表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
82/177

アニマル?―FINAL―

ご愛読ありがとうございました。

タイトルでお察しの通り、

『アニマルシリーズ本編、終了します。』

最終話につき25%増量でお送りします。

~特殊機部隊「幽霊(ゴースト)」 ボルト視点~


『ガンポッド!?』


 敵の無線では困惑の声が上がる。

 キャトラス軍機にこちらの無線を傍受されている事を知った本営が慌てて配布した装置の調子は良さそうだ。

 隊長格の分しか間に合わなかったがそれは知った事では無い。


『あれは使えた物じゃ無いだろ!?』


 笑える話だが、一人で運用しようとするからだ。

 ガンポッドはバルカンより大口径の機関銃が弾倉と旋回装置と一体となった外付け装備だ。

 それ故に大型となる為、格闘戦に向かず、射程も当然ミサイル以下、旋回機能も十分に使用不可の「使えた物でなく」なる。

 しかし格闘戦が多くなる「ミラージ」によっては、射程の問題は無くなるとして、複座に改装する事で的確な射撃を行えるようになった。

 格闘戦の習熟度に問題のある「ゴースト」にとって、弱点をカバーし、今回に限り、不意を打てるガンポッドは最良の武器と言えた。

 そして今もミラージが敵機と互いの後ろを取り合うドッグファイトを行っているようだ。


『小回りならこっちに利があるんだ!』


 やはりティアマットが若干有利。

 だが、


『小回りならこっちだって!』


グルン!


 ガンポッドが旋回させられティアマットに狙いを付けた。


ダダダッ!


『うわあぁっ!?』


ボッ…


 撃てるのは前後に限らない。

 機体の円周、360度が射撃可能範囲だ。

 だが、敵もエース級。

 既に見せた手札は急速に効力を失っていった。











~ケートス独立小隊 スノウ視点~


 敵の倍数のこちら側であったが、敵の奇策によってその数を、およそ同数にまで減らしていた。

(23→13(撤退4、撃墜6))

 しかし戦闘が長引く程、流れはこちら側のものになる。


『小細工したところで!』


 ロブ大尉が敵機の後ろに食いつく。


『その小細工にやられろっ!』


ダダダッ!


クルン…


 ロブ大尉の機体は左翼端部を軸に回転し、射撃を回避。

 

『Fox1』


 敵機に対し背面飛行の形から、流れるようにミサイルコール。


シュバッ!


『回避しろ!』


『避けれない!』


ボンッ


 敵機も回避機動を行うもガンポッドの重量が影響し、あえなく撃墜した。

 ティアマトの可変スラスターだからこそ可能なその機動はミサイルのロックをしたままの回避を可能としたようだ。

 さらに別の場面。


『墜ちろ、羽虫め!』


カカカッ…


 ガンポッドの機関部が空回りする。


弾詰まり(ジャム)!?』


 敵機の射撃担当は驚愕する。


『弾切れだ、馬鹿野郎!』


 当然ガンポッドの弾は無限でなく、戦闘開始から多用していれば弾は尽きる。

 こうなったら、地力で勝るこちら側が有利になる。


『Fox3』


 バルカンコール。


『誰かっ!

 援護を「ボッ!」』


 これを皮切りに敵機は次々と墜とされていく。

 そして残存する敵機が半数を下回った時、


『勝てない、俺はAフィールドに行かせて貰う!』


『待て、おれも行くぞ!』


『悪いなボルト、お前にはついて行けない。』


 遂に逃走する敵機が現れる。


「お前達の負けだ、撤退しろ。」


 未だ留まるボルトに勝利宣言を突き付けた。










~ボルト視点~


 特殊機部隊「ゴースト」は瓦解し、白いティアマットのパイロットに敗北を突き付けられる。


(今更なのか…?)


 自分はまだ戦える。

 なのに奴は「退け」と言う。


(ふざけるな…!)


 怒りと絶望で頭の中が塗り潰される。

 ならば何故隊長は帰って来なかったのか?

 「化け鯨」に呑まれた同胞の部隊がどれ程ある事か?

 この若いパイロットは理解していない。


「この偽善者がぁっ!」


 スロットルをフルに、白い機体に飛び掛かる。

 今の身体なら問題は無い。

 ケートスは打ち倒すべき敵。

 そしてこの白い奴は今、ここで墜とす!


