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1/8

金欠

ヒロイン登場は8話からになります。

それまでは主人公の駄目人間っぷりをご堪能下さい

影打 桐馬はパチスロを打っていた。

金も無いのにだ。

既に大学を退学しバイト生活の合間にギャンブルだ。

今月の家賃も怪しく電気やガスの支払いもギリギリである。

そんな生活の理由は明白だ。

人々を救う希望の光。

つまり「ヒーロー」だからだ。


---


西宮すずはダンジョンに潜っていた。

彼女は所謂、探索者である。

それも210万人の視聴者を持つ配信者でもある。

通常の探索者はダンジョン探索中は配信が義務付けられている。

ダンジョン内でも法律はあるからだ。

正直に言ってダンジョン探索者はガラが良いとは言えないヤクザな商売だ。

彼女の様な良心的な探索者は多くは無い。

故に配信には多くの視聴者が付くのだ。


手には短槍とバックラーで軍用ヘルメットに防弾チョッキだ。

それに大ぶりのリュックに撮影ドローン。

腰にもサバイバルナイフも見える。

実に堅実な装備と言える。


今日は兵庫県六甲山に新たに出来たダンジョンの探索だ。

足元は泥でやや泥で濘み歩きにくく適当な休憩ポイントが見当たらない。

2層に着くまでに4回会敵しているのだ。

新興のダンジョンとしては、やや難易度が高いのだろう。


「皆様~。六甲山の新ダンジョン探索、楽しんで貰えてますか~。今回の配信は4層までを予定しております」


彼女の声は明るくくおっとりとしている。

そんな彼女とダンジョン探索と言う荒事のギャップが視聴者を惹きつけてやまないのだ。

ダンジョンを早足にて突き進む。

日没までの帰りの時間を考えればギリギリになるからでもある。

合間での視聴者のチャットに返答も欠かさない。


「次の歌枠配信ですか~。来月くらいに予定しておりますよ。事務所との調整もありますから~」


彼女はアイドルでもあるのだ。

ダンジョン攻略者でアイドル、非常に希少な存在だ。 

今後、更に伸びる可能性に満ちた事務所のイチオシ。

そんな彼女のスキルは「棒の伸縮」一見すると地味であるがこれが非常に強力なのだ。

熟達すれば伸縮の速度は上がりロングレンジから一方的に秒間60回以上の突きを放つ。

これは如何なる防御スキルや槍術スキルをも上回る攻撃力を持つのだ。

実際、彼女の前に立つものは瞬く間に蜂の巣となる。

例えランカーであっても。


「そうですね~。こないだの合同訓練でなんと!79位の方に勝てました!やっぱり、このスキルは凄いです。ドンドン上を目指してまいります。引き続き応援よろしくお願いしますね~」


視聴者からの祝いのコメントとスパチャが滝の様に流れる。

みんな西宮すずと言うアイドルに心酔しているのだ。

間違い無く彼女は大成すると確信している。


『すずちゃんはやっぱり最強!』

『上位ランカーも目指せるぜ』

『それよりアリーナライブ楽しみだな~』

『すずちゃん、ハァハァ(*´ω`*)』

『俺はもう堪らん!』

『ぬるぽ』


⋯人気は高い。

ガッ

既に3層を抜け4層に入る。

5層の手前まで行けば今日の配信は終わりだ。

すずは頬を叩き気を引き締め攻略に望む。

この層からは更に足元の泥濘みが強くなってきた。

六甲山の伏流水が流れ込んでいるのかも知れない。

おっとゴブリンのパーティーだ。

すずのスキルが火を噴いた。

目にも止まらぬ槍のガトリングだ。

ゴブリン達はミンチより酷い有り様になった。

読者のみんな、誤解の無いように言っとくがゴブリンは考えているよりずっと強い。

某自由騎士も序盤でやられたりしている。

この世界でもチンパンジーが刃物を振り回していると考えて良い。

どうだい、怖いだろう?

