1 実家へGO!
新章開幕です。
二章続けて実家スタート!
~惑星キャトラス 総合研究病院~
ウィーン…
「はっ…はっ…。」
モーターの回転する音と荒い息使い。
『持久走、規定時間です。』
ウーン…
アナウンスがかかり、ランニングマシンが停止する。
「はっ…はぁ…………あ“~~っ!
疲れたにゃ…。」
こんなに走らされたのは士官学校以来である。
「ピコちゃん、お疲れ様にゃ。」
ミーコがスポーツドリンクを手渡してくる。
「ありがとにゃ。
………それにしてもハードにゃ。」
要塞「マズル」攻略戦から一月が経つ。
一週間前に退院したピコは、そのまま様々な身体データの計測を行われていた。
現在は、兵士が受ける体力測定を行っていた。
リハビリ代わりには少々処で無く厳しい。
「しょうがないのにゃ。
ピコちゃんの体が異常なのにゃ。」
ピコの身体はどこも悪くない。
むしろ健康そのものである。
しかし、いささか健康過ぎたというか…。
「怪我が治ったばっかりなのに、ミーコが追い打ちか
けて来るにゃ…。」
ヨヨヨ…、と泣く演技をする。
「「レッド」レベルの怪我を、一ヶ月かからず完治し
ておいて良く言うにゃ…。」
これにはミーコも呆れを隠さない。
「レッド」レベルは、“致命傷であるが専門の設備で存命が可能”な負傷の事であり、一ヶ月で完治する事はあり得ないと言われている。
実際、ピコ自身が3ヶ月の昏睡状態になった際のレベルは“辛うじて”「レッド」に分類される負傷であった。
「処置した時には、肺が血で満たされていて、窒息し
ているのは明らかだったにゃ。」
それなのにピコは敵機と戦闘を行い、ミーコと僅かながら会話をした、という。
「正直覚えて無いにゃ。」
正確に言えば、ぼんやりとは覚えている。
しかしその記憶は、第三者視点で望遠鏡で覗いているようなものだった。
「ああ、だから伝言なのにゃ。」
何やら納得しているミーコ。
伝言とは?
誰から?
その疑問にミーコが答えを出す。
「もう一人のピコちゃんから、今のピコちゃんに伝言
にゃ。
「自分を見つめろ」って言ってたにゃ。」
疑問が解消されたと思えば、更によく分からない事が出て来てしまった…。
…………………………。
…………………。
…………。
…。
「と言う訳で、話を聞きに来たにゃ。」
後日、ピコ達は中央都市から東の地の、果ての島と言われる極東、ハートアイランド地方のピコの実家へとやって来ていた。
「全く、突然「今度の週末帰るにゃ。」なんて連絡を
寄越したと思えば…。」
黒ママが小言を言う。
「おかえりなさい、ピコちゃん。
そして、いらっしゃい、ピコちゃんのお友達?」
白母さんは、ふわっと歓迎する。
「初めまして、ピコちゃんのパートナーのミーコと言
います。」
「お初にお目にかかります、お義母さま方。
ナナ・ファーテイルと申します。」
ミーコは軽く会釈、ナナは丁寧にお辞儀をした。
「(ちょっと、「お義母様」って何にゃ!)」
「(そちらこそ、態々言う必要ありまして!?)」
ミーコとナナが小声で口論する。
「………とりあえず、中で落ち着きましょう。」
黒ママにも聞こえているようだ。
「そうそう、入って入って♪」
白母さんは聞こえていないようで、ご機嫌である。
…………………。
…………。
…。
カチャッ…
改めて、ミーコとナナを両親に紹介し、白母さんが用意したお茶で喉を潤す。
「今日帰って来たのには理由があってにゃ…。」
カップを置き、話し始める。
「実は、………………………………。
…………………………………………。
(事の経緯の説明中)
…………………………………………。
………………というわけなのにゃ。」
「マズル」攻略戦での出来事から、もう一人のピコの伝言を伝える。
「中々帰って来ないと思ったら…。
どうしてそんな事に…?」
黒ママが不安気に問う。
いつもサッパリした黒ママの珍しい表情だ。
(それだけ心配かけたって事にゃ…。)
これからは、もう少し頻繁にメールでも送ろうか?
…。
話が逸れた。
「どうしても…何も…。」
ピコ自身も「どうしてこうなった?」としか言い様が無いのだ。
「それで、もう一人のピコちゃんについての心当たり
はありませんか?」
ミーコが本題を聞く。
「………有るにはあるわ。」
黒ママが答える。
「それは何です!?
教えて下さい!」
ナナが乗り出して更に尋ねる。
(というか、素が出てるにゃ…。)
玄関での口調は、両親に会う事に緊張してのキャラの迷走である。
「それは…………。」
黒ママが言い淀む。
「………神話に関係する事にゃ?」
ピコは可能性を問う。
ピクッ…
黒ママの耳の先が僅かに反応する。
「どこでそれを…………。
いえ、知っているなら話は早いわ。」
驚愕に静止しかけるも、黒ママは取り直した。
「ここで説明しても良いんだけどね?」
「何か問題が?」
渋る黒ママにミーコが畳み掛ける。
「信憑性がね…?」
神話が事実という話より突飛な話だと?
「明日も時間があるかしら?」
話は翌日に持ち越しのようだ。
「はい!
三泊分の着替えを持って来ました!」
ナナはどういうつもりで泊まりの準備をして来たのか…。
「あ!
いえ、これは以前の仕事の癖で…。」
そういう事にしておこう。
「で、何で明日にゃ?」
理由を問う。
「ピコちゃん。」
黒ママが話し出す前に、これまで沈黙していた白母さんが口を開いた。
「このままでは世界が破滅するわ!」
白母さんは、そう断言した。
な、何だって~っ!?
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