『戦闘中の両軍に告ぐ。

 ………………………………………………。

 ………………………………………………。』


 共通回線で敵将が何やら語るが知った事か。


『待て、これ以上の戦闘は無意味だ!

 お前達は負けたんだ!』


 うるさい!

 この戦闘の意味は俺自身で決めている。


「偽善だと言っている!」


 分からない奴にもう一度言う。


『ここで死んで何になるって言うんだ!?』


 そうだ、死んでしまったら意味は…!


「だったら!

 何故隊長は死んだ!?」


 負けた敵に慈悲をかけたい奴に、現実を突き付ける。


「彼は戦闘中に撃墜されたんだ!

 戦争だ、仕方ないだろ!?」


 こいつはあの時の一人か。

 だが違う、何か勘違いしている。


「俺の、俺たちの隊長はそいつじゃ無い!」

 

 無数に墜とした敵個人の事など認識していないのはわかっている。

 だからこそ、冥土の土産に教えてやる。


「隊長は、たった1機残って!」


『ピピッ』


「お前達の足止めをして!」


 敵機が接近する。


「俺たちを逃がしてくれた!」


 構わない、たった一機だ。


『っ!

 集積所の!?』


 !

 ……ああ、お前だったのか。

 好都合だよっ!











~ケートス独立小隊 スノウ視点~


 「電撃(ブリッツ)」の最後の一人である彼は、キャトラスとドギヘルスが第三宙域で小競り合いしていた頃に第三分隊が請け負った集積所防衛の際の生き残りだった。

 つまり、彼の言う隊長とは、


「聞いてくれ、彼は、君たちの隊長は…!」


『ピピッ』


 接近する友軍機?

 ネルソン小佐の機体!?


『お前かあぁっ!』


 しまった、気を取られて…!?


ゴォッ


『ちぃっ!』


 自機と敵機の間をネルソン小佐の機体が猛スピードで通過する。

 敵機は衝突を避け、離脱する。


(助かった…!)


 だが、ボルトのヘイトがネルソン機に向く。


『鬱陶しいんだよっ!』

「小佐、回避!」


ヴォ

『退くんだ、ボルトッ!』

ッ!


(今の声は…っ!)


ガガガッ!





~ボルト視点~


「…えっ?」


 邪魔して来た敵機から聞こえる筈の無い声が聞こえ、あれ程煮え繰り返っていた頭が冷静になる。


『ボルト、退け…。』


 空耳では無い。

 再び戦死したとされた隊長の声で指示される。


『同胞は既に、撤退を始めている…。』


 わかっている。

 それはわかっているが、分からない…。


『ここにも、敵の増援が来る…。』


 隊長はどうなる?

 機体からは火の手が上がっている。


『俺は、ここまでだ…。

 気にするなよ。』


ボンッ


『ぐぉっ!』


 隊長の乗った敵機が墜ちた。


(隊長の仇を討ちたくて。)


 気にするな、なんて…。


(でも最後に撃ったのはその隊長で…。)


 隊長らしい言葉だ…。

 

(すみません、隊長…。)


『ピーッ!』


 警告音。


「俺はもう、戦えません。」


ドンッ!







~元ハウリング隊 4番機 ボルト視点~


 …………。


(暗い…。

 俺はまだ生きている…、のか…?)


 浮遊感に身を委ね、漂う。


宇宙(そら)だ…。)


 見えない母星(故郷)に手を伸ばす。


(広いなぁ…。)


 この身に背負った罪ごと吸い込まれそうだ…。


(あぁ…眠い………なぁ…………。)


 伸ばした手が空しく宙を掴んだ。








~ケートス独立小隊 スノウ視点~


『やった!?

 「幽霊(ゴースト)」の隊長を墜とした!』


『俺たちが次のエース部隊だ!』


 敵軍が撤退したことでこちらに来たのだろう。

 数機の友軍戦闘機が、動きを止めたボルト機を撃墜した。

 追撃が行われている現時点では至極真っ当な行動だろう。


『要塞内部にエネルギー反応!』


ビィーーーーーッ!!


『どわぁ!』


『何だ!?』


「っ!」


ボボボンッ


 右主翼に被弾したが何とか撃墜は免れた。


『各連隊、被害多数!』


ゴゴゴォ…


 要塞「マズル」が崩壊していく。


『おいおい、何だありゃあ…!?』


 


 

 

いつも読んでいただきありがとうございます。


本編はまだ続きます。

続読よろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