追いかけっこ
「はぁっ、はぁ、、やっと着いた。」
「いやぁ、速いねぇ。」
「バ、バケモノめ.....。」
「やだなぁ、僕はちゃんとした人間だよ。」
「うむ。皆もこの二人を見習うように!」
この二人に追いついた後、もう一段階ギアを上げて一気にゴールまで走った。しかし、それでもやっぱり先輩だけはしっかりと着いてきた。先生は少しペースを落として後ろの集団を応援していた。
「ねぇ、君。もしよかったら名前を聞いても良いかな?」
走り疲れて座り込んでいる私に手を差し出しながらそう言った。
「そういえば言ってなかったですね。アリス・クリスティーヌ・セルベルクです。長いのでアリスと呼んでください。」
私はそう言って先輩の手を取った。
「僕は田中 太郎。これからよろしくね!」
「はい、こちらこそ。」
「ところで、このまま僕とストレッチしないか?」
田中先輩は唐突に爆弾発言をしてきた。
「....良いですよ。」
「えっ!?今の冗談のつもりだったんだけど。」
「やらないんですか?」
「やらせていただきます!」
そんなこんなで私と田中先輩は一緒にストレッチをした。周りの視線が痛かったが、それよりも先輩の身体の柔らかさに驚いた。
「よし、次は鬼ごっこだ!制限時間は15分。範囲はこの学園の敷地内だ。先ず下級生が散らばって1分後に上級生が動いてスタートだ。さあ下級生たちは逃げろー!!」
唐突に始まったな!と少し驚いたが、即座に動く。絶対に田中先輩に追われないようにしないとな。アレに見つかると100パー追われる。この学園はバカでかいので見つかる事はほとんど無いだろう。
...と思っていた私が馬鹿だった。
「みぃつけた!」
「ひぃ!?」
開始2分で速攻見つかった。こうなっては残り13分の追いかけっこが始まる。
私は瞬時に身体強化を最大まで上げてその場から離れる。私は運動場の方へ走ったので、幸いにも誰ともぶつからなかった。
「まてー!」
田中先輩が身体強化を使って追いかけてきた。何気に初めて身体強化を使ったの見たよ。
しかしどうするか。私が身体強化を最大まで上げているのに先輩はドンドン差を縮めている。しかも向こうは余力がありそうだ。
私は右に曲がり、校舎へと突っ込んだ。ぶつかる直前で直上ジャンプを何度も繰り返して一気に壁を越える。その時、先輩を確認しようと後ろを振り返った。それがいけなかった。
先輩は私が4度ジャンプしてようやく届くこの6階建ての校舎を1度のジャンプで超えたのだ。私が捉えれたのは一階にいたはずの先輩が一瞬で目の前に来て私に手を伸ばしている瞬間だった。
あ、終わった。
「捕まえた!」
私の逃走劇は3分で終了したのだった。




