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大晦日LIVE! #01







 子供達が家にいないことが多くなってきて、レイチェルは前より歌姫の活動をするようになった。……というか、マネージャー兼元侍女のライラとイチカが張り切ったせいで出ざるを得なくなった。


 ライラの天職は侍女よりもマネージャーだったらしく、敏腕で今やレイチェルにはいなくてはならない存在になっている。


 そんなライラも、偶に暴走して、とんでもない仕事を受けるのだ。


 それが………今回の件だ。



 「大晦日LIVEか………」

 「ごめんなさい………」



 レイチェルは目の前でしょんぼりと小さくなっている。大晦日LIVEとはコルーンの伝統行事のひとつだ。有名歌手が、夕方の6時から夜の12時までコンサート会場と中継で歌うことだ。LIVEでは飲食が禁止だけど、この大晦日LIVEは異色で飲み食いOKだ。楽しく年を越そうという趣旨だけど………。


 「やっぱり家族で年越ししたいよなぁ」

 「なら断ります!私も、家族と一緒がいいですもん………」

 「いやダメだって。もうCMとかやってるし………あ、そうだ」


 そこで閃いた。一緒に年越したいなら俺達もLIVE見に行けばいいじゃんって。それを話すと、レイチェルは眉を下げた。


 「ですが、ルークもユーリもまだ小さいです………熱気に当てられないか心配で……」

 「そりゃ当てられるかもしれないけどさ、それでもよろこぶと思うんだよね。2人ともチェルのLIVEのDVD擦り切れるほど見てるしさ。


 俺も生でチェルのコンサート見たいし。……あ、チケットがもうないかな?」

 「いいえ、家族のためのVIPルームがあります。なので、チケットは不要です」

 「よし、なら決定。ユーリー、ルークー」

 「なーに?」

 「なに?」


 それぞれ思い思いのことをしていた2人がくるり、とこちらを見た。俺は椅子から降りて2人の前に行った。



 「年越し、ママがコンサートをやるんだけど………生で見たくない?」

 「ええっ!?見たいよ!見たい見たい見たいッ!!!」

 「………行っていいの?お留守番、しなくていいの?行きたいんだけど」

 「ははっ、大丈夫。お留守番じゃなくて、今回は見に行くぞー」

 「やったーーーーーっ!」

 「やったーーーーーっ!」


 2人はぴょんぴょん跳ねた。いつも静かなルークもユーリのように跳ねているのが可愛らしくて思わず笑ってしまう。


 「そーゆーことだから、よろしくな、チェル」

 「わかりました、準備しときますね」


 レイチェルの言葉に2人は『準備する!』と言ってレイチェルのLIVEのDVDを見始めた。





 * * *




 LIVE当日。


 「わぁーーーーっ、大きーーーい!」

 「ユーリ兄、うるさい」



 ユーリの大声にルークが突っ込む。

 俺達はライラの手引きで列に並ぶことなくVIPルームに来れた。シンプルな内装で、映画館にあるような柔らかい椅子が並んであって、ガラス張りの壁の向こうにはヒマワリスタジアムの名物・高次元ステージが設置されている。


 VIPルームが思ったより広くて、本当に俺たち家族だけが使っていいのかと疑問に思ったが、なんでもオーナーのクラウドが俺たちのために作ったのだから使ってくれなきゃ困る、ということだった。



 「おい、ユーリ、ルーク。はしゃぐな。うるせえ」

 「はしゃいでるのはたっちゃんもでしょ。なんでデジカメ持ってきてるのよ。DVD買えばいいじゃない」


 タツキの言葉にイチカが突っ込む。しかし、タツキは威張るようにふん、と鼻を鳴らした。


 「孫馬鹿共とその他もろもろが来れないから撮ってこいって命令してきやがったんだよ。仕方ねえから従ってやったんだ」

 「あー、俺の身内がごめん」

 「本当だ。ったく」


 本当は身内全員で行くことになっていたけど、全員が責任ある立場にいるためそれは叶わなかったのだ。で、代表して俺達が来たって訳。それはともかく………。




 「ほら、ルーク、ユーリ。もうそろそろ始まるから椅子に座って」

 「はーいっ!シロ、俺の膝におっちゃんこ!」

 「わんっ!」

 「クロもだよ。鳴かないでね」

 「わふ」


 ユーリとルークはそれぞれの相棒を膝に乗せてそわそわする。そうしていると、ばっ!とライトがステージを照らした。


 ステージには、いつもの歌姫の格好をして、三日月の仮面を着けたレイチェルがマイクを持っていた。




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