その16「二人目のアンドロイド?!」
春の嵐が吹き荒れた。風がカーテンを躍らせた。
紙切れが1枚、掃除をしていた俺の足元に転がってきた。手に取った。
「なんだこれは……」
それはチラシのようだった。ポップな字体でこう書かれていた。
『第11回 ロリ人間コンテスト 来週開催』
いや本当になんだこれは。
「私ではない」
こんなビラをばらまくのは一人しかいないと思った俺は、元凶と思しきアンドロイドに詰め寄った。だが彼女はかぶりを振った。
「しかし」と彼女は続ける。「興味深いイベントだ」
「興味なんて持ってもらわなくていいんだが?」
「おいおい君が私に勧めてきたんだろう? 『これを知っているか?』と。私が知らないと思ったから親切心で教えてくれたんじゃないのか?」
「残念ながら違う」
俺は彼女からチラシをとりあげ踵を返した。
「おい! そのビラを渡してくれるんじゃないのか?! おい!」
「なんのチラシだい、これは」
幼女クオンが首をかしげた。
「わからないから、こうして見せているんだ。何か心当たりはないか?」
「さあ……見当もつかないなぁ」
クオンが首を捻る。
「そもそも何のイベントなんだろう? ロリ人間コンテスト……名前から察するに、『誰が一番のロリ人間なのか』を競うコンテストかな?」
「いや、そもそも肝心の『ロリ人間』が何なのかがわからないのだが?」
しばらくクオンは考え込んでいたが、結局は肩をすくめた。
「考えてもわからないことは考えない! それよりもお掃除の続きをやろうじゃないか。もしかしたら、別のビラビラも落ちているかもしれないよ」
「ビラビラ言うな……」
くすくすとクオンは笑った。
その時、かなたの空から音がした。窓の外を見やると、向こうから一機のヘリコプターが近づいてきていた。
「人……?!」
俺は走り出した。音は近づいてきている。階段を駆け上り、屋上に上がった。ヘリが病院の上空まで迫ってきていた。
俺はあらん限りの声をしぼった。両腕を大きく振り回した。
「おうい! ここだ! こっちに気がついてくれ!」
俺の声に気がついたのだろうか。
ヘリは病院の上空で静止した。
そして、消えた。
消えた?
ヘリがあった場所から、人のようなものが落下してきた、ような、ではない、人だ! 人が落ちてきた! 俺は立ちすくんだ。頭が真っ白になり、動けなかった。人が……足からジェットを噴射して、減速した。減速して、屋上に着陸した。
まばゆく輝く白い体。風になびく黄金の髪。その関節は、球体関節。
「二人目の……アンドロイド……!」
アンドロイドの女は、俺に見覚えのあるビラを突き出した。
「このチラシに、あなた見覚えがありまして?」
俺はおずおずと頷いた。満足そうにアンドロイドは微笑んだ。
「ではここが、祭りの会場なんですわね! ようやっとたどり着きましたわ!」
アンドロイドは左手を腰に、右手で横ピースを決めた。
「世界の幼女をあまねく守る! 奇跡のスーパーアンドロイド、トゥインクル=トゥインクル 1st、見参ですわ☆」
頭の悪そうなやつが来てしまった。




