22 作戦完了
『マルコシアス隊、無双の時間だ。』
~アルファ連隊 前線~
ガガガガガッ!
『『ピー』
オーバーヒート!
誰かカバーしてくれ!』
アルファ連隊の最前線の右端。
Cフィールドから敵軍が流入する地点で戦闘を継続する部隊があった。
『任せろ!』
キュイィ…ガガガガガッ!
クールダウンが完了したばかりのパルスガトリングが回転を開始して弾を吐き出す。
『弾が切れた!
帰還する!』
ヒュッ…バチンッ!
補給の為帰還しようとする機体に接触給電ケーブルが張り付く。
『弾はもう無い!
パルスガンを使え!』
戦闘開始から二時間以上撃ちっぱなしなのだ。
ミサイルも、換えの実弾も既に尽き、駆逐艦は火力を発揮していない。
それでも防御用のパルスバルカンをばら蒔き、ポッドの兵装用バッテリーとして前線に残っている。
『切りが無いぞ!』
敵機は続々と後方へ流れて行っており、その部隊は敵陣の直中に居るも同然となっている。
『孤立した!
退路が「ボンッ!」』
この部隊最後の正規兵の機体が撃墜される。
開戦時には正規兵の小隊に8機の志願兵の機体がついたこの部隊も志願兵4名を残すのみとなった。
『次の指揮役は誰だ?』
『マルコ、お前だ。』
平均年齢が20に満たないといわれた志願兵だ。
志願兵のみとなったこの部隊で次の指揮役となったのは、今年専門学校を卒業したばかりの若干18歳のマルコという名の青年だった。
~マルコシアス隊~
敵軍がアルファ連隊の集中攻撃に切り換え、孤立した敵部隊が壊滅状態になり、ガンマ連隊の有利は覆らないものとなった。
「アルファ連隊の状況は?」
離脱していった敵軍を追う艦のハンガー内で機体の無線で問う。
『アルファ連隊の損耗率は5割を優に超え、間も無く
6割に届くといったところです。』
戦略上の全滅である。
アルファ連隊は最早、組織立っての行動はとれておらず、各々が生き延びる戦いが行われているのだろう。
マルコシアス隊はこれからその戦場に突っ込む事になる。
「キマイラの対軍換装完了だ。」
流石は我が隊の整備班、仕事が早い。
『間も無く敵軍の最後尾と接触します。』
出撃の時間だ。
「キマイラ各機、これから行う戦闘は時間稼ぎにゃ。
撃破には拘らず、敵軍を引っ掻き回すにゃ。」
維持する戦線は無く、しかし友軍は未だ奮闘している。
ならばマルコシアス隊は敵軍後方から強襲をかけ、敵陣を乱す。
幸いこちらに向かう際に制圧部隊がメインブロックの制圧に入ったという報を受けた。
十数分で片はつく筈だ。
『作戦区域です。
進路に敵機多数、ご武運を。』
「マルコシアス隊、出撃にゃ!」
『『『『了解!』』』』
…………………。
…………。
…。
『まずは道を作るよ!』
ガガガガガッ!
シュババババッ!
ダダダダダッ!
ガトリング、小型ロケットポッド、ミサイルにマシンガン。
ロドウェル機の全ての火器を一斉に放つフルバースト攻撃。
せっかく得た機動力をまたもや捨てて得た普段より割り増しの火力が敵軍に降り注ぐ。
ボボボボボ………ッ!
今の一瞬で両の手足の指の倍以上の数の爆発が起き、敵陣に空白が生じる。
『行くっすよ!』
ブンッ!
戦闘機すら追い付けない速度でランナー機が空白に入り込む。
『ここは通行禁止っす!』
シュパパパパッ!
機体背部に携行したマイクロミサイルコンテナから大量のミサイルが縦横無尽に放たれる。
カシャシャシャシャ……!
そして、ランナー機が通った後には、これまた大量の機雷が散布された。
『敵を抑える。
中尉、行くぞ!』
『了解しました。』
バング機には携行ミサイルのセンサーが流用されたサブアームが4本増設され、元の2本のアーム、機体側面の固定2基。
合わせて8丁のマシンガンで敵機の侵攻を阻む。
『残弾が半分だ!
予備の用意を。』
『コンテナ、解放します。』
パカンッ
バリー中尉のディーバーに搭載された4つのコンテナの内2つが解放され、中から携行マシンガン2丁がそれぞれのコンテナから出て来る。
何気に初回の、ディーバー本来の運用方である。
『SEMP、チャージ完了しました。
起動します!』
ジジジ…バヂンッ!!
…バチチッボンッ!ボボボボ………ッ!
ポーター機から超強力な電子波が全方位に波及し、再び集まりつつあった敵機は一時行動不能となり、一定の範囲内の敵ポッドにいたってはロケット弾の誘爆により撃墜されている。
キャトラス軍機はEMP対策が施されているが、それでも少し痺れた。
(サブアームといい、SEMPといい…。
開発部には安全性について問い質したいにゃ。)
しかし現状、付近に友軍機は見当たらず、それらの兵器は敵軍に最大の効果を発揮した。
(あれはっ…!)
空間が開け、少し見通しの良くなった戦場でピコは友軍機を発見する。
「孤立した友軍部隊を発見!
救援に向かうにゃ!」
ドッ!
機体を急加速させ、友軍部隊の元へ。
キイィィンッ!
ブレードを最大稼働。
ザザザンッ!
駆逐艦1隻、ポッド一個小隊救出完了である。
…………………。
…………。
…。
救出した部隊を即席の陣地へと退避させ、戦闘を継続する。
『救援ありがとうございます。
もう駄目かと…。』
少し余裕が出てきたのか通信が入る。
ポッドの彼らは全機「白帯」であった。
『良く頑張った。
大した腕と根性だ。』
ガイウスの言うように、彼らは駆逐艦をバッテリーとしてパルスガトリングとレーザーナイフで生き延びていた。(現在も射撃を続けている)
『もう少しがんばるにゃ。』
要塞の制圧完了まであと少しの筈だ。
シュウ…パッ!パッ!
信号弾が上げられる。
『戦闘中の両軍に告ぐ。
要塞「マズル」はキャトラス軍が制圧した。
繰り返す。
要塞「マズル」はキャトラス軍が制圧した。』
中将の宣言にドギヘルス軍は撤退を開始し、キャトラス軍は追撃を開始する。
『終わったのか…?』
『生きてる、生きてるぞ!』
『勝ったんだ!』
『……母さん、おれ。
やったよ…。』
戦闘を止め、喜ぶ「白帯」の面々。
『…助けられて良かったです。』
トーマスが安心したように呟く。
『全員回避にゃっ!』
タマの焦った声にマルコシアス隊のメンバーは咄嗟に反応する。
ビィーーーーーッ!!
とたんに要塞「マズル」内部から光が溢れ出してアルファ連隊はおろか、ベータ、ガンマ連隊にすら被害を与えた。
まだだ、まだ終わらんよ!
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