21.モンスター大戦Ⅲ
とある地方で伴天連術師が陰謀を巡らせ、モンスタートレインを引き起こす。
無数の昆虫型モンスター、万余のオーク、オーガ。そして数百の下級竜の襲来。
対策が遅れた公儀が派遣できたのは43人の戦闘集団のみ!
いよいよ待ったなし、ひたすら全力の魔法バトルの開始。
森の奥で明らかに異国の言葉で詠唱する術者が怪しい事をしている。
それは先行していた流れ者5人組の男達が確認していて、魔法師の子供と女が到着して以降は田崎の尾行と施術した場所の確認に彼らの時間の多くは費やされた。
彼らの調査で判明したことは、どうやら森の主であるドラゴンの巣穴を五芒星状の結界で囲もうとしているらしいこと。
五芒星の頂点に当たる場所に祭壇を作って、魔石を設置している。
異国の術らしく、その術式の効果が何であるのかわからない。
ただ、魔力は周囲に溢れかえっており、魔物が活性化しているのは確かだった。
また、森の主であるドラゴンがどの程度の存在かも確認できていない。
と言うのもドラゴンの活動は非常に緩慢で近寄って来る獲物を食らう程度のもの。積極的に暴れる性格ではないらしい。
しかし、今日の儀式めいた事の後から徐々に五芒星に流れる魔力が増大して、何らかの大規模な術が稼働し始めたらしい気配が感じられた。
森全体で急激に魔力が活性化して充満するような雰囲気だ。狂ったような嫌な殺気に満ちている。
この充満し始めた魔力のお蔭でティラノがケルペロスを食い殺せたのだから皮肉ではあった。単体ならケルペロスが遥かに上だが、数で上回る群れとなったティラノは暴君さながらに大いに暴れた。
モンスターを活性化させ凶暴化するような効果を持つような術式らしいが、しかし、魔法師の魔力は別段影響を受けていない。
9人の領主兵達を召喚させたモンスターであるティラノに始末させてから、子供の魔法師は魔石が設置された5カ所の祭壇の破却を配下に命じた。
暫く様子を伺っていたが、魔力の増加は止まったようだが一度あたりに充満してしまった魔力が消える気配はない。
子供は王宮へ一報を入れていた。
・異国の謎の儀式によって充満した魔力によってモンスターが活性化していて、暴れて森から溢れ出る可能性があること。
・最悪の場合は、森の主であるドラゴンが暴れるかもしれない。
・左京の始末をしたいけれど、城まで行って殺してよいか。
“領主である岩城氏の兵士が術師である左京に同行しているのだから、当然藩ぐるみの陰謀であると断じてよい。領主と左京の捕縛は必須だ。
姻戚関係のある久保田藩から亀田藩への干渉が頻繁に行われて近年関係が悪化している。
モンスターを利用して仕返しを企んでいるのは間違いない。
問題はその規模と、それがいつ始まるのか?”
大目付役柳生但馬守は、このように状況を分析していた。
“いまから援軍を送るには遅すぎるか!”
手遅れかもしてないと後悔しつつも柳生但馬は決断を下す。
但馬の献策はすぐさま勅命として下された。
・公儀隠密衆により領主と異国術者の関係者を捕縛すべし。
・モンスターが暴れた場合には王国魔物追討軍で対処すべし。なお、ハンター・ギルド規約9条の適応を認める。
夕刻の亀田城。
亀田藩主である岩城伊予守は、天守閣でお抱え魔法師の左京と談合していた。
「では予定通りに進めるぞよ、明日には久保田は焼け野原であろうな!ふふふっ」
「御意、お館様の御下知通りに仕掛けが出来ております。日が沈み、闇夜に閉ざされれば魔物どもの跳梁が始まりましょう」
酒杯を傾けながらのいかにも人の悪そうな表情での悪巧み。
岩城伊予が久保田藩に向けて魔物が突き進むと考えているのに対して、実際には凶暴化した無差別の魔物の暴走が始まる筈だ。
遠い久保田藩ではなく、地元の亀田藩により大きな被害が生じる筈なのだ。
左京としては現状の王家体制に少しでも綻びが生じて、キリシタンの勢力を増す余地を作りたいのだ。
岩城氏がどうなろうと、佐竹氏がどうなろうと、そんなことは左京にはどうでもいいことだった。左京に必要なのは社会不安そのものだ。
