実家満喫中! #05
【「チョー楽しい!ゴールドソーサーのジェットコースターはやっぱり偉大よ!ロックったらね………」】
「…………」
10時、アドラオテル様とセラフィール様、フィアラセル様が寝ると言って部屋に戻っていったのと入れ違いで母さんから連絡が来て、もう10分もこれを聞かされている。ほとんどお父さんとの惚気。親のそういうの聞きたくないのに、この母親はぺらぺらと話している。お父さんは今お風呂だから暇なのだ。
【「どう?久しぶりのコスタ・デル・ソルは。羽根伸ばせてる? ま、ロルフとシエルの面倒を見させてるのに羽根なんて伸ばせないわよね~、メンゴ☆」】
「…………嫌がらせの電話なら切るけど 」
【「わーっ!待って待って!嘘!みんな元気か心配だから!ロルフとシエルに代わって!」】
「………ロルフー、シエルー、お母さん呼んでるよー 」
「俺は出ない」
「私出るー!」
ロルフはつん、と本から目を離さずそう言って、シエルはにこにこしながら近づいてきた。
「ママッ!」
【「はぁ~い、シエル~。今日もかわいーねえ。ロルフは帰ったら覚えてなさい。
ね、シエル、今日はチェルと遊んでもらった?」】
「ううん!フィアと遊んだ!」
「!」
私は思わずシエルを見る。シエルはにこにこしながら続ける。
「あとねあとね、アドとも遊んだし、セラともトランプしたよー!
私ッ、お姉ちゃんに早く結婚して欲しい!」
「し、シエル!」
「もが!」
私は急いでシエルの口を塞ぐ。しかし、時既に遅し。「チ、ェ、ル♪」と軽い調子の声に背筋を伸ばした。
【「…………明日、絶対アドラオテルくん達と逃げないでね?急いで帰るから。未来の息子と話したいわ♪お土産は何がいいと思う?ゴールドソーサーまんじゅうかしら~。でも皇子様よねえ。金の延べ棒がいいかしら?土地とか買っちゃう?
ねえ、チェル!どっちがいいと思う?!」】
「………………」
上機嫌に滅茶苦茶なことを言うお母さんの電話を切って、携帯を投げ出して私は寝た。そして、起きるのと同時にアドラオテル様達と共に城に帰った。話を一緒に聞いていたロルフが「面倒くさいことになるから帰って。俺たちだけでも大丈夫。多分母さんは昼には帰ってくるから」と快く協力してくれたおかげですんなり帰って来れた。
そして誓った。
_____これからも絶対お母さんには会わせないようにしよう、と。
* * *
おまけ - 龍神家族
「セラ、アド、フィア。異世界はどんな感じだったんだい?」
家族の時間、セオドアは帰ってきた子供達に聞いた。アミィールも知りたそうに見ている。3人は顔を合わせて同時に言った。
「楽しかったですわ!」
「大変だった」
「俺も修行が必要だと思った」
「?」
「?」
ニコニコしたセラフィール、げっそりしたフィアラセル、そして顔を赤らめるアドラオテルに、両親はそれ以上聞けず首を傾げたのだった。
* * *
おまけ - シエル & ロルフ
「~♪」
シエルはユートピアの辞書を読みながら、文字を書いている。それを横で見ていたロルフがとうとう口を開いた。
「……シエル、なにやっているんだ?」
「ん?フィアとの手紙書いてるの!」
「手紙?なんで」
「フィア、その、友達いないって言ってたから、私がなるの!おおおばあちゃんがおうちにお手紙届けてくれるって!見て見て、上手でしょ!」
そう言って顔を赤らめながら手紙を見せてくるシエルを見て、『恋に落ちたか』と思った鋭いロルフでした。




