結ばれた日の『翌日』 #04
これが嬉しいではなくて何が嬉しい?
レイチェルちゃんが初めての満面の笑顔を見せてくれた。最初こそアドラオテルと上手くいかなくて泣いていたんじゃないかと心配になったが、それは完全なる杞憂だったのだ。振られたら普通あんな笑顔にならない。それどころか、嫌なことなんて1度もないと断言したんだ。
つまり、だ。
アドラオテルはとうとうレイチェルちゃんに告白して、レイチェルちゃんはそれを承諾して………それこそ少女漫画のように、恋が実ったのだ。あのアドラオテルに彼女が出来た。いや、婚約者か?元々婚約者だし………次のステップと言えば結婚!?
いや、落ち着け。落ち着け俺。レイチェルちゃんはそのことを隠そうとしたんだ。あの性格だ、きっと「ふさわしくなるまで明言はできません!」なんだろうな。つまり内緒で付き合っているんだ。もうその時点で青春だよな?
そんな青春を邪魔したくないから本人たちの口から聞くのを待とうと思ったけど………あぁぁぁぁぁ早く聞きたい!どうやって告白したのかとかどういう流れでそうなったのかとか子供は何人欲しいとか部屋はどこがいいとか!聞きたい!
「………セオドア、やっぱり口から全部出てるぞ」
「あ。………レイ、今聞いたことは他言無用にしろ。アミィにも言うなよ?」
「アミィール皇帝様にもか?セオドアにしては酷いことをするじゃないか。何でもかんでもアミィール皇帝様に報告するのに」
「あ、愛が薄れたわけじゃないぞ!………俺は、アドの口からちゃんと結婚したい、って聞きたいんだ。そしてレイチェルちゃんに"うちの息子を貰ってやってください"って言うんだ!いいだろ!?」
「貰ってやってくださいってな………どちらかと言うと嫁ぐのはレイチェル様じゃないのか?」
「あ、………そこも考えなくては………アドと離れ離れなんて嫌だけど、向こうの家族だって嫌だよな。勝手に花嫁修業させているけど、元々俺達は"アルティア様とサシャ様のほとぼりが冷めるまで我慢しよう"って事で成り立ってるわけであって永遠にここで暮らすなんて決めてないじゃないか!
どうしようレイ!俺はどうすればいいんだレイ!?」
「俺に聞くなよ。でもそうだな………俺の子供にお前の孫を仕えさせたいから此処に嫁いで欲しいな………」
「俺もレイトくんに仕えて欲しい!ならやっぱり………いやでも…………」
ぐるぐると思考の海に飛び込んだ俺に、レイは半ば呆れ気味に言う。
「………それより、もう夕食の時間だぞ。皇族食堂に行かなくていいのか」
「ハッ!そうだった!行くぞレイ!」
「はいはい」
俺は慌てて扉を開け部屋を出た。でも、向かおうとする足が止まる。アドラオテルの部屋の前に、セラフィールとフィアラセルが居たからだ。2人は俺の存在に気づかずに話をしている。
「いい?フィア。わたくしがノックをして中にはいってアドを誘き寄せます。フィアはわたくしの合図を聞いたらアドを捕縛してください。
合図は"レイチェル様に謝りなさい!"です。いいですか?」
「うん。で、僕はレイチェルの部屋に転移すればいいんでしょ?でもお兄様が逃げ出したらどうする?」
「その時はわたくしの魔力感知で炙りだします。とにかく、なんとしてもアドから話を聞き出さねばなりません。ここに自白剤入りのクッキーがあります。
失敗は許されません。………」
「…………」
「…………」
セラフィールとフィアラセルの作戦を聞いた俺とレイは黙る。やっぱり2人ともちゃんとアミィールの子供で。惚れた腫れたをわかっていないこの子供達に軽く目眩を起こした。
「………レイ、俺、早くアドの口から全てを話させたい」
「………ですね。話すまでアドラオテル様は命まで狙われるのかもしれません」
そんな話をしてから、俺は子供達に「やめなさい!」と注意をしたのだった。




