表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
緑の丘の銀の星  作者: ひろみ透夏
第5話 はじめてのツナ缶

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

16/61

05-03

 

 

 一時間後、最初に現れたのはトモミだった。


 いつも通り小型宇宙船をかけ上がったトモミの姿に、わたしは見入(みい)ってしまった。


 地球の女性はみなワンピースを着るものと思い込んでいたのだが、このときのトモミは、Tシャツにホットパンツ、背中にはデイパックという()()ち。


 すらりと真っ直ぐに伸びた足が、生物学的にとても美しく見えたのだ。



「な、なに……?」

 視線に気づいたトモミが、顔を赤くする。


「え、えっと……。わりと軽装(けいそう)だなぁって!」

 とっさにわたしは取りつくろった。


「ハカセこそ用意はどうしたの? いつもと同じ格好(かっこう)じゃない」



 わたしはいつものキモノにハカマ姿。それに『全宇宙生物図鑑』――。


 仕方がない。

 小型宇宙船の中に入れないのだから、用意のしようがない。



 と、そこへアユムがやってきた。


 どっちが背負(せお)っているのかわからないほどの大きなリュックサックに、水筒や折りたたみ式のスコップなどをぶら下げ、にぎやかな音をたてて歩いてくる。



「アユム隊員、ただいま到着しました!」



 敬礼(けいれい)したとたん、サイズの合わない大きなヘルメットが、顔の前にずり落ちた。



「なによ、そのおおげさな格好(かっこう)! かえって動きずらくなってるじゃないの!」



 トモミにくどくどと責められながら、泣く泣くアユムが必要のなさそうなものをリュックから取り出していく。




 と、どこからともなく、わたしたちの前に黒ネコが現れた。


 ステネコだ。


 ステネコがこちらを見ながら()かすように「にゃあ」と小さく鳴いたので、わたしはみんなに声をかけた。



「帰りが遅くなるといけないから、そろそろ出発しよう」


「そうこなくっちゃあ! えいえい、おぉ~っ!!」



 トモミのしつこい小言(こごと)から逃れるように張り上げた、アユムの威勢(いせい)の良いかけ声で、わたしたちの探検がついに始まった。




         *




 草原を歩きだしてほどなくしたころ、トモミが首を(かし)げてわたしにたずねた。



「ねえハカセ、このネコちゃん変じゃない?。わたしたちの前を歩いて、まるで道案内をしているみたい」



 しかし、わたしは適当な相槌(あいづち)を打つだけで返事はしなかった。

 というより、できなかったのだ。


 先頭をネコが歩くのは誰が見ても不自然だったし、その言いわけも思いつかなかったからだ。


 ちなみにアユムは最後尾(さいこうび)を歩きながら、ずり落ちるヘルメットと格闘していたので、不可解(ふかかい)なネコの行動には、まったく気がつかなかったようだ。




 しばらくすると、地面が一メートルほど(くぼ)んだ場所でステネコが足をとめた。



「ここ……?」


 と言いかけて、ステネコを見る。

 ステネコが小さくうなずくのを確認し、わたしは続けた。


「……がそうだよ」



 (くぼ)みの斜面にあいた、ぎりぎりネコが通れるほどの小さな穴。



「これがそうなの? もぐらの穴にしか見えないけど……」



 トモミがいぶかしげに穴を見つめる。

 わたしも実際とまどった。誰だって、この穴を見て『龍の玉が埋まっていそうな洞窟』だなんて思わないだろう。



「でも、ずいぶん奥まで続いている……。あやしいよ、この穴」



 しゃがみ込んで真剣に穴をのぞく、アユムの言葉に救われた。




「とにかく掘ってみようよ!」






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