間抜けな岩城伊予を騙して、十分に準備ができたのは幸いだった。
森の魔力が増大し過ぎて暴走したティラノがケルペロスを食い殺すというのは予想外だったが、その程度のことは大きな問題でも無かろう。
“さあ、闇夜よ。早く来い。”心底楽しそうな笑顔で酒杯を傾ける同床異夢の2人である。
夕刻のハンター・ギルド支部。
支部長と副支部長は困惑していた。
そろそろ業務を終えて、夕食を食べて酒でも飲もうかという時間である。
そこに、王都のハンター・ギルド総本部から突然と亀田支部へのハンター・ギルド規約9条の適応が通告されて来たのである。
ハンター・ギルド規約9条とは、戦時におけるギルド構成員の王国軍への強制徴用規定である。
王家が有事を宣言した場合には、拒否権無しで一方的に徴兵されて、命令拒否は即刑罰適応という凶悪な規則。
軍人に嫌気がさしてハンターに転職しても、有事には兵隊に戻される。
王国軍に志願して試験で落とされて、でも有事には兵隊扱いにされる。
この規定を嫌がるハンターは少なくない。
「一体何が起きているというのだろうな?」
「戦争なんて起きていません。総本部は何を考えているのでしょうね。
指揮権者は既に派遣されているともありますし。」
困惑しきりの2人に、来客の訪問が告げられる。
例の流れ者のハンターが面会を求めていると。
2人は面会に応じることにした。
ドアがノックされ受付職員に案内されて入室する、見たことのある男と見知らぬ男。
「珍しいな、君の方から会いに来るなんて。
それに、今日はいつもと違って目立つ陣羽織なんだな。
所で、そちらのお連れさんは誰かな?」
支部長は愛想笑いで流れ者に対応することにした。
「ハンター・ギルド規約9条に基づいて、諸君らは我が配下になる。
以降、我らの指示に従え。
我は児雷也。王国魔物追討軍2番隊隊長である。
魔物追討軍大将出雲貴志様の命により、我がこの街の防衛指揮を担当する。
しかと心得よ。
今宵は領主の陰謀により森からモンスターが溢れ出る可能性が高まっている。
戦闘可能なハンターどもを至急招集せよ。
放出系魔法を使える者、弓兵は城門に。
近接戦闘系の者は町の主要な場所で警戒に当たらせよ。
なお、領主は既に改易されておる。藩兵に謀反の兆しあれば処断して構わぬ。」
「なんだと!」
「モンスターが溢れ出るですって。領主が改易って、そんな急に」
「領主とお抱え魔法師の捕縛には柳生様の配下が既に向かった。
我らは魔物退治が任務である。さあ、狩人どもを急ぎ招集させよ」
副支部長の方が多少再起動は早かった。
「緊急警報を発令します。ハンターはギルドに集めます」
そう言い残すと副支部長は部屋から飛び出して行った。
「こちらが2番隊長さんということは、君は一体何者なんだ?」
同行している顔なじみに支部長が引き攣った顔で尋ねる。
「自分は一番隊隊士です」
「一番隊の隊長さんというと?」
「勿論、竜殺しの英雄出雲貴志様です」
「ああ、俺達が相手にされない訳か・・・。強くて当たり前と言えば、当たり前か。
全くなんてこったい。
それで、大将閣下は何処に」
「お頭様は森の主の監視に当たります。雑魚の処理は我らで十分。
児雷也小隊長、自分は配置に戻ります」
「うむ、締めて掛れよ」
「応」
「あの、児雷也殿。森の主の監視とは・・・」
「なに、ドラゴン相手なら適任者は、お一人しかおられぬ」
同時刻の城門。
見慣れぬ緋色に龍の刺繍の羽織を纏った一団が警備兵に一方的に伝達する。
「勅命である。
諸君ら藩兵は只今を持って我ら魔物追討軍の指揮下に入る。
今宵はモンスター・トレインが想定されている。
城壁の警戒を強化せよ。
街の辻には歩哨を立たせよ。
なお、前領主岩城家には既に改易処分が下っておる。
既に亀田兵は正2位魔物追討軍大将出雲貴志様の指揮下に入っておる。
軍規違反は厳罰に処する。
左様心得よ」
王家の紋章入りの命令書を見せられて、城門守備隊は呆然とするばかりであった。
「放出系魔法を使える者と弓兵は城門の上に行け。
それ以外の者は飛んで来るモンスターに備えろ。
