表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ヒール最高  作者: 猫美
学院中等編
42/90

遠征の日、実験の時間

3年の試験当日、1年も拠点確保のために同行する。

1学年、120名前後、トータル、240名ちょいの学生に、引率の先生方が14名。

2頭立ての馬車が12台、1台に20名前後+御者代わりの先生・・・

さすがに詰め込みすぎじゃないか?と思ったのだが、大人じゃ無いから平気か。

その他に、1頭の馬車が2台・・・こちらには各種装備とか雑多な荷物が詰め込まれているようだ。


歩くよりは断然速いが、メチャクチャ飛ばす訳でも無い。

時速10~15kmって所だろうか?適当だけど・・・

デグルバ山の麓まで2ルーオ(2時間半)程度・・・

早朝に出発し、昼間に試験を行い、夜に帰ってくる。

・・・完全に遠足だな。

ギュウギュウ詰めという訳では無いが、20人も詰め込まれていると・・・うるさいな。

4、5人掛けの椅子×5列という形で、当然ながら、椅子にクッションなど無く、ケツが痛い。

道中は実にのどかで、乗り物酔いをすることも無く、遠足気分を満喫した。


デグルバ山が見えてきた。

比較対象が無いので何とも言えないが、それほど高い山には見えない。

山自体は岩肌だらけの禿げ山のようだ。

麓は針葉樹林となっており、その外側は草原となっている。

更に近づくと、木の柵と小屋が見えてきた。

小屋の前には結構お年を召した衛兵・・・というか、引退間際のおじいさんか?

どうやら小屋は監視小屋の役目を果たしているらしく、柵の外側に建っている。

背筋をぴんと伸ばし、胸の前に腕を持ってくる形の敬礼をしている。

そんなおじいさんの横を馬車は通り過ぎていく。

通り過ぎざまにちらりと見えたのだが、柵に魔法陣が描かれているようだ。

恐らく、なんらかの結界の役目を果たす魔法陣なのだろう。

その結界で、ゾンビもどきが外に出ないようにしている・・・んだと勝手に推測した。


林を少し進んだ所に、開けた場所が見えてきた。

ここにも柵があり、馬車は柵内に入っていく。

馬車が14台入っても余裕がある広さをしており、かなりのスペースだ。

どうやら、この周囲の柵にも結界の魔法が掛かっているんだろう。

ココをベースキャンプとし、試験をするようだ。

つまり、1年はココで待機か。


試験内容は、コア持ちのディリングを倒し、1人1個のコアを持ち帰ること。

パーティーを組んでいる場合、パーティー内で融通して構わない。

一匹狼でも問題は無いのだが、パーティーを組んだ方が効率がいい。

引率の先生が十二分に余ってみるわけでは無いので、近くのパーティーには気をつけ、お互いに助け合うこと。

山の方には洞窟もあり、コア持ちは洞窟の中の方が多いが、視界も悪いため慎重に行動すること。

と言ったあたりが、試験の概要だ。


「おい、1年ども、集合しろー!」


戦士学科の先生が集合を掛ける。

一般教養でもお世話にならなかったので、名前が解らない。

頬と額に古い傷があり、目付きも鋭い・・・かなりの威圧感だ。


「お前らには、ここへ近づくディリングの排除をやってもらう。

 念のため、魔法で結界を作ってはいるが、

 あまりウヨウヨと集まられると、

 馬が脅えてしまう。

 馬ってヤツは、繊細な生き物だ。

 一応、戦時展開用厩舎にて、

 馬の目に入るようなことは無いと思うが、

 念には念を入れて排除をしてもらう」


ああ、あの運動会テントもどきは、厩舎なんだ。

戦時展開用厩舎・・・また、えらくごつい名前してるな。


「ここいらに来るディリングは、

 ほとんどがコア無しの府抜けた連中ばかりだ。

 お前らの実力でも十分対処が可能だ。

 とは言え、それでも油断をすればやられるぞ。

 1人での行動は絶対にするな!

 必ず複数人で対処しろ」

『はい』

「ディリングは頭を潰すと、

 こちらを見つけにくくなる。

 足を潰して足止めをするのも効果的だ。

 だが、お前らは技術が足りないんだ。

 素直に、胴体の中心を狙っていけ。

 中心を潰せば倒せる!

