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07 隷属契約




「――シクロ様。隷属契約の準備が出来ましたので」

「ああ。どうすればいい?」


 シクロはミストを開放して、奴隷商人の方へと向き直る。


「こちらの紙に描いた魔法陣が、私の職業スキル『奴隷商人』によって生み出された隷属契約の魔法陣です。こちらに契約対象の身体の一部分――髪の毛などを置いて、シクロ様が魔力を流すことで契約が成立します」

「なるほど。注意点は何かあるのか?」

「隷属側の魔力がシクロ様の魔力を著しく上回る場合は、無理やり隷属契約を破壊して契約を無効化することが出来ます。それ以外は特にありませんな」

「わかった」


 シクロの能力は、ディープホールを攻略したことで極めて高くなっている。

 なので、ミストの魔力がシクロを大きく上回る可能性は皆無と言えた。


「では、早速契約と参りましょう」


 言って、奴隷商人はミストから髪の毛を一本引き抜く。

 それを魔法陣を描いた紙の上に置き、紙ごとシクロへと渡す。


「ではシクロ様。魔力を流して下さい」

「分かった」


 シクロは――『時計使い』のスキルを使う時のことを思い出して、魔力を流し込む。

 スキルというものは、全て魔力を用いて発動する。

 そのため、魔法系のスキルを持たないシクロも、魔力を扱う感覚には慣れ親しんでいるのだ。


「こ、これは……っ!?」


 シクロが魔力を流し込んだ途端、隷属契約の魔法陣が激しい光を放つ。


「こ、ここまでの魔力で契約をなさる方など……見たことも訊いたこともありませんぞっ!!」


 奴隷商人の驚愕する声をよそに、シクロは順調に魔力を込める。

 やがて魔法陣の限界らしいものを感じた為、魔力を込めるのを止める。


 すると、魔法陣から放たれる光が、紙から剥がれて、ミストの方へと飛んでいく。


 そして光はミストの首の周りに集まり、そのまま定着して――光が収まった後には、ミストの首に入れ墨のような文様が浮かんでいた。


「れ、隷属契約成功ですな。その首の文様が、隷属契約の証です。命令を与える時は、文様に魔力を流しながら指示を出して下さい。奴隷が命令に背こうとした場合は、その文様が熱を発し、首を絞め、奴隷の行動を封じます」


 あまりにも強い光に呆気に取られていた奴隷商人だったが、慌てて気を取り直して仕事に戻り説明をする。


「なるほど。他には何かあるか?」

「文様に魔力を流しながら、罰を与えようと念じれば、命令に背いた場合と同じ効果が発動します。命令は、遠距離でも十分に強い魔力であれば発動します。覚えておくべき点はこれぐらいでしょうな」

「分かった、覚えておく」


 シクロには、文様を通じてミストを罰するつもりなど無かった。

 だが――自分を裏切らないように、いくつかの命令はする必要がある。なので、覚えておくべき知識だ。


「では、シクロ様。お支払いは――」

「ああ。引き落としておいてくれ」


 言って、シクロはギルドカードを差し出す。

 冒険者ギルドに口座があるので、シクロのギルドカードは、その口座とも紐付けされている。

 なので、ギルドカードの情報があれば冒険者ギルドの口座からの引き落としという形で支払いが可能なのだ。


「かしこまりました――」


 奴隷商人は言って、ギルドカードを受け取る。

 そして情報を読み取るために魔道具へと差し込んで――大声を上げる。


「なななななっ!? え、SSSランクぅッ!?」


 シクロのギルドガードから読み取られた情報が、あまりにも信じられない内容であった為だ。


「……なんだ。偽造でも疑ってんのか?」

「い、いえ。そういうわけでは」

「証明して欲しいんだったら、この店を消し飛ばして見せようかと思ったんだけどな。必要無かったようで助かるよ」

「は、ははは……」


 奴隷商人側も、ギルドカードの偽造は疑っていない。

 だからこそ驚いたのだし、そしてだからこそ、シクロの言葉が虚言ではないだろうと確信できた為、冷や汗をかいたのだ。


「それじゃあ、また世話になることがあればここを利用させてもらうよ」

「ぜ、ぜひご贔屓に。ありがとうございました……」


 最後の最後に、特大の爆弾を投下して、シクロは奴隷商人の店を後にするのであった。

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― 新着の感想 ―
[一言] 主人公、エルダーレイスに人格を乗っ取られてるでしょ
[気になる点] 「では、シクロ様。お支払いは――」 「ああ。引き落としておいてくれ」 幾らかを聞かずに支払いするというのは、とても違和感があります。
[一言] 主人公がマリアを許す事は無いと思います。 少なくともジョブ主義の実家の考えた方は 気に入らないだろうし、マリアと別れさせ自分を ドン底に陥れた一勢力だから一族を路頭に 迷わせるぐらい潰そうと…
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