グズグズするな、急げよ。
倉庫にある矢は全部出して来い。
すぐに使うぞ。生きていたけりゃ矢などケチるなよ」
呆然自失の兵士達に遠慮なく叱咤の声が飛ぶ。
ある者は蹴飛ばされ、ある者は小突かれて。
徐々に戦闘の用意が始まっていく。
すっかり夜の帳に包まれた亀田城天守閣。
岩城伊予守は酒に酔ったか、既にうつらうつらと半分寝落ちしつつある。
「お館様、少し酒が過ぎましたかな?祭りはこれからですぞ」
「・・・ふむう・・・」
「これはいけませんな。
おい、誰かおらんか!?お館様に冷たい水をお持ちして差し上げろ」
パンパンと左京が手を叩いて女中を呼ぶ。
静々と襖が開けられる。
「御用でしょうか?」
「うむ、お館様に冷たい水を・・・」
言い終える前に女中の後ろから乱入した黒ずくめの装束の者達によって、首筋に手刀を食らった左京の意識が飛んでいった。
岩城伊予守は酒に混ぜられた痺れ薬が既に効いていた。目の前で左京が捕えられても反応らしい反応が無いほどに。
実際、薬は左京にも十分に効いていて魔法で防御することも出来ない状態だったのだ。
城内の家臣の多くは寝入っていて、翌朝になるまで領主の不在に気が付いたものはいなかったという。
忍び衆が魔法を使わずとも、必要な対処など簡単にやってのけた一幕だった。
魔の森
森は8区画に分けられて、それぞれに監視要員が配置されていた。
城門の正面が第1区、城門左側が第2区、その奥が第3区という具合になる。
城門から見て右側第8区、その奥が第7区だ。
市街地
児雷也隊
****才蔵隊****城門****佐助隊****
第1区
第8区 第2区
第7区 主 第3区
第6区 第4区
第5区
“こちら第6区、オークとオーガの群れ千体が第7区方面に移動中。”
“こちら第7区、ゴブリン、オーク、オーガ混成軍3千体集結中。”
“第8区、見渡す限りの小鬼の群れ。5千を超える模様。”
“第2区は大カマキリ、大蜘蛛を中心に2千匹終結。あっ、城門方面に移動を開始。”
“こちら第3区、大鰐、大ガマ、大蛇2百が集結。さらに第4区方面からトリケラ百が接近中。”
“こちら第4区、ティラノがトリケラを追いかけている、双方の総数で2百。”
“第5区、ワイバーン2百が集結中。”
「おーい、第1区どうした?状況知らせ!」
“・・・第1区。大カマキリと大蜘蛛がゴブリンとオークを追いかけつつ城門方面に進攻開始。総数2千を超える。”
10cm程の魔石を利用して通信する仕掛けになっているのだが、各方面とも緊迫度が増しているようだ。
城壁前には身の丈30mを超えるような、大ガマ、大猿。上空には大鷹が待ち構えている。
「猿飛小隊長殿、俺達の相手はムシですかい?殺しても食いたいモンじゃありませんねえ」
「まあ、そう言うな。カマキリだと城門を飛び越えて市街地に入るかもしれんぞ。上方へも警戒怠るなよ」
迎え撃つ側としては、児雷也率いる第2小隊が城門上に布陣。
その両翼に霧隠才蔵隊、猿飛佐助隊が布陣している。
市街地へ入り込んだモンスターはギルドで対処すべく支部長が指揮を執る手筈だ。
「敵、第一波来ます。地上にゴブリン、蜘蛛多数。上方にカマキリ飛来!」
「総員、撃ち方用意。矢も魔石のケチらず使えよ!」
「「「おう!」」」
亀田藩兵40人、ハンター100人、追討軍30人。城門に布陣する兵力はこれだけだ。
他に市街地には藩兵、低ランクのハンター、町民の義勇軍合わせて100人。
数千単位で襲ってくる魔物相手には数が少ない。
しかし、城壁に陣取るハンターと亀田兵には怯えは無い。
数刻前のこと。
城壁に布陣していた追討軍の隊員たちが異様に嬉しそうにティラノやワイバーン、大鰐あたりから採取したのであろう30cm程の大型魔石を並べて、試し撃ちと称して大威力の魔法攻撃を披露していた。
1人が放つ一撃で直径50mの範囲に大穴を穿つ大出力魔法。
10人が横並びで一斉に射撃するなら、凄まじい威力で広範囲を薙ぎ払った。
それを各10人の3個小隊で時間差をつけて3連発で撃ち放つ!
