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異世界ライフが思っていたのとちょっと違う  作者: とんけ
第一章:始まる!?僕の異世界ライフ
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10. 新米カカシ VS 鳥軍団

「いいか。カカシをなめてかかると痛い目にあうぞ。カカシというのは農地を鳥類から守るため命がけでの作業になるのだ」


 僕は今、ニコニコ農場で、農場専属のカカシからレクチャーを受けていた。先輩カカシは革製の防具でみっちりと身を包み、手には真っ赤に染まった木刀を持っている。体格は優に2mを超すかのような巨体であった。

 

「そのため、君達には油断せずに任務にあたってほしい」


 ここには僕の他に二人の男が来ていた。

 どちらも十代前半位の年齢で、どちらも手ぶらであった。僕と同じFランク冒険者だろうか。先輩カカシが話し始めてから、二人で何やらこそこそと話している。「思ってたのと違う」、「ニコニコ感が全然ない」等々、僕も全く同感なことを話していた。


「これを見てみろ」


 そう言って、先輩カカシは腕をまくった。

 そこには何かの拷問でも受けたかのような悲惨な傷跡が無数に存在していた。


「これはすべて鳥たちにやられたものだ」

「ひ、ひい」


 隣の男がその悲惨な傷跡を見て悲鳴をあげる。

 

「いいか。油断したらこうなるんだ。お前達、今ならまだ引き返すことを許そう。半端な覚悟で臨まれたら命の保証はできないからな」

「うわ~」


 隣の男たちが一目さんに逃げて行った。

 一人はあまりにも必死に逃げていて道端の石に躓いてこけそうになっていた。昨日の僕もあんな感じに見えたのかもしれないなぁ。


「今回は一人残ったか。変な格好だが剣と盾を装備していて期待はしていたぞ」

「あ、ありがとうございます」


 正直僕も逃げ出したかったが、カカシもできずに逃げたとなるとテレサに馬鹿にされそうな気がしたので必死に耐えたのである。しかし、今回はって、毎回みんな逃げ出してるのかな。まぁ、こんなこわもての人にあんな怖い傷を見せられて怖いこと言われれば当然だと思うけど。


「よし、それでは具体的に説明に移ろうか」

「お願いします」

「これから俺達は農地の巡回を行う。その際、大きな声を出して鳥たちを威嚇しつつ、それでもなお近づいてきた鳥たちを即退治するのだ。ちなみに、さきほどの話は大げさな話ではなく、油断していると返り討ちにあうので気をつけてほしい」

「は、はい。わかりました」


 しかし、返り討ちって一体。でも、あの可愛らしいウサギですらここでは凶暴な野獣である。

 僕は油断せずに臨むことを決意した。


「よし、ではお前は左半分の巡回を頼む。俺は右側を担当する。お昼休憩は交互に取る。その際は声をかけるからそれまでは各自油断せずに仕事を行うように。あ、それと、農民の人の作業の邪魔はしないように気をつけろよ」

「え、退治の方法とかは特に説明ないんですか?」

「ああ。お前も冒険者だろう。自分の頭で考えて好きにやってくれ」

「わ、わかりました」

「よし、それではスタートだ。」 


 こうして僕の初任務がスタートした。

 てくてくと左側の農地まで移動する。僕が担当する地域はキャベツのような野菜を栽培していた。他にも種類があったが、土に埋まっているタイプのようで何を育てているかはわからない。全体的に葉っぱや茎が高くなる作物がないため、視界は開けている。でも、範囲はとても広く、目測東京ドーム位はあるんじゃないかと思う。いや、もっとかも。

 

 とりあえず僕は歌を歌いながら、農地を巡回することにした。

 

「ぼ~くらは~みんな~い~きている~。いき~ているからうたうんだ~」


 ここには知ってる人もいない。さらには農地の人も今は右側の方で作業をしている。

 そんなわけで、僕は気分良く歌を歌いながら歩き続けた。


 上空には鳥が何匹か飛行していたが、僕の歌声に鳥たちも警戒しているのかちっともよってこない。

 

