七章
「私はある家に向かい・・・そうか、君はあの時の」
「やっと思い出したな!そうさ、俺は」
「兄の後ろをくっついていた泣き虫君」
「ちゃう!俺はそんなに泣き虫じゃなかった!てゆうか、それ俺じゃなし!」
フィルの話を折ったタカであったが、フィルもまたタカの話を折ってしまった。そしてタカとフィルが嫌な顔をして見詰め合っている光景を見てヒロは真面目な顔で一言。
「・・・・・お前ら話が噛み合ってないって」
「んだよ、おっちゃん!」
タカは機嫌悪そうにヒロを睨んだ。フィルは少し呆れた顔をし、テーブルにあるカップ(中身はブラックコーヒー)を一口啜った。
「いや、悪い悪い。しかし、フィルも坊主も人の話は最後まで聞くもんだぜ?特にあんたらの場合はな」
ヒロはタカとフィルを見て、言った。そんなヒロにタカは文句を言った。
「説教かよ!というかいつまで坊主って呼ぶ気だよ!」
そして先程から気になっていた事を口にした。その言葉を聞いてフィルは少し眉をひそめて、カップをテーブルに置き、言った。
「その言葉、そっくり君に返そう。私にはちゃんと名前があるのだからな」と。
タカにとっては不利な状態だった。なんせヒロとフィルの二人に睨まれているからだ。
タカは俯き、声を荒げることを我慢した。そんな事をすれば自分が子供みたいだと思ったからだけではなく、冷静さを欠くとどんな事になるか、ハンターの先輩に教わったからである。だが、どちらかといえばタカの心はこのまま引き下がりたくはない、という気持ちが強かった。
「俺は・・・敵の男の名前なんて呼べるか!!」
「・・・なるほどな。お前はなんの覚悟もなしにハンターを、いや敵討ちをしている事がわかった。認めるという心も例え復讐者だとしても、必要だ。それを出来ないという事は、まだ子供で、覚悟もない、ということだ・・・」
フィルは言い切った。
「な!覚悟って・・・」
「覚悟もなしでは何も救うことはできない。自分の心も、殺された者の心も、な」
フィルはこれでこの話は終わりだと言い、椅子から腰を上げ、細身の剣を取り部屋を出た。
タカはフィルの背中を呆然と見ていた。いや、正確に言うと見る事しか出来なかった。それは、言い放ったフィルの顔は苦痛に似た表情だったのだ――――




