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第4話 レッドオーガ

《D級魔物 レッドオーガ》


赤黒い巨体が通路を塞ぐように立っていた。


「……は?」


レンの喉が引きつる。

二メートルを超える体躯。岩のような筋肉。巨大な鉄棍棒。

そしてゴブリンとは比較にならない魔力。


訓練用ダンジョンに出てくる存在ではなかった。


警報が鳴り響く。


『訓練生は直ちに退避してください!』


だがレッドオーガは動かない。

ただ真っ直ぐ、レンだけを見ている。


(なんで俺なんだよ……!)


次の瞬間――。


ドゴンッ!!


レッドオーガが地面を砕きながら突進してきた。


「っ!?」


レンは咄嗟に横へ飛ぶ。

直後、さっきまでいた場所の壁が粉砕された。


「威力おかしいだろ!?」


風圧だけで吹き飛びそうになる。


だが止まっていられない。

レンは召喚書へ手を伸ばした。


「来い!」


黒い魔法陣が展開され、短剣ゴブリンが現れる。


「ギギッ!」


「足を止めろ!」


ゴブリンが背後へ回り込み、短剣を振るう。


だが――。


ガギンッ!!


「ギッ!?」


刃が弾かれた。

硬い。まるで鎧だ。


レッドオーガは鬱陶しそうに腕を振る。

その一撃だけでゴブリンの身体が吹き飛んだ。


「っ……!」


レンの顔が青ざめる。


強すぎる。今までの相手とは次元が違った。


だが。


《危険を検知》

《戦闘補助を開始》


視界が研ぎ澄まされる。

レッドオーガの動きが、ほんの少しだけ見える。


(避けられる……!?)


振り下ろされる鉄棍棒。

レンは紙一重で回避した。


床が爆発したように砕ける。


「うおっ!?」


冷や汗が流れる。一発でも食らえば終わりだ。


その時。


《条件達成》

《カード能力の一部共有を開始》


「……え?」


瞬間、体が軽くなる。

足へ力が入り、頭が妙に冴えた。


《短剣ゴブリン》

《敏捷微上昇》


(これ……カードの能力!?)


レンは一気に距離を詰めた。

レッドオーガが反応する前に懐へ潜り込み、短剣を突き刺す。


だが浅い。


「グオォォォッ!!」


怒号と共に拳が迫る。


「くっ!」


吹き飛ばされ、壁へ激突した。


「がっ……!」


肺から空気が抜ける。全身が痛い。


それでも――。


《レッドオーガを解析中》

《カード化成功率:3%》


レンは息を呑む。


(カード化できるのか……!?)


なら、勝つしかない。


震える足で立ち上がる。


レッドオーガが迫る。

恐怖で膝が震える。それでも召喚書を握り締めた。


「まだ……やれる……!」


その瞬間、黒い召喚書が今まで以上に強く輝いた。

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