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帰省イベント!?




 「ええっ!?母さんと父さんが旅行に行く!?」




 窓の外、しんしんと僅かな雪の降る季節。私は思わず大声を出した。目の前には___モニター。これはコルーンの最新技術で作られた別次元携帯だ。そのモニターには白っぽいベージュ頭、赤い瞳のトラファルド・T・エード・ショーカ………私のお母さんが映っている。



 お母さんはてへぺろ、ともう随分古いネタをしてから言う。



【「そーなのよぅ、ほら、私達って仕事人間じゃない?バカンスなんて何年もしてないのよね~。で、やーーーーっとロックが2日だけ休みを取ってくれるって言ってくれたの!だからゴールドソーサーに泊まりで行こうってなってさ~!いやぁ~!いい男だよねえロックって」】




 お母さんはモニター越しにくねくねと腰を揺らす。歳をとっても学生みたいな母親にげんなりするけど、仕方ないようにも思える。お母さんは頭は緩いけどホシで唯一の何でも屋『ボンバー・ワン』、お父さんは頭は硬いけど次元では随一の医者。当然の如く休みはなく、いつも忙しなく動いている。だから、休みというのは貴重すぎるほど貴重なのだ。




 とはいえ、滅茶苦茶の血を清く正しく受け継いだ母親が、たかが自慢の為だけに連絡してきたとは思えない。



 だから、私は聞いた。


 「あーはいはい。お父さんはいー男。………で、私に連絡してきた要件、そろそろ聞かせてくれる?」



【「んもう、釣れない娘ね。まあいいわ。とにかく折角の休みだからロルフとシエルも連れていこーって思ったんだけど、あの子たちったらとてもいい子でさ、"お父さんとお母さん二人で楽しんできて"って言うわけよ!本当にいい子供達!………とはいえ、まだ小さい子供達を置いて行くのは不安なのよねー。



 で、よ。チェル、アンタに留守番兼子供達の子守りをお願いしたくてね♪」】




 「え。む、無理だよ、私、今花嫁修業中だし………」



【「季節的にはお正月よね?お正月くらい実家に帰ってきなさい!って怒られた~くらい通じるでしょ」】



 「通じないよ!っていうか!私よりもイチカおばあちゃんとか、タツキおじいちゃんとかに頼んだ方が絶対いいよ!」




【「あの二人は嫌よ。この前お父さんと大喧嘩しちゃってさ~。顔合わせづらいったらなんの」 】



 「………」




 喧嘩なんていつもしてるじゃん。………なんて言った日にはこの母親は切れて手がつけられなくなりそうだな、って思ったから黙った。でもそれがいけなかったようで。



【「あっ、じゃあ仕事行かなきゃだから!明日からよろしく~」】




 「あっちょっ!」




 モニター虚しく空中に消えた。

 ………やっぱり無茶苦茶だ………ど、どうしよう…………。


 私は暫くフリーズしていた。



 * * *



 「………で、実家に帰らなきゃ、ってことか」



 「はい………」



 お昼ご飯の時間、いつも通り部屋に来たアドラオテル様に電話の事を話した。アドラオテル様はスープを飲むのをやめてに、と笑った。




 「わかった。母ちゃんや父ちゃんには俺から話しておくよ」



 「あ、ありがとうございます!」



 「………ところで、レイチェルの実家ってどんな場所だ?前言ってたこるーんってところ?」



 「あ、それはちょっと違うんです。……私の一族は、いろんな次元に土地や家を持っていて。私の両親の家は"ホシ"と呼ばれる次元の観光地なんです」



 「ふぅん?観光地、ていうくらいなんだから何かあるのか?」



 「ええ。海があります。季節はなくて、暑い気候で……一年中夏なんですよ」



 私がそう言うと、アドラオテル様の色違いの目がきらりと光った気がした。



 「……じゃあ、この冬の時期でもレイチェルの実家は海にいけるのか?」



 「え、ええ………ホシでは地域によって気温が違うので、四季はなくて………」



 「………………よし、決めた。



 俺も行く」




 「………え」




 私はアドラオテル様の言葉に、持っていたフォークを落とした。




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