。


「お姉様、外だけどよくて?」

「見せつけてやれ」


 エカチェリーナとのキスは魔法だ、私を熱くさせる。幸せがどうしても満ち溢れて口から出てきそうだ。なんの女神の気まぐれかは知らないがエカチェリーナが私を好いてくれていることが、この上なく嬉しくて、この時間が堪らなく大切に思えた。

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