 油断せずに、みんなで協力して潰せ」

『はい』

「何かあったら、本部詰めの先生に言うんだぞ!

 あとは、迷ったら空を見上げろ。

 のろしが上がってるからな。

 それを目印に帰ってこい」

『はい』

「よーし、お前らも解散!」


えらく放任というか、無責任というか・・・いいのか?

まぁ、そんなに危険が無いからこそ、こんなことしてるんだろうが・・・

安全に対する配慮が足りなさすぎる気がする。


「・・・ウィル、どうするの?」

「そうですね・・・

 ミレイには、ちょっと協力してもらいますか」


さて・・・チノとラルはどこかな?

・・・ああ、いたいた。

2人でまとまっていてくれるので助かる。


「チノ、ラル」

「ああ、ウィル」

「ウィル、ミレイ、

 どうしたの?

 っていうかどうするの?」

「ちょっと試したいことがあるので、

 協力してください」

「それは構わないけど・・・」

「じゃぁ、ちょっと人目の少ない所に行きますか」

「やっぱり、人目の少ない所なんだね・・・」

「ええ、そうですね」

「いや、そんな気はしてたけどね」


なんだ、その、とほほ・・・みたいな雰囲気は。


4人で柵の外に出る。

さすがに1年は、柵の側からあまり離れていないようだ。

物音に気を使いながら、木々の間に入っていく。


「ウィル、柵から離れると危ないよ」

「まぁ、そうなんですがね・・・

 あまり側だと人目はあるし、

 ディリングはいないし・・・

 実験出来ないじゃ無いですか」

「やっぱり、ディリングに実験するんだ」

「ええ。そうですよ。

 ディリングを見つけたら、

 教えてください」

「・・・うん」


木々の奥から、喉が枯れたような声が聞こえてきた。

木々に隠れながら、奥を覗う。

足を引きずるようにして、土の塊のような人型が徘徊しているのが見える。

なるほど、あれがディリングか。

ディテールの甘い人型のようだ。

その割には、人の形をトレースしているのが解る。

遠目には解りづらいが、目鼻口部分も一応あるようだ。

声が出ているということは、少なくとも声帯もどきもあるのか?


「あれがディリングなんだね」

「うわぁ。気持ち悪い」

「・・・うん」

「まぁ、でも・・・

 思った以上に遅いですね」

「そうだね」

「で、どうするの?」

「そうですね・・・

 ラルとミレイで、

 足下を凍らせちゃってください」

「・・・うん、解った」

「あんだけゆっくりなら、楽勝」

「チノは、いつでも矢を撃てるようにしておいてください」

「大丈夫かな?」

「まぁ、ヒールがあるので、

 死ぬことは無いと思いますが」

「えっと・・・

 最悪じゃないだけで、

 安心はできないよね」

「いっくよ~」

「わわ、待って、待ってよ」


「かる、もるで、やーる!」

「・・・かる、もるで、やーる」


ラルが唱えた一拍後に、ミレイが唱える。

ラルのサイドスローでウォーターボールがディリングの足下へ飛ぶ。

ミレイのアンダースロー(野球のではなく、ソフトボールの)でアイスボールがラルのそれを追う。

ウォーターボールがディリングの足下にぶつかり水がはぜる。

その直後にアイスボールが足下を凍らせる。

飛び散る水滴の時間を止める。

ラルのウォーターボールと組み合わせることで、より広範囲を凍らせることが可能だ。

ディリングは上体をばたつかせるが、足下は動かない。

どうやら無事に足止めできたようだ。


「わぉ。動けなくなった」

「・・・やった」

「ええ、2人とも、さすがです」

「ウィル、ボク、構えといてもいいかな?」

「いえ。いつ動き出すとも限りません。

 今しばらく警戒していてください」

「解った」


さてさて・・・近くで観察するか。


「ウィル、大丈夫なの?」

「ラルとミレイは後ろで待っててください。

 いつでもチノに加勢できるように・・・」

「・・・うん」

「気をつけてね」


ディリングの手の届かない範囲に近づき、周囲を見て回る。

目に当たる部分に赤い光が見える。

何が光ってるんだ?

