オリジンとコピー
「ん・・・」
眼が覚めると、そこは学園の保健室の天井だった。
「ん。・・・ふあ〜ーーーっ!?」
取り敢えず起きてあくびをしながら周りを見渡したとき、俺の横に金色がかった銀髪の女の子が椅子に座ってこちらを見ていた。
「な!?(何でココに!?)ど!?(どうやってココに!?)い!?(いつからココに!?)」
俺はびっくりし過ぎてまったく言葉になってない言葉を出した。
「何で?どうやって?いつから?か・・・」
しかし彼女は俺の言いたいことを言い当てた。伝わったのか!?今ので!?ていうか、いつのまにか日本語がペラペラになってるんですけど!?
「回答その一。この学園に用が有るから。回答その二。小宮に入れて貰った。回答その三。30分前から。」
30分も前からいたのか…。全然気づかなかった。
「この学園に用があるって?学園長の知り合い?」
「んにゃ、ちがう。そもそも学園長の名前すら知らない」
「知らないのかよ。有名だぞ…」
この学園長である“近藤 優姫”は、“オリジン”の中で最も強いと言われている人物だ。
俺たち使徒は、“オリジン”と“コピー”の二種類が存在する。
オリジンは最初にギフトを貰った人たちのことで、コピーはそのあとに貰っている人たちのことだ。
オリジンとコピーとの違いは
コピーは、強化型なら強化出来る箇所の制限、操作型なら一度に操れる個数や重量の制限、変化型なら変化できる物質の制限、具現型なら具現化出来る物質の制限がかかっていて、バランス型なら他のギフトを何パーセントかを使える。
オリジンは、制限無しで、バランス型はギフトを百パーセント使える。
「で?この学園には何の用?」
「ん?ちょっとコイツを見せて貰っていた。」
そう言って彼女は手に持っているパソコンを片手でひらひらと揺らしていた。
よくそれで落ちないよな、俺だったら落とすわ。
彼女の持っていたパソコンには日本に出現したファントムの出現位置、種類、数が書かれているデータだった。
日本のお偉いさんたちは自分達が助かるため、コレを作り、出現する可能性のある場所を把握しようとしていたのだ。が、結局出現する位置は分からずじまいだった。
「そんなの見てどうするんだ?」
「次に学園周辺に出現する位置を特定する」
「そんな事が出来るのか?」
「ああ」
そう言って彼女は俺にパソコンと地図を見せ
「次はココかココ。もしくはココだろうナ」
と言って三箇所指差した。
「どうしたらそんな事がわかるんだ?」
「さっき学園の周りを回ってみたんだが、その三箇所が最もマナの量が多かった。だからこの三箇所に来る可能性が高い。因みにお前らがモンスターパニックなんて呼んでるやつはマナの量が増えた時に起きていると思うぞ」
「マナって何だ?」
「空気中に含まれる魔素の事だ」
「魔素って?」
「魔法を・・・いや、通じないか。お前らが持っているギフトの具現型、このギフトは炎や水を出せると聞いた。このギフトが炎や水を出せるのは空気中のマナを吸っているからだ。魔素ってのは炎や水を具現化させるための燃料、ガソリンみたいなやつとでも思っておけ」
今、魔法という言葉が聞こえた気がしたんだが・・・。
「魔素とかがあるなら、魔法もあるのか?」
「ある。が、使えるとしたら具現型とバランス型だけ、使える魔法もごく一部だな」
「どうやって使うんだ?」
「それはまた後でな。じゃ、俺は今話した事を学園長にも話しに行くから。また後でな」
そう言って彼女は椅子から立ち上がって扉の方へ歩いて行く。
「あ、そうだ。私、学園長室の場所と学園長の名前はもちろん学園の中のこと全然知らないんだった。取り敢えず学園の地図は何処にある?」
そう言って歩いて行った彼女はそう質問してきた。何やってんだか。
「学園の地図なら、入り口入って右にある受け付けで貰えたはずだよ。」
「了解。じゃ、また」
そう言って今度こそ彼女は歩いて行った。