27 who are you ?
済まん、もう一話あった。
章完結にあたり、閑話が本日21時にあがります。
~ブルーシャーク ブリッジ~
敵の無線を傍受していたブリッジでは、この戦闘が“いかに一方的に行われたか”が理解させられた。
キマイラ1の変化した機体(シグナルサインが同一であった)は巨大な敵機が活動を停止した後も残ったクロ-や火砲を徹底して破壊し尽くし、本体もいくつかに斬り分けた。
その後、ブリッジの静止を振り切り、再接近していたドギヘルス軍に襲いかかった。
引き返して来たのは一部とはいえ、一機で相手取れる戦力ではなかった。
しかし、無線には絶えずドギヘルス軍の怒号と断末魔が受信され、無線が静かになる頃には敵影は皆無となっていた。
そして現在、キマイラ1はブルーシャークに接近していた。
「艦長………。」
射撃官が不安そうに呼ぶ。
シグナルサインがキマイラ1のものであっても、あれだけ姿がかけ離れてしまっては、味方と判断していいものか迷う。
戦闘の様子も不安に拍車をかける。
巨大な敵機との戦闘から現在まで一切の通信は無し。
更に、引き返して来た敵軍との戦闘では向かって来た敵機は言うに及ばず、撤退し、静止を呼び掛ける敵機や敵艦も一刀の下に斬り伏せた。
自軍が有利と見た途端に襲いかかり、不利となったら慈悲を乞う敵など、どうなろうと構わないが、普段のフロス大尉と思えないスタンスが同一人物とは思えないのである。
「刺激しないように全ての砲をオフライン。」
どうせ抵抗しても無駄である。
どこまでが敵対認定されるかわからない以上、刺激するような真似は避けた方が良い。
あとは味方と信じるしかないだろう。
「キマイラ1、メインハンガーに着艦します。」
とりあえず、即撃沈される事は避けれたようだ。
~メインハンガー ミーコ視点~
ガシュウゥ…
マルコシアスがメインハンガーに着艦する。
巨大な敵機を解体し、敵艦隊に向かって行く前と、その姿は少し変わっていた。
というのも、背面の翼はより一体感を増し、四肢には頭部の牙と同じような爪が4本ずつ、そして尻尾の先はリニアガンから斬艦ブレードになっている。
「………………………。」
メインハンガーが緊張で満たされる。
目の前にしてわかるが、マルコシアスから発せられる圧が、本能に“動くな”と訴えて来るのだ。
ス…
最後の「レッド」患者の処置を終えて立ち上がる。
「お、おい…!
何を…!?」
小声でクルーの一人に静止される
カツカツ…
しかし、普段の歩調でマルコシアスに歩みよる。
硬い軍靴の音がハンガーに響く。
カツ。
マルコシアスの正面で立ち止まる。
「いつまで乗っているにゃ?
早く降りて来るにゃ。」
ザワッ
マルコシアスに乗っているピコに話しかけると、ハンガー内がざわつく。
バシュウッ
マルコシアスの胸部が開き、ピコが降りて来る。
「ひっ…!」
負傷者の処置を手伝っていたナナが小さく悲鳴を上げる。
「ほら、やっぱり。
怪我の治療をするにゃ。」
降りて来たピコはパイロットスーツの至るところから血を滲ませていた。
更に、瞳孔は開き切り、全身の毛を逆立てて、フラフラと幽鬼のように歩いて来る。
「無理しないでここに横になるにゃ。
誰か、担架を。」
示した場所に清潔な毛布を重ねて行く。
「………………“私”が怖く無いにゃ?」
ピコが初めて口を開く。
「どうしてにゃ?」
なんとなくわかるが、質問する。
「“私”はミーコの知っている“わたし”じゃ無いの
にゃ。」
やはりそうか。
だからこそ、この言葉をかける。
(ピコちゃんが私を救ってくれた言葉にゃ。)
「ピコちゃんはピコちゃんにゃ。
私はピコちゃんを否定しないにゃ。」
もう一人のピコは目を見開く。
そして、瞳孔が通常通りになり、全身の毛も寝かせる。
「そうか…にゃ。」
先ほどまでの緊張が一気に霧散する。
もう一人のピコは拒絶される事を恐れていたのだ。
「………天虎の巫女、お願いがあるにゃ。」
横になり目を閉じたピコが頼んで来る。
「“わたし”に自分を見つめろって。
伝えて…欲しい……のにゃ………。」
また眠るのだろう。
「わかったにゃ。
必ず伝えるにゃ。」
もう一人のピコに約束する。
「その後…………私と………巫女……………。」
もう一人のピコは微笑みを浮かべ、眠りにつく。
カチカチカチカチ
マルコシアスがポッドのコアフレームに戻っていく。
「担架を持って来ました。」
唖然とするクルーを横目に衛生官二名がやって来た。
「医務室に運んで欲しいにゃ。」
負傷レベルは「レッド」。
本当の最後の患者である。
「マスハッター中尉、大尉は…。」
艦長が渋い表情で話しかけて来た。
「ピコちゃんは大丈夫ですにゃ。」
艦長を遮り、答える。
負傷と危険性両方が、である。
「ピコちゃんは私が必ず治すので。」
そう言うと、運ばれるピコについてハンガーを後にする。
「そういう事であれば信じるぞ…。」
プライズ艦長はミーコの背にそう呟いた。
この後、ブルーシャークは引き返して来たキャトラスの偵察艦隊に合流。
負傷者全員に処置が行われ、駆逐艦二隻に牽引され第三宙域第二前線基地へと帰還する。
最終的な両軍の損害は、
ドギヘルス側 全軍の三割弱を喪失
キャトラス側 本隊の四割強を喪失
となり、再び大規模な戦闘を行うまでに長期間を要する事となった。
また、要塞「マズル」が完全破壊された為、ドギヘルスの防衛ラインは残り一つとなったままとなった。
ナナはピコに恐怖したのでは無く、
ピコが大怪我をした事に悲鳴を上げました。
その他クルー(ミーコ、メンタル強ない?)
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