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鑑賞会=コンサート!? #01

 









 「はあ~~~………………」




 雨季という季節は憂鬱だ。

 セオドアはしとしと、と音を立てて降る外を見ながら溜息をついた。




 梅雨で気持ちが下がる、というのも勿論あるが、それだけじゃない。俺の頭を悩ますのは___孤児院の事だ。




 リンドブルム孤児院。約500人の子供達が過ごす孤児院だ。俺は20年程この仕事をしているからわかる。雨季の時期というのは子供達が喧嘩しやすいのだ。理由は外で遊べないから。



 子供達は様々な遊びでストレスを発散させる。体を動かしたり、何かを見たり、そういうことで成長し、学び、生活する。



 けど。



 雨季の時期は当たり前だけど外で遊べないから、それが出来ないのだ。室内にも遊べる場所はあるが、狭くてとてもじゃないが全員は遊べない。時間をずらしたり、座ってできることしか出来ないゆえ子供達はピリピリしている。




 だからこそ、雨季の時期は女優や俳優、オペラ歌手、音楽隊等を招いて『鑑賞会』をするのだが………昨日、『鑑賞会』のある10日後に来る予定だったシースクウェア大国の有名オペラ歌手が大雨続きだということで来れなくなってしまったんだ。




 頭が痛い…………これで『鑑賞会』がなくなってみろ。子供達はがっかりするだろう。だからといって、10日で出演交渉なんて出来ない。



 どうすれば___「父ちゃ~ん」………。



 考え事を邪魔するように部屋の扉が思いっきり開かれ、息子のアドラオテルが現れた。俺は溜息をついてからアドラオテルを見る。




 「………アド、頼むからノックぐらいしろ」



 「いーじゃん別に。それよりさぁ、三日後『ドラゴン仮面』の悪役………って、どうしたんだよ。顔真っ青だぞ?」




 アドラオテルはそう言って俺の顔を覗き込む。本当にアミィールに似てるな。流石俺達の息子………じゃなくて。



 「今それどころじゃないんだよ。お前も知ってるだろ?『鑑賞会』の話」



 「あー、オペラ歌手が来れなくなったってやつ?いいじゃん、『ドラゴン仮面』やれば」



 「それは去年やっただろ?今年は年長が多いから違うことをしたいんだ。それこそオペラとか、オペラじゃなくても歌や踊りでもいい。


 皆が大声を出せるようなものでもいいな………とはいえ、10日じゃきっとそんなこと出来ないし…………はあ」





 俺は息子に何を愚痴っているんだか。ほら、アドラオテルが首を傾げてしまった。やっぱり無茶だよな………仕方がないけど___「歌と踊り、できる奴知ってるぞ」……!



 「本当か!?アド!?」



 「わっ」



 俺は思わず立ち上がってアドラオテルに詰め寄る。アドラオテルは色違いの目をぱちぱちさせながら言う。




 「うん、すげー綺麗な踊りをして、すげー綺麗な声なんだけど………」



 「誰だ!?今人気のオペラ歌手か!?それともアイドルとかか!?」



 「レイチェルだぞ?」



 「は?」




 俺はアドラオテルの言葉に真顔を作った。しかし、アドラオテルは辞めない。



 「レイチェルは凄いぞ。"歌姫"って奴で、すげー綺麗なんだ。とにかく綺麗なんだ。まじで綺麗なんだ」



 「………アド、こうは言いたくないが、レイチェルちゃんが歌ったり踊ったりなんて想像できないぞ。それに素人の踊りなんて年長者には……」



 「むっ、素人じゃないぞ!"歌姫"だ!」



 「恋人が好きなのは微笑ましいが、今は孤児院の話をしているんだ」



 「………父ちゃん、信じてないでしょ」



 じと、とアドラオテルに睨まれる。怒っているのは伝わるけど、惚気を聞いている暇は本当にないのだ。



 「アド、レイチェルちゃんの話はまた今度。あと『ドラゴン仮面』の悪役はやらない」



 「…………なら………父ちゃんを連れてく!」



 「は?なにを___っわ!」








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