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こっちでも魔物発生?

「またここか・・・」


ここは死んだ者が新たな生を迎える前の待機所のようなところだ。・・・またって言ってるけど、死んだのは一回だけだぞ?

ぼやけてはっきりとは見えないが、半径十メートル程のドーム型の空間で、目の前には大きな机と椅子。何故か机の上に人が座っている。椅子使えよ。


その人は机から飛び降りて、こちらへと歩いて来た。


「お疲れ様でした。あなたのおかげであの世界は平和になるでしょう」


「どうだろうな。あの国の奴らは魔王と戦うために戦力を集めてたんだぜ。それを俺が横から掻っ攫ってったから、その戦力はほかの国の方に向くんじゃないか?」


俺は目の前にいる女神とやらに、魔王を倒すよう頼まれた。勿論、素の俺が剣や魔法がある世界で生きていけるわけがないので色々なチートを貰ってだが。


「そこは大丈夫です。あの国がもし他の国に自衛以外で危害を加えそうになったら、天罰が落ちるように仕込んでおいたので」


何故かドヤ顔の混じった物凄い笑顔で答えて来る女神。


「そっか。で、俺はこれからどうすんだ?」


「あ、それなんですが、地球に戻ることになりました。ですが・・・」


言い淀む女神。かわええ。って


「ちょっと待て、俺は向こうでは死んでるんじゃなかったか?」


俺は登山中に足を滑らせて落下死したのだ。恥ずかしい死に方なのはわかっている。笑ってくれ。


「あの死体は責任持って焼却させていただきました。なのであなたは行方不明という扱いになってますよ。」


おおう。女神ってそういう事すんのな。そしてそれを笑顔で言わないでくれ。

しかし、二十年か・・・色々変わっているんだろうな。


「いえ、向こうはあっちより時間の流れが遅いので、六年と少しですね。ですが、向こうに行くのにあたって、言っておかなければならないことがあります」


「なんだ?」


「それは・・・」


聞いたことを纏めると、俺が異世界に行って一年ほど後、突如“ファントム”という化け物が現れたらしい。女神はそいつらに対抗するため、“ギフト”と呼ばれる、つまりチートなスキルを未来ある若者たちに与えたらしい。

ギフトは最初は数十万人の高校生くらいの子供たちへ。そして四ヶ月おきに高校生以下の子供たちへ数百人ずつギフトを贈っているらしい。

ギフトを受け取った彼らは、自らを“使徒”と名乗り、日々続々と出現するファントムと戦っているらしい。

最近では、使徒育成学園という学校を建て、二十数人の使徒が先生となり、力の使い方やファントムとの戦い方を教えているらしい。

ファントムを地球へ放った奴は分からず、女神はそいつを探しているらしい。

俺は女神がそいつを見つけるまでに地球が滅びないよう使徒に混ざり、ファントムの間引きをする事。そして女神がそいつを見つけた時、速やかに討伐する事。そいつを討伐してもしばらくファントムは出現し続けるのでそいつらの間引き。

以上だ。


「聞きたいことがあるんだが・・・」


「何でしょう?」


「今回地球に戻るにあたって、向こうに行くときに貰ったチートスキルはどうするんだ?」


「そのまま持って行ってください。勿論、あのスキルや魔法もきちんと使えますよ?」


「そっか。じゃあ、行ったらすぐにファントムと戦うのか?」


「いえ。取り敢えず最初に学園に入ってください。あそこはファントムの情報が集めやすいですから」


「ですか」


「ご武運を」


女神はそう言うと俺に手を向け、長距離異空間転移の呪文を唱えた。これ、本当は呪文無しで出来るのだが、雰囲気づくりとか言って辞めようとしなかった。


やがて俺の足元がほんのり光り、長距離異空間転移独特の浮遊感が俺を襲う。

俺はゆっくりと瞼を閉じた。

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