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21 攻防

滑り込みっ!

 第三前線基地を出撃して数時間。

 途中何度か敵部隊の襲撃があったものの、特に被害は無くドギヘルス軍の支配領域に侵入した。

(襲撃とは言っても、強行偵察のようなものだ。)


『各員に通達。

 偵察機が敵移動式要塞の姿を捉えた。

 間もなく交戦距離になる。

 布陣を開始する。』


 予定より早い接触だ。

 要塞は完成していたのだろう。

 こちらが艦隊を集合させる動きに呼応して奥から出張って来たのだろう。


「マルコシアス隊各機に通達にゃ。

 ミケコ副長、ビルフィッシュに張り付いて付近に

 来た敵機を相手するにゃ。

 ガイウス軍曹、友軍艦を優先に援護射撃。 

 ビルフィッシュから離れ過ぎ無いようににゃ。

 トーマス上等兵、ビルフィッシュとキメラ2のエネ

 ルギー中継。

 危なくなったら生存優先にゃ。

 ディック上等兵、わたしと前で暴れるにゃ。

 弾切れには十分に注意にゃ。」


『『『『了解。』』』』


『艦隊、布陣完了しました。

 ガーディアン隊、マルコシアス隊、出撃して下さ

 い。』


 いよいよ戦いが始まる。


「マルコシアス隊キメラ1、ピコ・フローレンス、

 出るにゃ!」


 …………………。

 …………。

 …。


 ランナー機と駆逐艦配置帯の前に出てきた。

 更に前方には数百の戦闘機が並ぶ。

 

『うひゃ~!

 隊長、壮観っすね。』


 確かにこれ程の戦闘機と軍艦が並ぶ光景は画像でしか見たことがない。

 しかも、これら全てがこれから戦闘を行うのだ。

 ディックが興奮するのも無理は無い。


「ディック、すぐに戦闘開始にゃ。

 切り換えるにゃ。」


 しかし、興奮したまま戦闘は危険なので注意する。


『作戦開始時刻となりました。

 戦闘機隊、突撃して下さい。

 駆逐艦隊、続いて突撃。

 ポッド隊、帯同して下さい。

 全体前へ。』


 ブルーギルからの全体通信。

 戦闘機隊がバーナーを焚き、要塞に突っ込んで行く。

 そして、


ババババババッ


 幾十もの爆発。

 ファーストコンタクト。

 敵も味方も多数墜ちただろう。

 駆逐艦隊も全速で前進。

 ポッド隊も駆逐艦に合わせ前進。

 移動式要塞を巡る攻防が本格化する。





~戦場A (開戦直前~)~


 中央、最前線戦闘機部隊。

 そこに軍歴三年目となる曹長の雄がいた。

 その雄は士官学校卒業後、第四宙域に配属されたことに不満を抱いていた。

 彼曰く、自分がこんなところで燻っているのは自分の才能を認めない教官のせいだ、と。

 だが、運に恵まれ曹長までは昇進できた。

 今年は現状維持に留まったがこうして大きな戦いに参加できる幸運に恵まれた!

 更に、中将に内定すると噂される小将が総司令官だ。

 功績を上げれば二階級特進も有り得る。


『作戦開始時刻となりました。』


 来た。

 作戦開始の合図。

 スロットルをフルに。


ドンッ…ゴォッ


「一番槍いくぞっ!」


 並ぶ機体は周囲には無い。


『戦闘機隊、突撃して下さい。』


『あっ!

 おいっ!』


 隊長が慌てて追って来るが待たない。


バババッ


 大量のミサイルが視界に入る。

 そして、


ボンッ


 功績に目が眩み突出したその雄の機体はファーストコンタクトの爆発の一つとなり、消失した。




~戦場B (時刻不明)~


 右翼、外側よりの戦場の一部には恐怖が蔓延していた。


ボンッ…


『くそっ!

 またやられた!』


『あの黒い機体、速すぎる。』


『「電撃」か!?』


『奴らはケートスがやったんじゃ…

 「ガガガッ!」

 ぎゃっ…………。』


ボンッ…


『よし!

 後ろをとった!

 …何っ!?』


『何故撃たないっ!?』


『ロック出来なかったんだっt

 うわぁっ!』


ボンッ…


『なんだと…?』


(それではまるで…)


 「幽霊(ゴースト)


ボンッ…


 この小隊の名はスカーレット隊。

 左翼に配置された彼らは、エンジン部から紫の粒子を放出する漆黒の正体不明機と交戦し全滅。

 作戦から生還した駆逐艦が偶然捉えたその姿から「紫電」と呼ばれるようになるその機体はこの後、戦場から忽然と姿を消す。


 


~戦場C (時刻不明)~


ピュンッ


ボッ


『ハハハハハハハハハッ!』


ダダダッ


ボンッ


 無線機が先ほどから狂った笑い声を傍受する。

 笑い声は報告にあった複座(?)の敵ポッドから発せられている。

 

シュバッ


 その機体目掛けミサイルが飛んで行く。


ピュンッ


ボッ…


『ハハッ!

 当たらねぇなぁ!』


ゴォッ


 キャトラス軍のポッドが突撃する。


ヴォッ


ギュンッ


『だからぁっ!』


ダダダッ


『無駄だってぇの!』


ボンッ


『俺を墜としたいなら青い艦でも連れてきなぁ!』


ピュンッピュンッ


ダダダダダダッ


ボッボボッボンッ


『どこだぁ…。

 ぶっ殺してやるよぉ…。』


 周囲に敵機の居なくなった狂った機体はただひとつの獲物を求め、戦場をさ迷う。






~ピコ視点~


 戦闘が開始されて数十分は経過した。

 敵の抵抗は激しく、あちこちで爆発の華が開く。

 しかし戦闘はキャトラス軍有利で進んでいるのか、敵要塞の損傷が目立つようになって来た。


『ピピ…ピピ…』


【武装用コンデンサ残量   20/100】


 リニアガンの残弾数は既に0。

 武装用エネルギーの残量の警告も出た。


(一旦帰還して補給にゃ。)


ゴォ…


 近辺の敵機は粗方墜とした。

 ビルフィッシュに機体の進路を向ける。


『ピピッ!』


 接近警告!


グンッ


 反射的に回避機動をとる。


ダダダッ


 正面上方からの射撃。


『ハハッ!

 その動き、覚えがあるぜぇ!

 あの青い艦の奴だろぅっ!?』


 なんだこいつ。


『ピピ…ピピ…』


 さっきから警告が鳴りっぱなしだ…。


『まずはお前からだあっ!』


ゴォッ


 敵機も襲いかかって来る。


キィン


【武装用コンデンサ残量  19/100】


『がぁっ!』


 邪魔だ。


(ザン)ッ!


 敵機を往なす。


バチバチッ


 敵機から激しい漏電(スパーク)


『まただっ!

 またお前にぃ!』


 両断とは行かなかったか。


『お前なんかぁっ!』


ボンッ


 …。

 最期までうるさい奴だった。


「キメラ1、一時帰還するにゃ。」





エネルギー残量の関係でブレードの切れ味は落ちていました。

(ヒント:起動音)



いつも読んでいただきありがとうございます

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