っていうか、こちらの動きを目で見ているような動きをする。

頭を潰すのも効果的だというのも、納得だ。

主に土で出来ているのか、表面は赤茶けている。

造形は・・・なんでか、成人男性を模している。

しかも不思議なことに衣服着用だ。

まぁ、衣服っぽいってだけなんだが・・・

・・・いや、男性器がむき出しじゃなく、ズボンに収まってるから判断した訳なんだが・・・

そこまで細かく作られているんだろうか?

・・・ま、ズボンは脱がせられそうにないし、脱がす趣味もないが・・・

背中側に回る。

こちらを向こうともがいているが、足が動かせないため、こちらを向くことが出来ない。


ゾンビだったら、ヒールで癒し殺すという無双が出来るんじゃないかなぁ?と期待していたのだが・・・

残念ながら塵芥の塊ってことだし・・・

取り敢えず、リサーチで観察をしてみるか。


「リサーチ」


真っ青だな。

特に腹・・・心臓の下・・・丹田だっけ?

あの辺はもの凄く濃い青だ。

これって・・・マイナスってことか?

ヒールでプラスになったりして倒せないかな。

ま、試すのはタダだし・・・試しますか。

・・・凶暴化したりしないよな?

色々疑問は尽きないが、試してみないと解らないしな。

背中側から、手をかざし・・・


「ヒール!」

「え?ヒール!?」

「ちょっと、ウィル、何してんの」


ディリングの動きが止まる。

真っ青だった色が薄くなって、色が消えていく。

前に突き出されていた腕が上腕で折れ、地面に落下する。

地面にぶつかると、湿気った土を落とした音がした。

落下した腕は、その形を崩し、土の塊(?)が残った。

反対の腕も肩から落下する。


「うわ、ちょっと、ウィル!」

「ええっ!?」


腕が落下したことでバランスが崩れたのか、上体にひねりが加わる。

腿に無理な力が加わりヒビが走る。

一気に上体がバランスを崩し、地面に落下する。

土塊つちくれの山を残し、ディリングの形跡は、足と人型に広がる土だけになってしまった。


「ふっふっふ・・・」

「ウィル?」

「わっはっはっはっは!」

「ちょっと、ウィル?

 どうしたのよ!」

「ウィルが壊れちゃった・・・」

「・・・ううん」

「ミレイ、解るの?」

「・・・うん。嬉し、そう」

「嬉しい?」

「いやいや、はっはっは。

 大丈夫ですよ。

 ついつい嬉しいというか、

 楽しくなってしまいまして・・・」

「ウィル!」

「どうしたのよ」

「ディリング、恐るるに足らず!

