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新・ロリの惑星  作者: 神原ハヤオ
第1節-起
9/53

その9「検診の日②」

「なあなんでそんなに」俺は言った。「ちっちゃい子がその……好きなんだ、あんたは」

 ふむ、とアンドロイドが言う。

「『そういう風につくられたから』としか言いようがない。私は生まれながらの医者であり、生まれながらの幼女好きなのだ」

 アンドロイドは続けた。

「私の頭の中には医療知識を司る医療回路や、身体を駆動させるための活動回路、患者の状態を記録するための記憶回路、幼女愛玩回路などがあり……そのどれも、機能として本質的には独立している。そのどれかだけが『私』であるわけではない。『私』という存在はこの独立した機能の集合体として定義されている。よって医者で幼女好きであっても、なんらおかしくはない。まったく矛盾ではないのだ。むしろ医者であるのに幼女が好きでないことのほうがおかしい」

「いやその理屈はさすがにおかしい!」

 俺はほとんど叫ぶように言った。

「とにかく目のやり場に困るんだ、両立はけっこうだが今はどっちかにしてくれ!」

「そうは言うがな、君の問診も重要だぞ?」

「なんで俺の問診をやめる選択肢が先なんだ?! 本当に選択肢はそっちだけか?!」


 俺以外の患者がこの病院の中に残っている、とアンドロイドは確かに言った。事の真偽を確かめるため、午後から俺はその患者たちを探し始めた。廊下を清掃するふりをしながら、怪しい部屋がないかどうかを探索した。

「何をお探し?」

 後ろからクオンの声がした。俺はぎくりとしたが、なんでもない風の顔で振り返った。

「探している? なんの話だ」

「トキワくんは嘘が下手だな。顔に書いてあるよ〜『俺はロリコンです』って」

「そんなことは書いてない!」

「じゃあ『誰かを探しています』かな?」

 俺は言葉につまった。やはりクオンは気づいているのか?

「ごめんね、さっき426さんと話していたの聞いちゃった。だからきっとそうなのかなってさ」

「……探したら、悪いのか?」

「ううん、ただ……」

 クオンは切なげに視線をそらした。そしてすぐかぶりを振った。押し黙った。

「……なんなんだよ」

「ちゃんと帰ってきてよね」

「……はあ?」

 クオンが踵を返した。言った。

「案内するよ。だからついてきて」

 行った。俺はあわてて後を追った。

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