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5  携帯用武器

前回後書きで戦闘と言ったな?

あれは嘘だ。

 意気込んで宇宙に上がったはいいものの、そこはキャトラスの領域深部。

 敵の影は当然見られず順調な航海が続く。


「これは何にゃ?」


 暇を持て余し、ハンガーでぶらついていると気になる物体を発見し近くにいたトムに聞く。


「それか?

 …資料によるとキマイラの戦闘補助機らしい。」


 パッと見は一回り小さい戦闘機に見える。

 しかし、艦にパイロットはマルコシアス隊の5人しかいない。

 また、機体のコックピット部は装甲板で閉じられており、搭乗出来そうに無い。


「何でも、キマイラの携行武器の交換用の遠隔操作機

 らしい。」


 つまりは運送ドローンだ。


「…使えるのにゃ?」


 ピコの疑問は最もである。

 キャトラスとドギヘルスの戦争初期には人的損失低減の為双方の主力として活躍したドローンであったが、増えるデブリや妨害電波等によりまともに機能しなくなってしまったのである。

 そのため現在は有人機同士での戦闘がメインとなっている。(ドギヘルスのRCTは有線)


「コックピット部に艦用の通信電波受信機を搭載して

 いるみたいだ。」


 艦用の通信装置は、ドローンを置物に変えた環境下でも長距離での通信のやり取りが可能となるよう進化している。(大型化した為ドローンに搭載は不可)

 その受信機を搭載したことで運用を可能にしたというわけだ。(操作のみであれば送信機は不要)


「なるほど。

 …でも艦の送信機は使え無いにゃ。」


 艦の通信装置は当然、隊の連携のやり取りや基地との通信に使用されている為、ドローン操作には使え無い。

 肝心のオペレーターも不明のままだ。


「ディーバーはカーゴの通信装置を使用。

 オペレーターは私とスタイン小佐が担当します。」


 このドローンはディーバーという名前らしい。


(「運び屋」とは分かり易い名前にゃ。)


「バリー中尉とスタイン小佐が?」


 意外な人選に聞き返す。


「はい、操作訓練はクリア済みです。

 通信はプライズ大佐の部下の方が担当します。」


「管制射撃も、こっちの方が面白そうだから任せてき

 たにゃ。」


 スタイン小佐は相変わらずの態度だ。


「二人共、よろしくにゃ。」


「精一杯務めます。」


「適当に頑張るにゃ~。」


 こうして、マルコシアス隊の実働部隊はキマイラ5機に無人輸送戦闘機「ディーバー」2機が加わった。


 …………………………。


 …………………。


 …………。


 …。


チャキ…


 モニターに巨大な銃が映し出される。

 アイアンサイトを訓練用バルーンに合わせトリガーを引く。


ダンッ!


 撃ち出された弾はバルーンの僅か上方に逸れた。

 固定装備と異なりこれらの携行武器はキマイラのFCSとはリンクしていない。

 その為、武器に付いている照準器でマニュアルで合わせないとならない。

 これには元から射撃の苦手なピコだけでなく他の4人も苦戦している。(アームの微妙な操作が難しい)


「…う~ん…。

 この距離で狙って当たらないとなると単発銃はいら

 ないにゃ。」


 現在使用しているのは警官隊の狙撃班で使用されている銃をキマイラサイズに合わせ製造したものである。

(弾倉は固定となっている)

 的の距離設定はパルスガンの射程限界。

(エネルギーが拡散し威力を発揮しなくなる距離)

 やはりこれ以上の距離はチャージャーやミサイルになるか。


『フロス大尉、本日の訓練終了時刻まであと10分

 です。』


「了解にゃ。

 すぐに切り上げるにゃ。」


 今日はキマイラの携帯用武器の使用感の確認を行っていたがまだ試していないものがある。

 明日は今日の続きを行おう。


「キマイラ1、帰還するにゃ。」


 …………………………。

 …………………。

 …………。


カシュッ…


「ふぅ…。」


 最初は中々慣れなかったパイロットスーツも最早着なれたものだ。(それはそれ、締め付けの改善を希望)


「今日もお疲れ様にゃ。

 バイタルチェックするにゃ。」


 スーツから軍服に着替えるとミーコがやって来て測定具を付けていく。

 

『ピピッ ピピッ』


 測定が完了したようだ。


「血圧、血中酸素濃度規定値クリア。

 心拍数、肺活量も問題無し。」


 ミーコが端末にデータを入力していく。


「全項目問題無しにゃ。」


 それは良かった。


「でも機体から降りた直後は魔素活性値が上がって

 いるにゃ。

 何か違和感とかは無いにゃ?」


 ミーコが心配そうに聞く。

 魔素とは大気中にも存在している空気とは別の物質であり、体内の魔素活性値が低すぎると倦怠感を感じるという。


「大丈夫にゃ。

 むしろ調子が良いくらいにゃ。」


 自分は元気だとミーコに訴える。

 実際、今の機体に乗り始めてから高揚感を感じ機体操作も冴えているように思う。


(専用機ってすごいにゃ。)


 つい心の語彙力が消滅するほどに。


「ピコちゃんの大丈夫は信用しないにゃ。

 そうやってすぐ怪我するんだからにゃ。」


 ミーコにジト目で見らればつが悪くなる。


「…あっ!

 そろそろ夕食の時間にゃ。

 一緒に行くにゃ!」


 気まずくなり話題を変える。


「はぁ…。

 誤魔化されてあげるにゃ。

 ほら、行くにゃ。」


 呆れた態度を取りながらもピコの手を当たり前のように握って来るあたり、ミーコもピコに甘いようであった。



名称と実際の意味は合わせていません。

ただそれっぽくしているだけです。


例 ディーバー → デリバリー +   er

                 (~する人)


いつも読んでいただきありがとうございます

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