それはまさに圧巻という光景だった。
「万単位の敵さんが来ても怖くないな。むしろ来てほしい、いや絶対に来い」
金糸でドラゴンの刺繍を施した緋色の陣羽織を羽織る連中は、本当に楽しそうに笑っているのだ。
先行して森に入っていた隊士が狩り取っていたという大量の魔石が、城壁の通路に転がされている。これだけの魔力源があるなら、確かに何百回という大威力魔法が撃てるだろう。
守備兵達は確信した。この勝負は負けないと。
「敵、第一波来ます。地上にゴブリン、大蜘蛛多数。上方に大カマキリ飛来!」
「追討軍撃ち方用意、上方のカマキリを優先して落とすぞ。電撃魔法でやる。
第二小隊、射撃10秒前。
9、8、7、6、5、4、3、2、1。
撃てっ!」
猛烈な閃光が辺り一面を包み込む。
次の瞬間にはゴーンという遥か彼方まで届いたことであろう轟音が響き渡った。そして猛烈な地響きが襲い掛かる。
上空では瞬時に爆散するカマキリの群れ。
「第三小隊、目標は残存カマキリ。
第1分隊は上方、第2分隊は下方だ。
射撃5秒前。4、3、2、1。
テッ!」
広がる閃光と響き渡る轟音。
不思議なことに大音響が収まった瞬間というのは全くの無音状態に感じる。
この世から音がなくなったかと思えるような静寂が広がる。
しかし、それも引き続き行われる戦闘に破られる。
「第4小隊、個別射撃。残存カマキリを仕留めろ。町中に入れるな」
「「「「応!」」」」
「第2小隊。目標地上の先陣部隊!
火炎魔法を用意せよ。
射撃5秒前、4、3、2、1。
撃てや!」
“ボウッ!”
離れていても熱を感じる烈風が城壁まで届いてくる。
先陣で前進していたゴブリンの群れはあえなく灰になって消えた。
「第3小隊。目標後続の蜘蛛。
火炎魔法用意。
射撃5秒前、4、3、2、1。
テッ!」
「第4小隊。左手の残敵を掃討する。
火炎魔法用意。
射撃5秒前、4、3、2、1。
撃て!」
「第2小隊。目標右手の残敵。
射撃5秒前、4、3、2、1。
てい!」
「敵、第一波残敵逃げて行きます」
「ヨシ、カマキリは町中に入ったか?」
「大鷹で残敵は排除済み。町内には入っていない」
「了解。敵の第2波はどうか?」
“こちら第1区、ゴブリン、オーガなど約1万前進開始。”
「いよいよ、来たか」
「各小隊、引きつけてから時差広域撃滅射撃でやる。日頃の演習の成果を披露するぞ!
中々、都合のいい相手じゃないか」
「第3小隊了解」
「第4小隊了解」
時差広域撃滅射撃というのは、横並びで一斉射撃を繰り返すということだ。
ティラノやワイバーンから採取される30cm程の魔石を魔力源として利用した攻撃魔法なら、1人で1発につき直径50mを破壊する。
1個小隊で横に10人並ぶと横500m、縦50mに打撃を与える。
3個小隊でなら横1,500m縦50mの範囲を1回の射撃で破壊する。
これを縦方向にずらしながら、何度か射撃を繰り返すという発想だ。
隊員に30cm魔石を一つ与えておくなら、3個小隊で縦横1,500m四方を綺麗に制圧できる。
恐怖という感情のあるような敵なら2~3発撃てば逃げる筈。
恐怖を知らずに本能のままに攻め寄るのなら、遠慮なく殺すまで。
大型の魔石が豊富にある防衛戦なら、この戦法が一番効果的だろう。
この射撃方法は何度も練習している、派手な攻撃なので隊員達も大好きな攻撃魔法だ。
空を高速で飛行するような敵だと使い難い面があるが、陸上を低速で移動するような敵なら絶大な効果を発揮する。
オークやオーガあたりなら絶好の的になる。
隊員達にとっては万単位で敵が来てもどうと言うことは無い。
むしろ、まとめてサッパリと始末出来て楽しいのだ。
「敵、森からはみ出てきます」
「距離2千」
「距離5百まで引きつけるぞ、遠いとツマラン」
「第6区や第7区はその後どうだ?」
“第6区は静かです”
“第7区も進撃以降は平穏”
「オーガを潰したら、鰐とヘビ。その後はトリケラとティラノにワイバーンか。
まあ、お楽しみだな」
「・・・鬼さんコチラってもんでも無いけれど、アイツらって足が遅いか?」
「やる気ない感じで、ダラダラ歩いているよな」
「人間の男を見たら餌だと認識して、女を見たら見境なし。そうしたオークやオーガの筈なのに、人間相手にやる気なしって何故だろう?」