 僕は気分良く歌い続けた。

 しかし、意外に歌いながら空を警戒して歩き続けるというのは疲れるもので、先輩カカシからお昼休憩の合図をもらったころには疲れ果てていた。


「おい、まだ半分終わったばかりだけど大丈夫か?」

「は、はい。ふぅ。鳥たちも、ふぅ、僕の歌に恐れをなして、ふぅ~、近づいてきませんから。はぁ。はぁ」

「そ、そうか。ゆっくり休んで午後も頑張ってくれよ」

「はい」


 僕は木陰に移動して座った。

 お弁当は何も持ってきてない。昼飯休憩とはいっても、僕にとってはただの休憩だ。

 お腹がぎゅーとなっていたが、必死に耐えるしかない。

 早くお金がほしい。


 そして、あっという間にお昼休憩の時間は終わる。


「どうだ?しっかり休めたか?」

「はい。午後も頑張りますよ」

「おう、よろしくな。じゃあ、次は俺が休ませてもらうからな」

「はい」

 

 こうして午後の部がスタートする。

 午前中同様、僕は歌を歌いながら巡回を始めた。


「あるっはれ~たひ~のこと~」


 お昼休憩で休めてたものの、しかし完全に疲労がとれたわけではない。

 次第に歌声を維持するのが困難になっていった。


「はぁ。はぁ。もう歌えない......」


 遂に息が切れ歌えなくなると、空を飛んでいた鳥たちがぴゅ~っと地面へと着地した。

 真っ黒なその風貌は、地球のカラスそっくりであったが、しかしサイズが2倍ほど大きい。

 

 降り立った三匹の鳥のうち、左目に傷を負ったボスのような鳥と目があった。その目はしっかりと僕のことを捉えていた。黒く吸い込まれるような瞳に、僕は確かな敵意を感じた。


 僕は鞘から剣を取り出す。

 そして剣を鳥たちへと向けた。


「くるなら来い!!!ここの作物は僕が守る!!!」


 僕の声を合図に、鳥たちが僕めがけて飛び立った。

 三匹の鳥たちが弾丸のように迫る。


 歌い続けて疲れた僕は、体はへとへとであったが意識は変な集中力を発揮していた。

 その迫りくる鳥たちを華麗に避ける。


「これがゾーンってやつか!負ける気がしない」


 僕は振り返って再度剣を構える。

 鳥たちもUターンしてまたも僕に迫ってきていた。


 僕は先頭のボス鳥めがけて思いっきり剣を振った。

 しかし、ボス鳥は僕の剣を避ける。僕は思いっきり振った反動で体勢を崩してしまった。


 そんな僕に時間差で二匹の鳥たちが迫る。

 焦る僕。

 しかし、焦りながらも冷静に対処する。


 さらに体勢を崩すことで一匹の軌道からそれ、最後の一匹は盾で受けることに成功した。

 

 すさまじい衝撃で盾を装備していた左腕がびりびりとしびれたが、直撃した鳥の方が被害は大きくおそらく首の骨が折れたのであろう苦しそうに地面でのたうちまわっていた。


 僕はすぐに立ち上がり、残りの二匹と対峙した。


「どうした?こいつみたいになりたいならかかってこいよ」


 僕のその挑発に子分鳥がこちらに飛び出してきそうになったものの、それをボス鳥が羽を広げることで制止する。


「どうやら冷静さは残っていたようだな」


 三体そろって完璧な時間差攻撃をしかけて僕をしとめるのに失敗している。さらに人数が少なくなった今、僕に勝つ見込みはゼロであると判断したのだろう。ボス鳥は悔しそうに「カ~」と泣き、空へと帰って行った。


「へ、やってやったぜ......」


 僕は再度どさりと尻もちをついた。

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