鑑賞会=コンサート!? #05
「はいっ、では休憩です!ヨウ様の動きも良くなってきました!」
「ぜえ、はあ………あ、ありがとうございます……」
私がパン、と手を叩くとヨウ様はへたりこんだ。………やっぱり、さすがアドラオテル様の側近だ。まだ練習四日目なのに、自分の出るパートは完璧にマスターしてしまわれた。一応簡単なものにしたけど、ダンスは社交ダンスや民族ダンスしかないユートピアで、こんなに動けるんだもの。
でも、凄いのはやっぱりアドラオテル様。私はちらり、とアドラオテル様を見た。
「ヨウちゃん、水飲む?」
「わ、私のセリフです!」
「俺はまだいー」
アドラオテル様はそう言って笑っている。ダンスは全てマスターしたどころか私だけのパートでも細やかな演出をして下さる。『ロミオとシラユキヒメ』では歌う私に手を差し伸べ優しく引いてくださったり、『ベアーヒーロー』では私と一緒にアクロバットをしてくださったり………。
もう曲もフリも覚えていて、『ここに俺と父ちゃん、ヨウちゃん、ばあちゃんの会話パートを入れた方がいいかも』、『こうした方がきっといい』と言ってくださってる。おかげで私の負担は激減、自分のことにも集中できる。流石皇子でありながら俳優もやっている御方で………純粋に尊敬の念を抱いた。
「……アドラオテル様はやっぱり凄いです」
「ん?呼んだ?」
「ぶっ!」
「うおっ」
唐突に現れたアドラオテル様の前で水を吹き出してしまった。ゴホゴホと咳き込むと、背中を摩ってくださった。
「ごめん、急に話しかけたな」
「だ、大丈夫です………」
「ならいいけど………それより、レイチェルは練習しなくていいのか?俺達の練習ばっかり見てるし、……また俺の誕生日の時みたいに倒れたりしないよな?」
「そ、その心配はございません!ちゃんと時間を決めてやっているので!元々殆ど覚えてますし……!
あ、合わせてみますか?」
「おっ、それいいな。レイチェルも練習出来るし、……その、……」
「?………わっ!」
アドラオテル様がもごもごと言い淀む。首を傾げていると、ぎゅう、と抱き締められた。
「____レイチェルと、踊りたい」
「___」
低く囁かれた声に、ぼふ!と音がつきそうなくらい熱が集中した。………本当にずるいです、アドラオテル様…………。
私はそんなことを思いながら、アドラオテル様に抱き締められていた。
* * *
ダンスの練習を始めて5日目。今日はトレーニングルームで通しをセオドア様に見せる日だった。何故か大おばあちゃんとアルティア皇妃様がいてびっくりしたけど、大きなミスもなく通せた。
全てが終わると、セオドア様が泣きながら大きく拍手をした。
「素晴らしい!今世で初めてコンサートを見た気分だ!こんなっ、……感動するものを………っ」
「こ、こんせ………?」
「父ちゃん泣かないでよ、みっともないから」
「ぜえ……あ、ありがたき幸せ……はあ……」
「ん~、楽曲もいいし、曲も構成も魅せる演出も妥協点ね。ヒマワリみたいには行かないわねえ」
「いやいや!馬鹿なのサシャ!?私びっくりしちゃったから!なにこれ!レイチェルちゃん凄すぎない!?歌姫じゃん!」
「だから歌姫なんだって。………あの子は昔からずーーーっとやってきたから、違って当たり前よ。
よく出来てたわ、チェル」
「あ、ありがとう………そ、それより、何しに来たの?大おばあちゃん」
「ん?それはね~、『舞台』の下見と衣装のことで来たの」
「え?」
『舞台』?孤児院でやるんじゃないの?疑問を持ったのは私だけでなく、セオドア様もだった。
「何言っているんです?孤児院でやるつもりなんですが………今からでは龍宮を貸切には出来ませんし……」
「セオくん、だーれがこの世界でやるって言った?
場所は___そう!ここ!」
「!?」
「は!?」
「わっ!?」
「ええっ!?」
アルティア様がそう言った瞬間視界が変わって___ライブ映像で見た360度何処でも見れる会場………コルーンの有名コンサート会場、ヒマワリ・スタジアムに居た。




