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異世界ライフが思っていたのとちょっと違う  作者: とんけ
第二章:奴隷と送る!?異世界ライフ
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4. 僕の奴隷は破天荒な猫耳少女:その2

「というわけで、今日から一緒に依頼をこなそうと思うんですけど」


 僕達は冒険者ギルドにやってきた。

 そして、いつも通りぺルぺルの窓口に行き、事情を説明して指示を仰ぐ。


「そういう場合はこちらの紙面に奴隷を所有する旨を記入していただければ一緒に依頼をこなして問題ありませんよ」

「わかりました。ありがとうございます」


 そう言ってぺルぺルは机から紙面を取り出して手渡してきた。

 僕はその紙面にざっと目を通す。


「しかし、タイチさんに奴隷ですか。話を聞いた限りではちょっと......」

「ちょっとなんですか?」


 僕は紙面に目を通しながら返答する。


「いえ、なんでもありません。今日も気をつけてくださいね。あ、あと、奴隷に関するパンフレットもありますけど買いますか?」

「いえ、今日は無一文なのでまたの機会にしますね」

「そうですか。残念です」


 僕は紙面に必要な情報を記入してぺルぺルに手渡した。


「はい。これでお願いします」

「ミーシャさんですか。タイチさんのことよろしくお願いしますね?」

「はい、任せてください」


 ミーシャは胸に手を当てて、さながらどこかの騎士のような格好で返事をした。

 ぺルぺルはミーシャのその対応を見て、安心したよう表情をする。


「頼りになりそうでよかったですね」

「ええ、とても運がよかったです。それでは、行ってきますね」

「はい、頑張ってください」



 こうして、僕達はいつものように一角うさぎの討伐に出かけるのであった。


 一角うさぎの討伐は、うさぎを倒しその角を持ち帰ることで角の数に応じて報酬がもらえるという常時募集型の依頼である。ぺルぺルのパンフレットによると、一角ウサギは案外馬鹿にできない脅威のようで、常にその数を減らしておかないと、行商人などが襲われてしまい大変なことになってしまうそうである。また、一角うさぎは最も倒しやすい魔物の一種で、主に駆け出しの冒険者が必死になって草原のうさぎを駆逐している。そして、僕もそんな駆け出しの冒険者の一人というわけだ。

 うさぎを一匹討伐すると銅貨二枚をもらえるので、案外報酬も悪くないのだ。まぁ、弱いとは言っても魔物なので、命がけの作業と考えたら決して高くはないのだけれど。


 そんなこんなで僕達は草原の真っただ中にやってきた。

 モルカドの壁が見える位の場所なのでそれほど街からは離れてはいない。


「それじゃあ、早速うさぎを狩ろうと思うんだけど、とりあえず今日は様子を見ててもらえるかな?それで大丈夫そうなら明日から参加してもらおうと思ってるんだけど」

「わかりました」


 僕は口笛をぴゅーと吹いた。

 僕の口笛に会わせて、ボッスンが地面に着地する。


「――――!?」


 ミーシャが急に短剣を取り出して、戦闘態勢に入った。

 ミーシャが戦闘態勢をとったことで、ボッスンも「カ―!」と威嚇の声を上げる。


「あ、大丈夫だから。安心して」


 僕はあわててミーシャを止める。


「しかし、巨大な鳥が......」


 ミーシャは短剣を構えたまま、警戒心を前面に出してそう呟いた。


「こいつは僕の相棒だから平気なんだよ。名前はボッスン」

「相棒......ですか」

「うん、大体いつも二人で狩ってるんだよ。間違って攻撃しないように紹介しておこうと思って」

「そうでしたか」


 相棒という言葉を聞いて、警戒はしつつも戦闘態勢を解除する。

 ミーシャの戦闘態勢が解除されたことを受けて、戸惑いつつも戦闘態勢に入っていたボッスンもそれを解除する。「カ―」と、呆れたように鳴いていた。


 どうやらミーシャは過剰に反応しすぎるきらいがあるようだ。メルの時も必要以上に頑な態度を取っていたし。しかし、それも僕のことを思ってのものらしいので、なんとも対応に困る。懐くにしても早すぎるんじゃないだろうか。チョロインというやつか?


 そんなことを頭の片隅で考えながらも、気を引き締めて狩りを開始することにする。


「じゃあ、とりあえず見ててね」

「わかりました」


 そして、いつもどおりボッスンが飛翔して空からウサギを探し始める。

 同時に僕も地面で獲物を探す。


 しばらくして、ボッスンが「カ―」と一鳴きし、地面に急降下した。

 これは獲物を発見したという合図だ。僕も急いで現場に向かう。


 僕がボッスンの元へと到着すると、そこには一匹のウサギが「グルルルル」と威嚇音を上げていた。その周りを挑発するようにボッスンが飛行いている。


 僕はウサギの元へと駆けだした。


 そして、ウサギがボッスンに夢中になっている間に、背後からぶすりと一突きする。「ピギャー」と悲鳴を上げ、ウサギはばさりと地面に倒れ込んだ。


「大体いつもこんな感じなんだけど、どうかな?」


 僕はミーシャの方を向く。

 かっこつけたわけではないけど、うさぎを華麗に一突きで倒す僕に惚れてしまったのではないだろうか。そんな思いで振り返ってみたのだが、ミーシャはなんとも微妙な表情を浮かべ眺めていた。


