16-01 銀河連合議会
母船の中腹に巨大なすりばち状の大議事堂がある。
すりばちの内壁にあたる溝のように見えていた席は、銀河連合に加盟する千を超える星々の代表たちで次々と埋めつくされていった。
銀河連合議会の始まりである。
大議事堂の前面、王家の紋章がほどこされたバルコニー席に貴族院たちが座っている。その奥の一段高い場所にある、透けるほどにうすい、ブルーの幕の向こうが女王の玉座だ。
「女王陛下のお見えである!」
親衛隊長の声のあと、大議事堂に地響きがたった。
大議事堂にいる全員が起立したのだ。
幕の向こうに人影が現れ、その影が玉座に腰をおろす。
「一同、楽にせよ!」
親衛隊長の号令で再び地響きをたてながら全員が着席すると、ジランダ議長が席を立ち、いかめしい顔で大議事堂を見渡してから、あいさつを始めた。
「銀河連合の同志諸君。大変遠いところ、ご足労いただき感謝します。議会を早めて開いた理由は、我ら銀河連合のシンボルであるこの母船の惨状を見てご承知でありましょう。あの忌まわしく血塗られた歴史、銀河大戦を引き起こした悪魔の一族、キリ星人の子孫が、いまだ、この銀河に生き残っていたのであります。本日の議題はキリ星人の成れの果てと思われる、地球人の処遇についてであります。
地球人はとても野蛮で凶暴。科学力、軍事力においても近年、見過ごすことのできない速さで発展しており、これはまさにキリ星人の血を受け継いでいる証拠。放置しておくわけにはまいりません。しかし、我ら銀河連合が絶対平和主義であることは、変わることのない先祖からの掟であります。
そこで我らは宇宙生物保護法に目をつけた。キリ星人が銀河連合に加盟していない未開の惑星である地球に降り立ち、地球の生態系を破壊して繁栄したとなれば、これはあきらかな違法行為。宇宙生物保護法には、生態系を破壊するほどに繁殖した外来生物は駆除する決まりになっております。
貴族院は、その証明をするため、全銀河的にも著名な生物学者であるドクター・オラキル氏を地球へ派遣しました。……では博士、報告を!」
わたしは壁面の一番下の列にある席から、中央にある証言台へ移動した。
すりばちの底にあたる証言台から大議事堂を見上げると、まるでダムの底にいるような錯覚をおこす。
はるか頭上にあるバルコニー席から、ジランダ議長が見おろしている。
「博士、女王陛下の御前である。なにより銀河全体の命運がかかっている。偽証は……」
わたしはジランダ議長の忠告を待たずに言った。
「地球人はキリ星人の血を引いております」




