おまけ
「それでぇ、そのコはどうしたのぅ?」
「それがですね、聞いてくれますか。目ェ覚ましたと思ったら、夕飯のササミの酒蒸し当然のように横取りして、そのまま座布団陣取って寝オチですよ!朝起きたら起きたで腹減ったって鳴き出すし、犬の散歩で外に出れば、こっち一瞥もしないでスタスタどっかに消えましたとも!」
「あらあらぁ」
「そういうわけで断じて犬派です」
「あらあらあらぁ。ところでベランダでカリカリやってるコはどうしたのぅ?」
「あっ、お前危ないからベランダからくるなって言ったろ!入るのは玄関!ついでにお客様を威嚇しない!」
「うふふ、警戒してるのねぇ。カワイイわぁ」
「確かに懐けば可愛いですが…何だ何だ、膝によじ登るんじゃありません。エサなんかないぞ。水はあっち。だから威嚇するな尻尾逆立てるな!」
「うふふふ、ライバル出現ねぇ~」
「? うちの二匹でしたら、割とうまくやってますよ?互いに無関心だけっぽいですけど」
「ふふ…そおいえばぁ、センセが早くワクチン受けに来いって言ってたわぁ」
「あー…そうでした」
ちょっとカレンダー確認してきますと、部屋の主が席を立った。爪を立てて離れない猫を片腕に抱き直す。
肩越しにこちらと目が合うと、フシャーと牙を向いて飼い主の裏拳をもらっていた。
「うふふ…アナタもタイヘンねぇ?」
優雅な指に撫でられながら、「仕方がないさ」とばかりに犬がひとつ欠伸した。
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