13-01 アユムの正体
泣きつかれたトモミは、わたしの肩にもたれかかり、いつのまにか寝てしまった。青くやわらかな月明かりが、トモミの横顔をやさしく照らしている。
地球というこの小さな惑星には、どうやらたくさんの国があるらしい。限られた土地を明確に区分けし、同じように地球人も区別されているようだ。
無限とも思える広大な宇宙にふみ出せば、自分たちの星が闇夜に輝く小さな灯火のように、たったひとつのかけがえのない居場所であり、みんなの大切な拠り所だと知るだろう。
そのとき、地球人の心にも芽吹くはずだ。
区別ではなく、分配。
別けるのではなく、分かち合う精神ーー。
その精神が宿った地球人は、やがてひとつにまとまり、銀河連合の一員となる資格を得るはずだ。
しかし、わたしの心に疑問が浮かぶ。
……わたしたちは、偉そうにそんなことを言える立場だろうか?
かつてキリ星人を追いつめた銀河連合が、またも地球人に対して同じ行動を取ろうとしている――。
古の恨みにとらわれ、分かち合う精神を失っているのは、銀河連合なのではないか?
ならば、わたしがやるべきことは……。
そのとき、緑が丘が大きくゆれた。
足の裏からびりびりと振動が伝わる。
まるでこの丘が、いまにも動き出そうと力を込めているようだった。
「急がなきゃ……」
いつのまにか目を覚ましていたトモミは、そうつぶやくと、わたしの手を取り草原を走りだした。
どこへ行くの?
という問いかけにも、まったくこたえない。
トモミはわたしを洞窟の入り口に連れてきた。
言われるまま、わたしは四つん這いになって洞窟の中へはいる。
地上で感じた地響きは、いつのまにか止んでいた。
立って歩けるほどの場所まで来たとき、暗闇にトモミの声が小さく響いた。
「我に光を」
すると洞窟の奥から、小さな光の玉が、わたしたちに向かって飛んできた。
光の玉はトモミの頭上で停止すると、さらに強い光を発して、辺りを昼間のように明るく照らした。
「おねがいハカセ、いまは何も聞かないで」
再びトモミがわたしの手を取り、すっかり明るくなった洞窟を走る。
トモミの頭上で輝いている光の玉が、地球の科学技術で作られたものではないことぐらい、機械にうといわたしにだってわかる。
わたしの知らないところで、ただ事ではない何かが進んでいる……。
恐怖にも似たとまどいを覚えつつ、わたしはトモミに手を引かれるまま、洞窟のなかを走った。