相手が弱いと言っても油断してはならないのだ。


それはさておき「西宮すず」はこの日、首が捩じ切られた状態で他の探索者に発見された。


---


影打 桐馬はパチスロで久方ぶりに二万円ほど勝って喜んだ。

これで家賃を払えると。

そんな時、スマホやテレビなどのメディアが「西宮すず」の死亡を報じた。

インパクトは大きい新進気鋭のアイドルでランカーを確実視された人間がアッサリと配信が終わった直後にだ。 

つまり地上に戻る直前の1層。

新人でもパーティー組めば余程の事がなければ何とでもなる階層だ。

「西宮すず」が遅れを取るはずもない。

ならば可能性が大きいのは異能個体の出現か人間の仕業だ。

世間に憶測が蔓延する。

そんな時、神戸の街にモンスターが現れたと通報があった。 

発見者の友人達は皆殺しにあい這這の体で逃げ出し警察に駆け込んだのだ。

確実だ。

ダンジョンから異能個体が出てきたのだ。

異能個体の説明は簡単だ強いモンスターが「スキル」を獲得した個体を言う。

時折、浅層でもこの様な異能個体は出る。

当たり前だろう?

浅いからと言ってモンスターが弱いなんて誰が決めたんだ。 

私ならそんな事しない。 


「いたぞ!各自、発砲の許可をする。絶対に逃がすんじゃないぞ!」


伊丹駐屯地から派遣された自衛隊の尉官からの怒号が飛ぶ。

次々と隊員からの射撃が飛ぶが異能個体はビルの側面を駆け躱して行く。

そしてその行く先は神戸三宮のセンター街。

追いすがる自衛隊も流石に発砲は出来ない。

近接戦しかない小銃に着剣する。

だが、その間にも市民の命が狩り取られていく。

まさしくセンター街は狩場と化している。

そんな中、そのスキルの燐光輝く虎の様な異能個体を吹き飛ばす市民がいた。

探索者の伊藤 庄司。

スキル「加速」を持つ有望な若者だ。

そこにスキルを発動させた自衛隊員が逃さず銃剣を突き込んで行く。

だが、異能個体は意に介さず隊員を振り切り更に市民を刈り取って行く。

その度に身体の傷が癒えて行く。

なる程、彼のスキルは「生命力の簒奪」だな。

大都市になる程、強力になるスキルだ厄介だね。


合流した探索者と自衛隊による討伐戦が繰り広げられる。

異能個体を傷つける度に市民を狩り傷を癒す繰り返し。

そのうちに探索者や自衛隊にも被害者がで始める。

ランカーも合流し始めるが決定打を打つことが出来ないがやがて市民の避難が完了した様だ。

ここからはスキルと小銃を存分に使う事ができるね。 

小銃の一斉射撃で追い込んで行く。

そこにランカー達のスキルが叩き込まれた。

流石に逃げ出し駆けていく。

その先で彼は出会った。

パチスロで今月の家賃を払えると喜んで浮かれていた影打 桐馬に。

2人?の目が合う一瞬、時が止まった様に彼は動けなかった。

そこに銃弾が彼の頭を貫き倒れ伏した。


「大丈夫か!そこの青年!」


自衛官からの声が飛ぶ。


「なんか、あったんですかね。このモンスター?」


「避難警報聞いてなかったのか死ぬ所だったぞ!」


「あ~。パチスロいたんで気が付かなかったっす」


「なんて呑気な⋯見給えこの惨状をどれだけ死んだか分からないぞ」  


自衛官はバッと手を振り促す。

確かに凄い惨状である血と肉で染まった床に商店のウィンド。

いや~強かったね今回の異能個体は。

大丈夫だよ、流石にこんな事は少ないから。


「そっすね。今後は気をつけます」


そして影打 桐馬は帰路につくのだ。

1DKのアパートの我が家に。

ヤカンで湯を沸かし注いで3分。

カップラーメンを啜る。

あっという間に無くなった。

 

「もっと良いもの食いて~。金ないけどよ」


⋯そんな生活の理由は明白だ。

人々を救う希望の光。

つまり「ヒーロー」だからだ。



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今回の異能個体君のリザルトだよ~


市民 1128人


自衛隊 24人


探索者 6人(西宮すずとランカー2人含む)


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