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夏だ!プールに入ろう!







 ミーンミンミンミン、とセミの鳴き声が聞こえる。もうすっかり夏で、私がここに来てもう4ヶ月が経った。私の世界では4ヶ月は9月で秋なのに、この世界ではその常識は通じず。やっと夏が来た!という感じ。



 暑い。暑すぎる。……のに。




 「あ、アドラオテル様…………」



 「んー?なぁに?」




 下を向くと___私の膝に頭を乗せたアドラオテル様。そう、俗に言う膝枕………って!冷静になれない!



 私は頭を抑えたい衝動に駆られるが生憎アドラオテル様の前でそんなことできない。アドラオテル様は汗をかいてないのに!ドレスの私は汗まみれ!臭い!のに!膝枕を要求……というか無理やり寝転んできた!



 綺麗な顔が、立派な皇子が……この陰キャぼっち平民に膝枕されてるのだ!もう消えたい!恥ずかしい!



 「あ、あの、く、臭いので、お戯れは……!」


 「えっ!?俺臭い!?」



 「違います!私がです!」



 「なんだぁ、臭くないぞ?ラベンダーの匂いだな、これは。香水変えた?」



 「う、……」



 私の顔は熱を集める。なんでこのイケメン皇子はさらっとそんなイケメンなことを言うんだろう…………。



 軽く熱中症になりそうな私を見て、アドラオテル様は『ふむ』と言う。



 「レイチェルは初めてのサクリファイスの夏だもんな。暑いか。じゃあプールでも入る?」



 「ぷ、プール?」



 私が聞き返すと「知らないの?」と聞かれた。知ってるけど、文献の知識でしかない。少しだけ興味を持った。そんな私の心を覗いたかのようにアドラオテル様はにんまり笑った。




 「そうかそうか、入りたいか。なら行く?今から」



 「い、今から!?」



 「うん。思ったら行動あるのみ!だろ?


 ちょっと待ってて、ばあちゃんに水着出して貰ってくるから!」




 「あっ!」



 私が何かを言う前にアドラオテル様は立ち上がってふ、と消えてしまった。

 こ、行動力……………!行動力の塊だ…………!




 そんなことを思っているうちにアドラオテル様は戻ってきて、私達はプールに向かったのだった。




 * * *






 「わあっ…………!」



 私は思わず感嘆の声を漏らす。皇城の入口付近には大きなプールがあった。くねくねした大きな筒や、小さいけどぐるぐると回るプールもある。少女漫画でよく見るプールランドみたいな所だ。アトラクション感が強くて、沢山の人が入っている点も変わらない。




 「いや~人が多いねえ。日にち改めた方が良かったかな?」



 「あ、えっと、お、お構いなく………」



 「そ?じゃあ早速___「あっ、アドラオテルじゃないか!」……んぉ?」




 不意に聞いたことのある声が聞こえて振り返る。そこには___『セイレーン・セイント学園』のケイタ様、シャンクス様、レーゲン様、そしてエリザベス様が軽衣装で立っていた。




 「お前ら、居たのか」



 「いたのか、じゃない。せっかく夏休みだからと遊びに来たのに『気分じゃない』なんて断ったのはどこの誰だ!」




 「いや、だから居たのかって」



 「このまま帰るのは癪だからな。サクリファイス名物のぷーるとやらに入ってみようとなったのだ。なあ、レーゲン」




 「貴族が入るものでは無い気もするが……見聞を広めるにはいいだろうということになってな」



 「うぇ~い!俺もいるぜ~!」




 陽キャ面々があれやこれやと話している。陰キャにはとてもじゃないが入れない雰囲気に私は黙る。私は空気、私はいない「あら?そちらにいらっしゃるのはレイチェル様ではなくて?」ギグッ!




 鈴のような声、金髪の巻き髪の赤い瞳のエリザベス様が___私を見ていて。




 一気に視線が集まった。






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