12 新たに
説明回
あれから、前線基地からの増援部隊の到着を待ち、試用特務隊はビルフィッシュと共に前線本部基地に戻った。
「いよいよ新型に乗れるっす!」
少し遅れたが、予定通り試用特務隊のポッド班は全員、改装作業ポッドから新型戦闘ポッドへと機種変更
である。
「今の機体はどうするんですか?」
「ここに置いて行くにゃ。」
トーマス隊員の質問に答える。
新型戦闘ポッドへと乗り換える以上、今の乗機は不要になる。
その為、データ収集用の計器類を外し、通常仕様に戻され、この基地で利用される。
「試用特務隊長のフローレンス准尉ですね?
艦長がお呼びです。
ブリッジまで出頭願います。」
ビルフィッシュのクルー(見知らぬ顔だ)に伝えられ、ドッグへ向かう。
………。
……。
…。
ドッグへ出ると見知った高速輸送艦の後方側面に輸送船がくっつき、山の字のような形の戦闘艦が整備されていた。
……………。
………。
…。
「ピコ・フローレンス、出頭したにゃ。」
「よく来てくれた。
そこに掛けたまえ。」
ブリッジに入るとフリッター艦長と若い雄が待っていた。
「久しぶりだな、准尉。」
「久しぶりですにゃ、艦長。」
フリッターの階級がわからないので役職で呼ぶ。
「ああ、この艦を任せられるに当たって今は中佐だ。
昔の階級に戻してまで、また前線に引っ張り出さ
れるとは…。」
艦長は察して、現在の階級を教えてくれる。
「…おっと。
そういえば紹介がまだだったな。
彼はこのビルフィッシュⅡの管制射撃官の…」
「タマ・スタイン中尉にゃ。
武装ポッドの考案者に会えて嬉しいにゃ。」
握手を交わす。
…しかし何故彼の紹介を。
「あの時、ピコ准尉が被弾した後の事だ…。
奴らはしつこく、被弾して下げた機体を出して来て
な…。」
あの時は全ての敵を無力化したと思い、その結果3ヶ月間昏睡してしまったが、まさかまだ動ける機体があったとは…。
「そこを、スタイン中尉の撃ったミサイルに助けられ
てな…。」
しかしあの時はまだ、長距離ミサイルのロックオン範囲内に友軍機はいなかった筈だ。
「まあ、少し遅かったようだけどにゃ。」
スタイン中尉が話に入る。
先ほどからふざけたような態度だが、フリッター艦長がわざわざ紹介してきたということは悪い人物ではないのだろう。
「いや、おかげで守りたいものが守れて良かった
にゃ。」
(もっとも、気付いたのはその後だけどにゃ…。)
問題はないとフォローする。
「そう言ってくれると思ったにゃ。
これから同じ艦の仲間としてよろしく頼むにゃ。」
そう言って彼はブリッジから出ていってしまった。
「…。
彼はああ言ったが、試用特務隊はこれまで通り
准尉が指揮する。
単にこの艦が拠点となっただけと考えてくれ。
もちろん同じ艦である以上、協力の要請は出さ
せて貰う。」
つまりは、フリッター艦長は試用特務に命令を下す権限は無く、ピコが艦長からの要請を受けて行動を決めるということだ。
「了解しましたにゃ。
ところで、機体の格納場所はビルフィッシュと
同じですかにゃ?」
この後、隊のメンバーで新型の確認をしたい。
「試用特務隊の機体は艦後方。
ブースター運搬船に分けて載せている。
改造でスペースが無くなってしまったのでな。」
詳しい話を聞くと、以前存在していた格納庫は、
前方格納庫→艦所属部隊の機体整備設備
(発艦カタパルト含む)
中央格納庫→武装用のSFsHジェネレーター
(エンジンからの流用)
後方格納庫→2基のエンジンと運搬船接続部
で埋まっているとのことだ。
「カーゴは試用特務で好きに使ってくれ。
設備は変わらんさ。」
「了解にゃ。」
話は終わったようで、早速我が隊の基地を確認するべく出口に向かう。
「それと、」
ブリッジから出る直前艦長に呼び止められる。
「後で艦所属隊の隊長と戦闘時の連携について、大ま
かに決めておいてくれ。」
「了解しましたにゃ。」
……………。
………。
…。
「……ということで、ここが我が隊のベースになる
にゃ!」
試用特務のメンバーを連れ、カーゴハンガーにやって来た。
そしてそこには新型戦闘ポッド。
「これが新型っすか!」
「一回り大きいですね。」
とディック&トーマス。
「資料によりますと………」
ハンナ曹長の説明を要約。
・より大容量のコンデンサを搭載する事で外付け
無しに武装の稼働が可能
(装備ラックの圧迫を解消)
・中核ユニットの耐衝撃構造化
(被弾時の機体の揺れ、弾の貫通を軽減)
・操縦補助システムの導入
(照準補正、回避補正等)
・武装の最適化
(消費エネルギー、固定方法等)
これらの改良により、
・戦闘継続時間の延長
(総量増加、消費減少)
・パイロットの安全性向上
(戦闘向けの機体、事故率の減少)
・技量の平均化
(命中率、回避率)
が見込める、との事だ。
試用特務で収集したデータを元に開発されたこの機体は全体的に扱い易くなった事だろう。
しかし改良出来る点はまだまだあるだろう。
このメンバーでこれからも頑張っていきたいものだ。
いつも読んでいただきありがとうございます




