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離れ離れ #02

 





 ____下界・別荘にて。



 「……………おい一花」



 「なーに、たっちゃん」



 祖父母はある一室の前で屯していた。龍己は一花に尋ねた。



 「チェルのインフル、治ったんだよな?」



 「うん。ロックくんがもう大丈夫だー、って。大変だったんだけど熱はもう下がったよ!」




 「じゃあなんで…………まだチェルの顔が赤いんだあ"ぁ!?」



 「いだっ」



 龍己は半ば八つ当たり気味に一花の頭をスパーンと叩いた。指で差された先には____クッションを抱き締め、顔を真っ赤にしているレイチェルが。



 レイチェルの耳にはその大声も叩いた音も聞こえてないらしく、ベッドに投げ出していた鏡を手に取って自分の顔を眺める。




 「わ、わわわっ、私も好きです、同じ気持ちで、その、嬉しいです!…………うぁぁぁぁぁ!顔があっついよぉ!」



 レイチェルはそう叫んでまた鏡を投げ出してクッションを抱き締めた。そして1人で悶えている。



 「時間が経てば経つほど言い難い!なんで私、倒れちゃうの!?おかしいんじゃないの!?ぁぁぁぁでも!友人としての好きかも!そうだよね!………って、そんなわけあるかぁ!


 アドラオテル様の好きはそんなに軽くない!ドラゴン仮面とハンバーグにしか言わない!………あと、私と………ってちがぁぁぁぁう!」




 レイチェルは顔を真っ赤にしながらその場でキャーキャー騒いでゴロゴロする。それを見ただけで龍己はギリギリと歯ぎしりした。




 「なんで俺の孫があんな脳内お花畑状態なんだ……おい一花ぁ!」




 「いちいち叫ばないでよ。よーく考えてみなさい?勝花の娘よ?そりゃあ血筋よ」



 「大元はてめえだクソが!!!………あ"ーーーーイラつくぜぇ………うちの孫を誑かしたあのガキブッ殺してきていいか?」



 「やめてよ。いい歳なんだから子供の恋愛に口出さないの。


 チェル~、ご飯が出来てるから出てきなさ~い」




 「…………食欲無い、食べない、ダイエットする」



 「…………恋する乙女も大変ねえ………」





 一花は大真面目にそう返すレイチェルに呆れたのだった。




 * * *







 「…………アドの為になにかしたいです」



 「何故それを私に言う?」




 セオドアくんは大真面目な顔で女装しながらそう言った。たまたま城に来る用事があって来たら、セオドアくんに呼び止められた。今日は気分じゃないから~で躱そうとしたけど、「女装するから!」と強引に呼ばれ、三十路の女装を見てる。成長してる、頭のおかしい方向に。



 私はそう思ってから大きく溜息をついた。



 「惚れた腫れたは本人がどうにかするべきでしょ~。過保護か」



 「その惚れた腫れたに無理やり持っていったのはアルティア様です。責任を取るべきですよ」



 「責任ってね~、あの子達はもう大人でしょうに。大体、私達が何をするって言うのよ。レイチェルちゃんに"返事はよ!"って言うつもり?」




 「そうではなく………もっと、もっとロマンチックにしたいのです。せっかくの告白ですよ!?親としては応援したいじゃないですかぁ………」




 「…………」




 とうとう泣き出したセオドアくんに溜め息が出る。更年期は涙腺が緩くなるというけど、この子の場合元々涙腺が著しく弱い。そして、この涙に弱いのが私である。




 「………わかったわよ。私達が手伝ってあげる」



 「本当ですか___って、私達?」




 首を傾げるセオドアを横目に、私はサシャから受け取った携帯に触れた。触れるとモニターが現れて、サシャがそれはもうニコニコしながら現れた。



【「呼ばれて飛び出てジャジャジャジャーン♪」】



 「わっ、サシャ様!?」



【「やっほーセオドアくん………って、可愛い格好してるじゃない。それ趣味?」】



 「ち、違います!」




【「あっはは、必死~。冗談よ、会話は聞いてたわ。チェルとアドラオテルくんをくっつけよう!ってことでしょ?


 アルティアもいいの?」】



 「ええ。本当は自分たちで苦難は乗り越えて欲しかったけど、セオくんは見ていられないみたい。


 こうなったらサシャに任せるしかないわ」




【「合点承知之助~☆大船に乗った気でいなさいな!根回しはしておくから、これからのプランを話し合うわよ!」】



 どこかの聖女もどきと同じようなノリの悪友に、私まで溜め息が出た。本当に任せていいのかしら………。




 そんなことを思いながら冷めてしまった紅茶に口をつけた。












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