周囲の気持ち #02
私がそう聞くと、アミィールちゃんが「ふむ」と少し考えてから口を開いた。
「あまりいい表現はされませんでしょう。この世界は未だに身分の縛りは強いので。誰もがレイチェル様の出生を気にします」
「そうよね~、世間の風当たりが強いわよね~」
「ですが、ここは"サクリファイス大帝国"です」
アミィールちゃんは凛とした声を出しながら、真っ直ぐ私を見つめた。その瞬間、背筋が凍った。………生意気ね、この子、結構強いわ。
「身分よりも実力を重点に起きます。結論から言うと、どのような身分でも"民を思いやり、努力を惜しまず、前進すること"が出来る者であれば問題はありません。
本当に結婚をするのならば、引き離すよりも辛い試練が沢山あります」
「それは当たり前だ。上に立つ者はそうでなくてはならない。………そのうえで、チェルならできると断言出来る。
想いで乗り越えられないのなら、元々こんな話に発展しなかったのだから」
「…………ですね、私も同感です。2人なら………乗り越えられるでしょう」
セオドアくんの言葉に私を含めて全員が頷いた。レイチェルは温厚だけど私の曾孫。逆境でも強くたくましく生きられるだろう。
つまり、問題は。
「…………うちの男性陣をどう説得するか、よ……………」
「あの、その男性陣というのはどのような御方なんですか?」
「1人は爆弾のような男、もう1人は頑固な男よ。………あらやだ、どっちもアルティアの夫じゃない」
「………」
「………」
2人は黙ってしまった。………よほど苦労してきたのだろう。気持ちは分かる。言葉じゃ聞かないタイプよね。ああいう男達って。
そう思わず納得してしまう私を他所に、クラウドが口を開いた。
「こればかりは俺達がフォローしつつ2人を引き合せるしかないだろう。タツキもロックも言葉じゃわからない」
「………わたくしのお父様もです。なんとかその場を設けましょう。わたくしもちゃんとレイチェル様とお話したいですし」
「んじゃ、決まりだね。この問題はここでは解決できないから私達で上手くやってこー!おー!」
「………」
「………」
「………」
3人は怪訝な顔で私を見てる。………なんとなく、私もこの子達に受け入れられないといけないな、と思った。クラウドはこれが普通だから諦めたけど。
_____こうして、『アドラオテルとレイチェルを応援しようの会』は終わったのだった。
* * *
「レイチェル様!おめでとうございます!」
「あ、ありがとうございます」
いつものお茶会、開口一番にセラフィール様がおめでとうと言ってくださった。理由は言わずもがな、アドラオテル様とのことである。セラフィール様はとても嬉しそうな顔で言葉を紡いだ。
「レイチェル様とこれでちゃんと姉妹です!わたくし、嬉しくてずっとこのお茶会の時間を待ち望んでいたのです!」
「あ、や、で、でも………まだ婚約者ですし………」
「あら?結婚をするのではないのですか?もうわたくし達は大人ですよ?」
「ですが、私はまだ修行中の身の上で………アドラオテル様に見合う淑女になるまで待ってもらうのです。アドラオテル様には申し訳ありませんが………」
「レイチェル様はもう充分素敵なのに、ストイックですね!」
「う………」
そう言ってにこにこするセラフィール様に怯む。すごく前向きに捉えられている………………。
そんなことを思いながら、クッキーを食べた。




