苦しい言い訳
「本当だ、レイチェルじゃん」
「なんでここに?」
「ていうかなんでアドラオテルと一緒に?」
ゾロゾロと男性陣が集まってきた。視線がただでさえ痛いのに状況悪化。おかしいよね!?平民の私が皇族のアドラオテル様と一緒にいるの!しかもドレスなんて着ちゃって!でも!仮とはいえ婚約者なんて言えない!
「レイチェルは俺の___「わ、私の家族とアドラオテル様の家族が仲良くて!それで私がここにいるんです!」………は?」
私はアドラオテル様の言葉をさえぎって必死に言葉を紡ぐ。
「わ、私の大祖母が!アドラオテル様の祖母様と親しくて!えーとえーと、それで!居るんです!」
「ふーん、そうなのか」
「あ、俺知ってる。確かレイチェルの大祖母って剣が半端ないくらい強いって。異世界では有名らしいぞ。シースクウェアで騎士の手解きをしたとか」
「あー、平民の間でも有名だぞ。何でも屋つってなんでもしてくれるらしい。おまけに美人なんだよ。下手すれば20でも通る」
「そうなのですね、納得です!」
「……はぁ……」
私は額の汗をハンカチで拭う。
ば、バレなかった………よかったぁ……。これでアドラオテル様の面子が守られ…………え。
「……………」
「…………ひぅ」
アドラオテル様は___厳しい顔で私を睨んでいた。で、でしゃばった!?やらかした!?怒らせた!?いやでも!私が怒られることより関係がバレる方がまずいから!まずいよね!?
そう思っても滝のように汗を流してしまう私。アドラオテル様はしばらく私を見てからはあ、と溜息をついた。
「………レイチェル、水着着てきて。ドレス脱げなかったら侍女が控えているからやってもらって。
着替えたらここに来いよな」
「は、はひ!」
私は慌ててアドラオテル様に渡された水着を手に更衣室らしき個室に走った。扉をしっかり閉め、鍵をかけてからそこにへたり込む。
「………うぅ~…………」
何故か痛い胸を抑えながら、泣きたい気持ちを我慢した。ほんのちょっと泣いたけど。
とりあえず………着替えよ。
私はドレスを脱ぐ。ドレスは全てセオドア様からのプレゼント。アドラオテル様が私のために頼み込んでくれた紅と群青色のドレスだ。最初こそひとりで脱げない!ってなってたけど、平民の性なのか人に頼む方がもっと無理!ということで脱げるようになった。
コルセットも外して、裸になる。そしてアドラオテル様が渡してくれた水着の包みを解いた_____って。
「え"」
中の水着を見て、私は真顔を作った。
* * *
わたくしはエリザベス・ダリ・ジュエルズ・セイレーン。セイレーン皇国第2皇女です。
「美しい………」
「お人形みたい………」
プールにいる全員がわたくしを見ます。それもそのはずで、わたくしは美しいと言われ続けて育ちました。花よ蝶よと育てられ、中身まで磨き上げたわたくしの輝きは当然のごとくほかの方々に負ける気がしません。どの殿方も一緒…………と、言いたいところですが、彼だけは違います。
わたくしはちら、と目の前を見る。
既に男子の中で一際異彩を放っている群青色の髪、紅と黄金の瞳のアドラオテル・リヴ・レドルド・サクリファイス様。
「アドラオテル!パス!」
「おー」
「あっ、下手くそ!エリザベス様逃げて!」
「!」




