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9  こんなところに○○

プライズ艦長イベント

(作者は混乱している)


執筆のペースが落ち気味です。

ストックはまだあるのでご安心下さい。

 第二前線本部基地を出港してから十日程が経過した。

 前線がドギヘルスの第二防衛線に移行して暫くが経つ為か、キャトラスの領域内はドギヘルス軍機と遭遇すること無く順調な航海であった。


「レーダーに感あり。」


 観測官の報告にブリッジに緊張が走る。

 

「これは…………。

 照合完了。

 民間シャトルです。」


 ドギヘルス軍機では無いようで安堵の空気が流れる。

 …………。


(おかしい、こんな所に民間シャトル?)


 ここはドギヘルス軍機が来ないとはいえ、すぐそこは前線になる。

 本部基地周辺ならば軍を相手にする企業だったりするが…。


「民間シャトルに停船の呼び掛けを。

 検問するにゃ。」


 違和感にそう指示を出す。

(軍は宇宙における警察権を有する。)


「ドギヘルス侵攻戦をしている今、市民に悪感情を

 持たせる訳にはいかないのだが…。」


 プライズ艦長は余り乗り気では無いようだ。

 艦長の言い分も一利あるが、後方に憂いを残したままになってしまうし、正当な権限の行使だ。

(宇宙を航行するにあたり規約に示されている)

 検問を受けたからと言って、悪感情を持つのはお門違いである。


「………シャトル、応答ありません。」


 先ほどから呼び掛けをしていた通信官の報告。


「加えて、進路を変更し速度を上げて離れています。」


 分析官からのだめ押し。

 返答無しはまだしも、加速して進路変更は「怪しんでくれ」と言っているようなものだ。

(返答無しは機材トラブルの場合もある)


「機関全速!

 逃走するシャトルを追う。」


 艦長も切り替え、指示を飛ばす。


「わたしはキマイラで出るにゃ。」


 艦はプライズ艦長に任せ、ハンガーに向かう。


 …………………………。

 …………………。

 …………。

 …。


『シャトルを捉えました。

 ………分類、貨物シャトルです。』


 出撃準備(スタンバイ)が完了して間も無く、シャトルを捕捉したようだ。

(シャトルが駆逐艦から逃れられる筈は無い)


『シャトル、速度低下。』


 逃げ切れ無いと理解したらしい。

(停止しないあたり、何かを企んでいる。)


「キマイラ1、出るにゃ。」


 …………。

 …。


 艦から発進してすぐにシャトルに追い付いた。

 今はシャトルの貨物コンテナの後ろについて完全に停止するのを待っている。

(停まるか停まらないかの速度を維持している)


ドッ


「っ!」


グンッ!


 シャトルの貨物コンテナからミサイルが飛び出て来たが、反射的に回避する。


(やっぱり敵性船にゃ!?)


 このキマイラで無ければ当たっていただろう。


ドンッ


 コンテナが内側から破壊され機体が出てくる。


「攻撃を受けたにゃ。

 敵性機が出現、撃墜するにゃ。」


 艦に早口で報告し、敵性機の確認をする。


『チクショウ!

 勘のいい奴め!』


 敵性機は武装ポッド、非正規仕様。

 …盗賊(スカベンジャ-)だ。

 

『死ね!』


ダダダダッ


ギュッ!


 投降を促す前に間髪入れずに機関銃を撃って来たが機体を僅かにずらして回避。


ドンッ!


 反撃に携行して来た散弾銃を一発。


バガンッ


 正面からもろに散弾を浴びた敵機は一撃で大破。

 操縦者も死亡しただろう。


『ジャックがやられた!

 逃げろ!』


 ポッドを撃墜すると敵シャトルは再び逃走を謀る。

 今のキマイラにシャトルを墜とせる装備は無い。

(市民だった場合を考え、最低限の武装だった)


シュパァッ…


 対空ミサイル。


ドッ


 シャトルに命中。


ドオォ…


 撃墜。


『…あ。

 撃って良かったにゃ?』


 タマ小佐から通信。


「問題無いにゃ。」


 タマ小佐は市民の存在を考えたのだろうが、それならば人質にしていただろう。

 そうしなかったという事は、あのシャトルは盗賊の偽装船ということだ。


「キマイラ1、帰還するにゃ。」


 …………………………。

 …………………。

 …………。

 …。


「フローレンス大尉、戻りましたにゃ。」


 艦に帰還し、パイロットスーツを着たままブリッジへ戻る。


「お疲れ様だ、大尉。

 …少し聞きたい事がある。」


 艦長が、若干眉間に皺を作りながら聞いて来る。


「大尉はあのシャトルのどこを怪しいと感じたのか教え

 て欲しい。」


 なるほど。

 もし、艦長がこの部隊の指揮を執っていたらあの盗賊船は見逃していた事になるからか。


「この宙域はキャトラスとドギヘルスの境界が近い

 にゃ。」


 まずは位置関係の確認からだ。

 艦長が頷く。


「前線が移ったと言っても一般のシャトルが護衛無し

 に航行するのは危険にゃ。」


 こういった軍の行動は漏洩対策の為、一般には伏せられている。

 いくら情報を繋ぎ合わせてドギヘルス側に進出した事が確定したとして、危険度までは分からない。

 実際、資源帯を巡り争っていた時は戦闘の起こる第二から第四宙域を行く一般船は勿論の事、第一、第五宙域の一部ですら一般船に護衛がついていたと聞く。


「理屈はわかるがそれだけで?」


 ここまでは艦長自身もわかってはいるようだ。


「後は…………………。

 そうにゃ、第七宙域で偽装輸送船の盗賊と交戦した

 からかにゃ?」


 あれ以来、一般の船の位置確認や行動理由を想像する事が癖になったような気がする。

 だから違和を感じられたのだろうか?


「そうか…。

 大尉がポッドの軍事転用のキーマンだったのか…。

 辛い事を思い出させたようだ。

 済まない。」


 艦長に勘違いさせてしまったようだ。

 ピコ自身はあの件については完全に過去の事であり、今の状態になっているわけなので、「あんな事もあったな」程度の認識だ。


「辛いとは思っていないにゃ。

 参考になったにゃ?」


 質問の答えが結局「個人の感覚」という、なんとも曖昧になってしまった事を申し訳なく思う。


「ああ、参考になった。

 ありがとう。」


「どういたしましてにゃ。」


 社交辞令だろうが礼を受け取り、着替えの為、ブリッジを後にした。

(市民~最低限の武装) 

の部分は警察にフル装備で職質される事を想像すれば分かりやすいかと思われ。


いつも読んでいただきありがとうございます

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