「............」

「あの、どうだったかな?」

「あ、すみません。これなら大丈夫だと思います」


 うさぎを殺すことに嫌悪感でも感じているのだろうか。大丈夫とは言っているけれど、なんとも微妙な間と表情であった。


 本当は角を狩っていってもらおうと思ってたんだけども、今日は見るだけにしておこうかしら。


「それじゃあ、角を取るから短剣を一度貸してもらえる?」

「あ、それ位私がやりますよ」

「無理しなくてもいいんだよ」

「全然大丈夫です」


 そう言って、ミーシャは倒れたウサギの元へと近づいて、さくっと角を剥ぎ取った。


「うわ!?すごいね。僕だったら数分はかかってたよ」

「そうですか。これくらい簡単ですよ」

「そう、それなら、今日は倒したウサギの角を取って行ってくれるかな?」

「わかりました」


 こうして、僕達は役割分担をして狩りを進めて行った。



 いつも以上に順調に狩りを行い、日もある程度沈みかけてきたので、今日の狩りは終了することにした。

 素材を剥ぎ取るのが速いミーシャのおかげで、いつもは五、六匹しか狩れないうさぎを今日は十匹も狩ることができた。狩りの最中もずっと複雑な表情をしていたのが気になったが、なんの問題も起きずに最後まで付き合ってくれた。


「今日はミーシャちゃんのおかげで十匹も狩ることができたよ。ありがとうね」


 僕はそんな今日のMVPであるミーシャにお礼を言った。 


「いえ、私は角を取っていただけですから」

「それでもすごい役にたったよ。角を持ってもらえたから動きやすかったし。今日は危なげなく狩りができてよかったよ」

「いつもは危なくなる場面があるのですか?」


 明日からの狩りに不安を感じたのだろうか、ミーシャが眉をしかめてそう尋ねてくる。

 僕は心配させないように応えることにした。


「いや、大丈夫だよ。たまーに、角の攻撃をくらいそうになったりするくらいだから。今まで結構狩りをしてきたけど、実際にくらったことはまだ一度もないからさ」

「そう、ですか」

 

 ミーシャは僕の言葉を聞いて、納得したような表情を作った。


「じゃあ、帰りますか」

「そうですね」



 こうして、僕達はウサギ狩りを終え、冒険者ギルドへと戻ってきたのであった。


「わー、凄いですね。今日は十匹も倒したんですね」

「ええ。ミーシャのおかげで狩りがスムーズに行えましたよ」

「そうなんですね。偉いですね。ミーシャさん」

「いえ、大したことはしていませんから」


 僕達が窓口でそんなやりとりをしていると、横の受付で手続きをしていた冒険者が横やりを入れてくるのだった。


「はっ。奴隷まで買って、たった十匹しか狩れないのかよ。おっさん、冒険者止めた方がいいんじゃねーの?俺なんて一人で十二匹も狩ってきたぜ?嬢ちゃんもかわいそうだな。こんな冒険者に買われてよ」


 こいつは最近よく絡んでくるようになった冒険者Aだ。

 年齢は十代後半位だろうか。同じEランク冒険者のようで、最近僕に対していちいち絡んでくる厄介なやつだ。憎たらしいことこの上ないが、僕はこういうヤンキー風なチンピラが苦手なのでいつも無視をするようにしている。


「あの、いつも言っていますが、そういうことを言うのはやめて頂けますか。多く狩るのが偉いというわけではないんですから。人には人のペースがあるんですよ」


 ぺルぺルが代わりに抗議してくれるが、しかし、それを受けて冒険者Aはさらに怒りの表情を浮かべる。


「は、女にかばってもらうなんて恥ずかしいと思わないのか?情けない奴だな」


 いつもならこんなことを言われても大して気にしないようにするのだが、今日はちょっぴりと事情が違った。僕はそっとミーシャの表情をみる。案の定、ミーシャはものすごい怒りの表情を浮かべて冒険者Aを睨んでいた。いまにも襲いかからんといった感じである。

 僕はあわてて、ミーシャの前に立ちはだかり、冒険者Aと向き合った。


「あ?なんだよ。文句でもあんのか?」


 う、地球産のヤンキーだって怖いのに、異世界産のヤンキーに睨まれた怖くてちびっちまいそうだ。

 頭がパニックになりそうである。というか、もうしっちゃかめっちゃかになっていた。


「...........」

「今日はどうしたよ。いつもみたいに黙ってうつむいてろよ。このゴミカスやろうが」


―――――ぷつん。

 

 パニックになった頭に飛び込んでくる罵声。

 僕の頭の中にあった何かが、プッツンと切れた気がした。


「ごちゃごちゃうるせーんだよ。黙って、かーちゃんのおっぱいでも吸ってろ。このガキンチョが!!!!」


 僕は半ば無意識にそう叫んでいた。


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