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人類の罪  作者:
3/24

ワイルドなお兄さん

ざっ、ざっ、ざっ、ウィー

(自動ドアが開く音)


聞き慣れたメロディーに、開いた自動ドアからは、涼しい風が吹いて来る。


何食べようかなぁ〜と弁当コーナーをじっと見ていると、後ろから来る人の気配に少し横にずれる。


「おっ!唐揚げあるじゃん〜」


ラスト一つの唐揚げ弁当を見つけ、思わず声が漏れる。

手を伸ばした、その瞬間。

もう一つの手が見える。やたらと白くて、長い指に思わず見入ってしまうと、唐揚げ弁当がなくなった。


「うぁ…」


唐揚げへの気持ちからかぁ、思わず漏れ出す声。


「………………………」


うっ、め…視線を感じる……。俺はいないぞー、いないぞー、気配を消そうとしたが、その気配は離れない。

視線の方を見ると、じっとこっちを見ている目とぶつかった。

……やたら意志が強い目だ。

長袖から覗く手首は細く、妙に引き締まって見えた。…なんか、野生動物みたいな雰囲気だ。

こりゃすげぇ〜ワイルドな細マッチョがいるじゃん。


「唐揚げ食べたかったのですか?」


とこりゃまた、男が憧れる低音ボイスな事で〜


「あー…いや…そんな事ないですよ〜」と手を振って拒否するが、ぐぅー……ぐぅーぎるるる、こんなに自分のお腹が憎いのは初めてだぁ


「ふっ……ふはは」

肩を揺らして笑うその姿は、見た目とは違って妙に子どもっぽかった。


おー、ワイルド系で綺麗な顔をして意外と豪快な笑い方をする人だぁ。おらの顔は真っ赤だそぉー


「ふっ、どうぞ。唐揚げ弁当譲ります。」

とワイルドお兄さんからは唐揚げ弁当を譲ってもらった。


「あ、あ…ありがとうございます」

蚊細い声で答えた後、弁当を受け取ってそそくさとレジへと向かう。


「温めてますか?」と聞き慣れたコンビニ店員の声。

「あっ、大丈夫です。」と答える。


「袋はいりますか?」

「ください〜」


ピィっ


「568円です。こちらでお会計ください。」


最近すっかり増えて来たセルフレジ、ポケットから財布を探していると……ポケットに入れた手が固まる。

右ポケット。ない。

左ポケット。ない。

後ろポケット。ない。

も…一回…ひ、ひだ、左ポケットと手を奥まで入れると、なんとポケットに穴があるじゃないか

まぁ、iPhoneあるし、電子決済で…ふぅ……やべぇ〜

iPhone家だわぁ…詰んだ。


「…あのー、すみません。」

店員を呼ぼうと手を挙げようとしたその時、後ろで肩を叩かれた。


「くぅ、ふっ、ふふふ」

振り向くと、肩を震わせたワイルド兄さんがいるじゃないか。

「あっ、すみません。店員さん呼んだら退きます。」


「ふっ、だっ、ひぃ、、ふぅー……大丈夫ですよ。久しぶりに面白いものを見ましたのでそのお礼です。」


そう言ってお兄さんはiPhoneを取り出して、颯爽と電子決済をした。


ピィ


何か起きたのか認識するまでにラグが発生した為か、気付いた時には会計を終えていた。


「あっ!ちょっ、え?いやいや、ダメですよ!自分で払いますから。」


「気にしないでください。久しぶりに笑ったので感謝したいぐらいです。」


と言って、ニコッと笑うお兄さん。長い指を振りながらさよならする様子に、また見惚れてしまう。


「…さ…ゃくさん…おきゃくさん!後ろ並んでますよ。」


店員の声に引き戻され、唐揚げ弁当を片手に持ち、汗が滴るアスファルトの道を通って自宅に帰ると、違和感を感じる。


「…………ん?郵便ポスト開いてたっけ?」


気になって、ポストを覗くと中に入ってたのは、封筒だった。


「……なんの通知だろう。」と封筒を手に取り、宛名を見ると、「佐伯 正樹様」自分へのは知らせだった。


誰からだぁ〜と封筒を裏返すと「ん?マジで誰からだぁ?」差出人の名前は、見慣れないものだった。


まぁ、いいかぁ。家入ってから見よ。


封筒を片手に玄関へ向かう。


強い日差しが照りつけている。気付けば気温も随分上がっていた。


けれど、不思議と汗が出ない。


正樹は気付かなかった。


自分の部屋の窓の向こうに、誰かが立っていることに。

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