「さっき、ドッカンドッカンやり過ぎて、あちらさんやる気無くしたとか?」
「やる気無い割には、一応こちらに進んでくる」
「ひょっとして、コッチがやる気満々すぎるのでは?」
「あっ、それだわ・・・」
「魔石使い放題、ドッカンドッカン撃ち放題って楽しい」
「うん、それだな」
「オークの焼き肉食べ放題も楽しい」
「敵は人間の男を見たら餌だと認識して、人間の男はオークを見たら餌だと認識する?」
「ゴブリンやオーガは食えたもんじゃないけれどな」
「オーガは堅い」
「オークは美味い」
「やっぱり、コッチがやる気満々すぎる」
「結論だな」
「うん、オーク限定で早く来い」
「敵、距離千を切りました」
「よーし、各員射撃位置に着け」
「距離8百」
「距離7百」
「距離6百」
「距離5百」
「第2小隊。目標、敵の先陣
火炎魔法を用意。
射撃5秒前、4、3、2、1。
撃てや!」
「第3小隊。目標右翼。
火炎魔法用意。
射撃5秒前、4、3、2、1。
テッ!」
「第4小隊。目標左翼。
火炎魔法用意。
射撃5秒前、4、3、2、1。
撃て!」
「引き続き第2射。行くぞ。
射撃5秒前、4、3、2、1。
撃てや!」
「第3小隊。2射。
射撃5秒前、4、3、2、1。
テッ!」
「第4小隊。第2射。
射撃5秒前、4、3、2、1。
撃て!」
「おし、第3射。
5秒前、4、3、2、1。
撃てや!」
「第3、3射目行くぞ。
5、4、3、2、1。
テッ!」
「第4小隊。第3射。
射撃5秒前、4、3、2、1。
撃て!」
「4射目!。
5、4、3、2、1。
撃てや!」
「第3、引き続き4射。
5、4、3、2、1。
テッ!」
「第4小隊。第4射。
射撃5秒前、4、3、2、1。
撃て!」
「射撃中止。煙がひどい」
森方向に向けて炎が上がっていて、煙も酷い状況になってきている。
前進して来た筈の敵の姿も良く見えない。
すでに、城門にいた藩兵やハンター達は、閃光と轟音で目や耳がおかしくなり出している。
「敵が5百まで来たら射撃再開」
“こちら第1区、トリケラが突出しつつあり数は百”
「炎を見て興奮したのかな?距離5百で射撃」
「トリケラ森を出ました、突撃して来ます」
「ありゃ、トリケラがオーガを蹴散らして突進してくるじゃないか!」
「射撃用意!」
「距離8百」
「距離6百」
「第2小隊。目標、敵の先陣
火炎魔法。射撃5秒前、4、3、2、1。
撃てや!」
「第3小隊。目標右翼。
射撃5秒前、4、3、2、1。
テッ!」
「第4小隊。目標左翼。
射撃5秒前、4、3、2、1。
撃て!」
「第2小隊。2射。
5、4、3、2、1。
撃て」
「第3小隊。5、4、3、2、1。
テッ」
「第4小隊。
射撃5秒前、4、3、2、1。
撃て!」
「射撃止め」
「トリケラが4体突破してきます」
「ガマと大猿で対処!」
「応!」
“キイッ”大猿がすばやく走り出すと、両手で掴んではブン投げる。
自重をまともに受けて地面に叩きつけられるトリケラ。
“ギャア”
“グアア”
絶叫を上げるが、その上に大猿が飛び上がってからの踏み潰しを浴びせる。
瞬く間に4体のトリケラは息の音を止めてしまう。
「オーガ進行を再開します。距離8百」
「射撃用意を為せ。
第2小隊。射撃5秒前、4、3、2、1。
撃てや!」
「第3小隊。目標右翼。射撃5秒前、4、3、2、1。
テッ!」
「第4小隊。目標左翼。
射撃5秒前、4、3、2、1。
撃て!」
「第2小隊、次!
5、4、3、2、1。
撃て」
「第3小隊。5、4、3、2、1。
テッ」
「第4小隊。
射撃5秒前、4、3、2、1。
撃て!」
「第2小隊、5、4、3、2、1。
撃てや!」
「第3小隊。5、4、3、2、1。
テッ」
「第4小隊。
射撃5秒前、4、3、2、1。
撃て!」
「第2小隊、まだやるぞ!
5、4、3、2、1。
撃てや!」
「第3小隊、気を抜くなよ!
5、4、3、2、1。
テッ」
「第4小隊。
射撃5秒前、4、3、2、1。
撃て!」
「射撃中止。煙が収まるのを待つ」
本当の意味での全力バトルの始まりです。
次回、レキュアとシェイラの“本気”がようやく発揮されます!
乞う、ご期待。