 当方には迎撃の用意有り!」

「やっぱ、壊れてるんじゃない?」

「失敬な。

 ま、冗談はさておき、

 もう2,3体に対して実験してみましょうか」

「ちゃんと説明してよね」

「ええ、出来る限りは・・・」


そんな訳で、追加2体にヒールをし、同じように破壊することが可能なことを確認した。

恐らく、負の生命エネルギーで形成されている身体に、ヒールという生命の生きるというエネルギーをぶつけることにより、相殺して破壊しているんだろう。

という勝手な推測。

思わず、楽しくなって、破壊しまくろうとしてしまう所を、自制し・・・他のみんなの戦力を確認する。


ラルタイアの水属性魔法は、元々、攻撃力が低いという欠点があるため、ディリングに対し、効果的なダメージを出すことが出来なかった。

水分を含むことで、表面は脆くなり、自重もかさむことから、動きを鈍くする効果はあるのだが、破壊する所までは達することが出来ない。


ミレイの氷属性魔法は、アイスアローを用いることで倒すことが出来た。

ただし、しっかりと頭部、丹田付近等の弱点を突かないと効果が薄い。

爆発するような魔法なら、他の部位でも効果があったんだろうが・・・

アイスボールでは効果的なダメージを出すことが出来ない。


チノテスタの弓矢だが、これも結構微妙だ。

どうしても点のダメージになってしまうからだ。

ただ、頭部を打ち抜くことで、ディリングの目を潰すことが可能なようだ。

なにも目をピンポイントに貫かなくても、ヤツの索敵能力が低下する。


さて、確認も終わったことだし、ヒール無双して楽しむか。

わっはっは・・・ストレス発散に付き合ってもらうぞ。


「ヒール!」


またも1体が地面に沈む。


「むぅ。

 なんで一番後衛のハズのウィルが、

 一番破壊力あるのよ」

「はっはっは。

 僕の数少ない活躍の場なんですから、

 いいじゃないですか」

「ウィル・・・

 ちょっと、いいかな?」

「ん?チノ・・・どうしました?」

「うん・・・

 気のせいかも知れないんだけど、

 今、ちょっと首飾りの感じがしたんだ」

「え?ここでですか?」

「うん・・・気のせいかも知れないんだけど」

「今は、もう感じないと・・・」

「そうなんだ。

 ごめんね」

「いえ・・・」


ふむ・・・顔見知りってことか。

ついでに、ココに持参ときたか・・・

チノテスタは、ハーフの所為か感知範囲が狭い感じだな。

ま、一切感じられない人間が何言ってんだって話だが。


「・・・ウィル」


くいくいっとミレイに袖を引っ張られた。


「どうしました?」

「・・・あれ」


ミレイの指さす方を見るとゾンビもどきが歩いている。


「ディリング・・・ですね」

「・・・あっちも」


また違うディリングを指差す。


「ヤツらがどうかしましたか?」

「・・・みんな、同じ方向に、歩いてる」

「え?」


言われて見ると・・・確かに同じ方向に向かっている。


「ほんとだ。

 ミレイ、よく気がついたね」

「・・・なんとなく?」


よくよく見てみると、他のディリングも同じ方向へ向かっているようだ。

チノの感じた首飾りの気配・・・

先生の言っていた、クロを引き寄せる性質・・・

そして、同じ方向へ歩くディリング・・・

答えは出ているようなモンだが・・・どうした物か。

歩いて行く先を見てみると、洞窟の入り口があるように見える。

ってことは、あの中に首飾りを持った人間が入っていった・・・ってことだろうなぁ。

え~い、面倒な事をしてくれる。

取り敢えず、ヒール無双が出来るから大丈夫だとは思うが・・・


「ミレイ、ラル、チノ・・・

 申し訳ないのですが、

 わがままに付き合って貰えますか」

「・・・いいよ」

「ミレイは、そうやってすぐにいいよって答えるけど、

 どうせロクな事じゃないよ?」

「かなりロクでも無いことですね」

「ほら」

「一旦、柵まで戻ります。

 そこで、ラルには残って貰います」

「え?

 まぁ、私の水魔法じゃ攻撃になんないし、

 別にいいけど・・・

 なんで?」

「チノとミレイには申し訳ありませんが、

 あそこの洞窟に付き合ってください」

「え?危ないよ」

「首飾りが、あの中にある可能性が高いのです」

「えぇ!?

 う・・・それじゃぁ、仕方ないか」

「ねぇねぇ。首飾りって?」

「それは移動中にでも話します。

 ラルには・・・

 そうですね・・・

 半ルーオ(36分)程度経過しても戻らなかったら、

 先生方に、

 ウィルのバカが洞窟へ入って戻ってこない。

 と伝えてください」

「危険は無いの?」

「僕のヒールが効果的なのは確認済みです。

 全く危険が無いと言えば嘘になりますが、

 チノやミレイがケガをしても、

 僕が癒してみせます」

「・・・うん」

「チノやミレイが、嫌だと言うなら、

 ラルと一緒に控えていてくれて構いません。

 が、一緒に来てくれると助かります」

「・・・嫌じゃ、ないよ」

「はぁ。しょうがないよね。

 解ったよ。

 一緒に行くよ」

「ありがとうございます。

 ほんと、助かります」

「半ルーオだね。

 必ず戻ってきてよ?

 告げ口なんかしたくないんだからね」

「ええ、戻るよう約束します」


ベースキャンプに移動する道すがら、首飾りに関して大雑把に説明した。

あまり知られたくは無いのだが・・・チノが知ってる時点で手遅れな気もするし・・・

まぁ、あまり事細かには教えていない。


ラルと別れ、洞窟への道を戻る。

途中で見かけるディリングは、洞窟へ向かうという事も無く、徘徊しているだけだった。

先ほどの奴らは、ティータの祝福の残り香みたいな物を追っかけていたか、気配を追いかけていたのだろう。

時間経過で追跡が不可能になったか、範囲外ってとこか。


洞窟の入り口に着いた。

直径3メートルくらいだろうか?

