エピローグ/裏童話
【全ての敵】
昔々あるところに真っ黒な血をその身に流す赤子が生まれました。
人間たちは黒い血の子を魔人と恐れて焼き殺そうとしてしまいます。
そんなとき同じ黒い血の人たちがその赤子を助けました。
赤子は黒い血の人たちの手で愛されながら育ちます。
そして赤子だった彼はいつの日か夢見ました。
『悪夢』という存在を倒したいと。
ある日のこと。
夢見る彼の成人の日。
教会での儀式に参加しました。
誰もが待ちわびる大切な日。
その日は彼にとって最悪の日となりました。
女神からの神託です。
彼は自分が『悪夢』なのだと知らされました。
彼は絶望しました。
せめて誰も殺さないようにと自分を殺そうとしましたが、女神の呪いのせいでそれも出来ませんでした。
必死に『悪夢』にはなるまいと抑え込み、いつか『悪夢』として人を殺したりはしないかと恐怖におびえる日々が続きます。
そして彼にとって自分が『悪夢』と知るよりも最悪な出来事が起こるのです。
魔人を皆殺しにしようと、他の種族の人たちがやってきたのです。
彼は悲しみました。
彼は魔人を愛していて、魔人のためならば『悪夢』になって見せようと決意するのです。
魔人を殺そうとした者たちを殺しました。
本当は仲良くしたいと思っていた相手を殺しました。
その苦しみはどれほどのものだったのでしょう。
涙も流さず彼は一人、戦場で全てを敵としました。
とても愛していた魔人も殺しました。
魔人が『悪夢』の仲間なんじゃないかと思われることが嫌だったのです。
だからといって人を殺すことが許されるわけではありません。
彼もそれはわかっていました。
そして『勇者』に頼み込むのです。
必ず『悪夢』を倒してくれと。
『勇者』は誓い通りに『悪夢』となった彼を倒しました。
『勇者』はとても優しい『悪夢』のために、もう一つの誓いを立てます。
これからは『勇者』が魔人を守るのだと。
『悪夢』の彼がやったことは決して許されるものではありません。
けれど魔人を皆殺しにしようとした全ての種族も許されるものではありません。
私たち魔人は『全ての敵』となってしまった彼の話を受け継いでいきます。
二度とこんな悲しみが生まれることがないように。
魔人がこれから人間として扱われるように。
そうなるまで私たちは彼の心を忘れることはありません。
魔人を受け入れた寛容なる勇者と。
全ての敵と呼ばれるとても優しい『悪夢』が魔人を救ってくださったのでした。
めでたしめでたし。
ありがとうございました!
完結させることが出来ました!
まだまだ未熟なものですがここまで読んでくださった方がいらっしゃれば私は幸いです。
活動報告のほうでこの作品についてとか今後の小説についてなんか書こうかなーと思っているので興味がある方は見てくださると嬉しいです。




