2 出自と衝撃
気になる?
気になるよね?
気になると言って?
だから特別に投稿します
執事さんに開かれた扉をくぐるとそこは広い玄関ホールだった。
吹き抜けの天井にはきらびやかなシャンデリアが吊るされ、壁には高そうな絵画、そして何より目を引いたのは正面の壁一面に彫られた一対の翼の生えた獣の彫刻だ。
パッと見は似ている獣だが、頭部と尾、体格が異なっている。
そしてその片方は、
「マルコシアスにゃ?」
もう片方の獣に比べ四肢が太く、体格自体が一回り大きい。
そして一番の特徴の蛇の尾。
「おや?
…よくご存じで。」
執事さんが意外そうに言う。
「ああ…!
最近よく大旦那様が仰っている部隊の?」
どうやらマルコシアス隊はウィング中将に認知されているようだ。
「お祖父様が最近…?」
孫娘のミーコは意外そうに呟いている。
「…ここでお待ち下さい。」
喋りながら歩いていると応接間に着いたようだ。
応接間はブラウンを基調とした落ち着いた雰囲気の部屋で中央に座り心地の良さそうなソファが四脚、テーブルを挟んで二脚ずつ向かい合って置かれていた。
執事さんに促され、その片側に並んで座る。
「では、ごゆっくりお過ごし下さい。」
執事さんが礼をして退出すると今度はメイドさんが数人入って来てお茶の用意をしてくれた。
(紅茶も茶菓子もとても美味しかった。)
…………………。
…………。
…。
ガヤガヤ…
美味しいお茶を楽しんで数分後、廊下が騒がしくなる。
「旦那様お待ちを!
ただ今来客が…」
「愛しの娘が来ているのだろう!?
話せる時に話さなければ!」
パタンッ…パタンッ…
「…………………。」
聞こえて来る会話から察するにミーコの父親が来たようだ。
ミーコの機嫌は急降下し、尻尾がソファの肘掛けを叩く。
バンッ!
部屋の扉が勢いよく開かれる。
「久しぶりだね私の天使!
マイハニーは元気かい?」
(うわ、きつ。)
おっと。
あまりのハイテンションぶりに失礼なことを考えてしまった。
「お久しぶりです、次期当主様。」
ミーコは立ち上がりカーテシー(?)をする。
中将が「お祖父様」呼びに対して父親は立場で呼ぶあたり、相当嫌っているとみた。
「そんなつれないことを言わないでおくれ。
「会いたかったパパ-!」って飛び込んでおいで。
ほらっ!」
うん。
既に成人した娘の扱いじゃ無い。
当事者で無いのにイラッと来る。
「お前は呼んでいないぞ。
セバス。」
サッ
「失礼致します、若旦那様。」
トンッ…
「おぅん!?」
トサッ…
「連れて行け。」
ズルズル…
パタンッ…
今目の前で起こった事をありのまま説明する。
1、中将と執事さん到着。
2、中将が執事さんを呼ぶ。
3、執事さんがミーコ父の後ろに回り込む。
(動きが見えなかった!)
4、断りを入れ首筋を軽く叩く。
(リアル「トンッ」ですよ、奥さん!)
5、ミーコ父気絶し、その場に崩れる。
6、執事さんが倒れる前に抱える。
(体格はミーコ父の方が大きい。)
7、中将が執事さんに指示を出す。
8、執事さん、ミーコ父の足を引き摺りながら
も一人で運び退出。
この間僅か数秒である。
人によっては見逃してしまうだろう。
「愚息が済まなかった。
…話を始めよう。」
中将は何事もなかったように対面に座る。
「さて、ミーコの出自についてだったか…。」
どうやら事前に話を通していたようだ。
しかし、中将がわざわざ?
「我が家の恥を晒すような話になるが…」
いきなりブッ込んで来た!?
えっ!
大丈夫?
後で「お前は知り過ぎた…。」とか言われて消され無い!?
「我が息子は仕事は優秀ではあるが、その反動か私
生活はだらしなくてな…」
混乱するピコをよそに中将は話続ける。
「婚約している雌がいるにもかかわらず、護衛の雌
に手を出してな…」
重婚自体は可能だが順序が悪い。
「生まれた娘に自分の理想を押し付けた挙げ句に、
勝手に軍閥の名家に婚約の打診ときた…。」
ここまではよくありそうな話ではある。
「本来ならば無効になる話だったのだがな…」
当主を通していない話は家同士の決定にはならないらしい。
「我が家の血筋を求めた相手側がしつこくてな…」
スタイン小将も言っていたな…。
「娘の自由を守る為、母親はウィング家を出奔。
姿を眩ませた、という訳さ…。」
話の流れは掴めた。
しかし解せない点もある。
「スタイン家が諦め切れないほどの血筋。
ウィング家の血筋にそんな価値があるのかにゃ?」
家の存続に懸命な各界の名家に喧嘩を売るような質問をする。
だが、どうしてもピコには「長く続く古くからの名家」という認識しかないのだ。
「ウィング家が古くから続く家ということは知ってい
るね?」
コクリ
頷くピコ。
どうやら答えて貰えるらしい。
「その歴史は約4000年。
この惑星が統一されてから続いている。」
なんと!
…だが、それだけだろうか?
「そしてウィング家の血筋には統一以前の支配種族、
天虎族の王家の血が混ざっている。」
!!!
滅亡した古代の支配種族の末裔が存在したのか!?
「我が家のように古い家にはそういった血筋が幾つか
あるのだよ。」
中将はさらに衝撃的な事を言う。
「君は創世神話を知っているかね?」
惑星キャトラスに祖先がやって来た話から始まる統一以前の神話の事か?
「あれは単なる神話ではない。
実際の出来事に少し装飾を行った実話だ。」
滅ぶ≠根絶やし ということです
いつも読んでいただきありがとうございます
いつもの時間の投稿はこの世界の神話となります
ファンタジーが加速するっ!