中からはひんやりとした空気が漏れ出している。

鍾乳洞と水晶窟の合わさったような雰囲気だ。

少しだけ中に入ってみる。

思ったより明るい・・・と言うより、どこかから光が入り込んでいるようだ。

この様子だと、ランタンとか"たいまつ"は要らないだろうか・・・

禿げ山な事が幸いし、水晶の中を乱反射しつつ、山肌の光が届いているのだろうか?

ほんのり明るい場所もあれば、かなり明るい場所もある。

なんとも不思議な洞窟だ。


入り口からしばし下った後、急に開けた場所に出た。

天井までは10メートル以上あるだろうか?

ここまで粉砕・・・見かけたディリングは、徘徊タイプばかりだった。

ってことは、もっと奥まで入っていったってことになるだろう。

この広い場所・・・分岐地点か・・・


「・・・ウィル、どうするの?」

「そうですね・・・

 チノ、どこにあるか解りますか?」

「さすがに・・・無理かなぁ。

 強いて言えば、

 左の上に向かってる道っぽいけど・・・」

「チノの感じる力・・・

 大いに頼りにしてますからね」

「違ってたら、ごめん」

「いえいえ。

 僕には解りませんから、

 文句は言いませんよ」


あまり足場がいいとは言えないが、軽い上り坂を上っていく。

右へ左へと、まさしく紆余曲折。


「チノ、さすがです。

 どうやら正解のようです」

「どういうこと?」

「ディリングが、僕らを無視し始めました」

「奴らの先にあるってこと?」

「そういうことです」

「動きのしっかりしたのがいるね」

「あれが恐らくコア持ちでしょう。

 こちらに気が向いていないウチに、

 一回、倒しておいた方がいいかも知れませんね」

「ええ!?」

「この先、コア持ちが増えた際に、

 勝てるのかの判断が付きません」

「・・・凍らせる?」

「いえ・・・ヒールで大丈夫だとは思います」


ノーマルディリングが引きずるようにして歩くのに対し、コア持ちはしっかりと歩いている。

走る・・・とまでは行かないが、軽く早歩きだ。

身体の表面もツヤがあり、硬化しているような印象を受ける。


「ヒール!」


コア持ちが仰け反り、体勢を崩す。

やはり、ノーマルと同じヒールでは無理か。


「もう一発、ヒール!」


コア持ちの両脚が崩れる・・・が、身体は維持されている。

歩行が出来なくなったので、脅威では無くなったが、頑丈だな。


「さらに、ヒール!」


さすがに耐えきれなくなったのか、崩壊する。

2.5倍~3倍ヒールって所か・・・沢山くると、たるいな。


「・・・大丈夫?」

「ええ、大丈夫です。

 思ったより頑丈ですね」

「そうだね。

 ウィルでヒール3回だと、

 ボクやミレイじゃ厳しいかも」

「そうですね・・・

 2人は足止めに専念した方がいいかも知れません」

「・・・うん」

「ウィルに頼りっぱなしになっちゃうけど、ごめんね」

「いえ・・・」


「キャアァァァァァァァ」「いやぁああぁぁぁ」

「誰かー、誰かー!」


次回「遠征の日、ヒーラーの時間」


Twitter @nekomihonpo


変更箇所

土塊→土塊つちくれ

次回タイトルの追加

刻→ルーオ

してるんんだろうが→してるんだろうが(指摘感謝)

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
◆用語 ●幼少期人物一覧
 ●学院初等期人物一覧
 ●学院中等期人物一覧
 ●学院高等期人物一覧

以下、感想に対する補足になりますが、ネタバレを含む可能性があります。
見る場合、最新話まで見た上で見ることを推奨します。
◆1 ◆2 ◆3 ◆4 ◆5 ◆6 ◆7(2013/02/03)
あとがきは ネタバレ を含む可能性があります。
◆あとがき(2013/02/01)
1話にまとめあげる程ではなかったおまけ。
◆研究室での日常のヒトコマ(2012/11/23)



― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