16 UPgrade
ファンタジー金属
~キャトラス鉱物研究所~
「う~む…。
新発見のこの金属…。
どう活用したものか…。」
よれよれの白衣を着た年老いた雄が資料片手にコーヒーを飲む。
彼を悩ます元凶は第七宙域で新たに発見された金属。
鉱物として、実に300年ぶりの発見である。
「じいちゃん、何そんなに悩んでるんだ?」
「博士と呼べと何度も…。
はぁ…。
これの活用法じゃよ…。」
この研究所の所長の老人は孫であり、自らの研究分野の跡継ぎの若い雄に資料を渡す。
「軽銀より軽く、炭素結晶より硬い。
しかし靱性は皆無で衝撃に弱い。
………活用とか無理じゃね?」
素の性質では優れた点も合成物質ならばいくらでもある程度のものだ。
使うとしたら、その半透明と錯覚する薄青の見た目を生かして装飾くらいだろう。
見つかる物質全てが役に立つとは限らないのだ。
~ビルフィッシュⅡ 1号カーゴ~
「フロス准尉、先日遭遇した複座型の敵機の報告、
本部へ送信完了しました。」
「バリー曹長、ご苦労様にゃ。」
マルコシアス隊のメンバーで唯一距離のあったバリキリー曹長であったが、先日ピコの略称が定まった事により、以前ほどの固さが感じられ無くなった。
「到着が待たれるキマイラの仕様改造パーツですが、
高機動仕様機の専用装備として、微細振動ブレー
ドが追加されるそうです。」
「にゃ?」
別呼称「高周波ブレード」。
統一直後の平定期に対テロ集団殲滅隊の装備として開発された、転生者曰く、「浪漫武器」である。
浪漫武器と言われるだけあり、凄まじい切れ味を誇ったが、刀身の耐久性が著しく悪く、実用性が低い武器だ。
実際当時の時点ですぐに廃れたと言われている。
そんな武器を現代に何故?
そんな疑問から間抜けな声が出てしまった。
「詳しくは資料がまだなので分かりません。
しかし、ポッドが双方で運用され始め、近接格闘
が行われるケースが発生しているようで…。」
ポッドの武装はほとんどが実弾系だ。
弾切れを起こし、敵機に張り付かれたらアームでの殴打もやむ無しである。
「准尉のように積極的接近では無く、不意に接近さ
れた際の咄嗟の攻撃手段が求められているそうで
す。」
あ、そうですか…。
にしても、微細振動ブレードねぇ…。
「因みに、レーザーカッターにバッテリーパックを
内蔵し、出力を上げたレーザーナイフが採用予定
だとか。」
うん、あれは使える。
「ちょっと待つにゃ。
ブレードを使う意味あるかにゃ?」
「………武装開発部がノリで作ったので使って欲しい
みたいです。」
「勿体無い精神万歳!」である…。
…………………………。
…………………。
…………。
…。
半年がたった。
キマイラの改造パーツが無事に届いた。
改造パーツはバトルポッドの仕様をベースに改良・発展させた5種の仕様分が用意された。
1種目。
分厚い装甲にもなる小型ロケットポッドを機体全面に追加。
機体両側面は対艦ミサイルランチャー。
機体上部には四連装対空ミサイルランチャー。
両アームのバルカンは標準より大きい口径になっている。
バルカンによる弾幕形成の為、機体背部には大容量の弾薬ボックスを携行。
機動力は半減したものの、並の火器では傷つかない。
回避を捨てた重火力仕様。
通称「キマイラ・ヘビーアサルト」
パイロットはミケコ・ロドウェル。
2種目。
レーダー波を吸収する特殊装甲を機体全面に追加。
機体上部には超長距離射撃用精密レーダー。
機体右側面に砲身交換式のレーザーランチャー。
機体左側面には交換用砲身ラック。
アームバルカンは標準2基。
背部には大容量コンデンサとエネルギーコンプレッサー、追加スラスターが一体となったスナイパーパックを装備。
敵に覚られる事無い一撃必殺。
通称「キマイラ・スナイパー」
パイロットはガイウス・バング。
3種目。
追加装甲は特に無し。
機体上部、両側面に対空ミサイルランチャーを兼ねるブースターを装備。
アームにはショートバレルショットガン。
背部には爆雷散布機を携行。
一撃離脱の突撃機。
通称「キマイラ・レイド」
パイロットはディック・ランナー。
4種目。
機体全面に追加装甲。
機体上部にパルスガン。
機体両側面には標準の二連装ミサイルランチャー。
アームの装備も標準のバルカン。
背部には供給コード付きのコンデンサを装備。
生存率と継戦能力を上げた指揮官仕様。
通称「キマイラ・コマンド」
パイロットはトーマス・ポーター。
5種目。
機体各部にサブスラスターが組み込まれた軽装甲を追加。
機体上部には標準パルスガン。
機体両側面にはショートリニアガン。
左アームにはパルスバルカン。
右アームには機体長ほどある刀身の微細振動ブレードが装着されている。
背部には武装用の小型コンデンサと可変スラスターが追加。
ついに要求を満たした高機動仕様機。
通称「キマイラ・ハイマニューバ」
パイロットはピコ・フローレンス。
『ビーッ! ビーッ! 』
『パイロット各員に告ぐ。
本艦進行方向に敵影あり。
出撃の準備をせよ。』
警報が鳴り、放送が響く。
キマイラ各仕様機の初出撃だ。
指揮官仕様であって指揮官用機では無いです。
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