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元勇者、子育てに奮闘する  作者: カランコロン
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元勇者と少女の手料理

あの後特に何も無く家の帰り道で贔屓にしている練りパン屋に立ち寄りお土産のモモルの練りパンと他にも幾つか屋台の料理を買う。本来なら料理をするのだが生憎時間的に凝った物は難しい。なので明日の帰りを早めにしようと決意しながら本日の夕食を買い込む。


それらを持ちながら帰路に付き、借りた宿屋の部屋へと向かう。道中に冒険者が何人かいたが気にせず通る。


「てめぇ!漸く見付け「邪魔だ!」パギ?!」


何か朝方ミスティにやられてた冒険者がいたが気にせず通ろうとしたが目の前に回り込まれたのでスネを蹴り、軽く折ってから横を通り抜ける。後ろの方から「もうやめましょうよ。」と取り巻きの声が聞こえたが同意見だ。


「ただいま!」


そのまま部屋の扉を開け、リースが飛び込んでくるかもしれないので素早く荷物を端に置き、手を広げる。


予想通り、リースは直ぐに駆け寄って来た。白地にフリフリの飾り布をたっぷりとあしらった衣装はノースリーブのワンピース。頭にはお気に入りのピンクのリボンと見慣れぬヨレヨレの蝶を模した飾り。


その姿のまま広げた両手の間に入り、抱き着いてきた。


「おとーさん、おかえり!」


声の掛け方が2人きりの時のものだ。どうやらウルド一家は既に帰ったのだろう。まぁ面倒を見てて欲しいと言ったが流石に一日中は無理か……。


「ただいま。リース。ウルドや奥さんはどうしたんだ?」


「えっとね、おとーさんがそろそろ帰って来るって思ったからね、あのね。」


何処かモジモジしながらちらちらとリビングの方を見ているリース。その視線に釣られて返事になっていない事を一旦無視し、リビングに向かう。


借りている宿屋はかなりの高級な宿屋で個室どころか軽い家並みの部屋が使える。扉を開けると短いながらも廊下があるし、その先はリビングとトイレ、寝室二部屋に繋がっている。更に高いグレートの部屋なら2階に繋がる階段も有るらしいが流石に2人なのにそこまでの広さは求めて無い。余談だがウルドに借りた部屋は同じ仕組みの隣部屋だ。最初に部屋を見た時はもっと安宿で良いと言ったが万一リースが遊びに行く時に安宿の治安の悪さで怪我でもしたら全力で宿屋潰す事を3時間掛けて説明するとニコニコしながらも何処か引いている奥さんに絆されウルドも納得した。娘さんは大喜びだったが……。


そのままリビングに入ると目の前に鍋がある。













暫く思考が停止していたようだ。リースしかいない部屋でリビングにある鍋、もしかしたら奥さんが作ったのかもしれないが顔を俯かせながら何処か期待した感じでちらちらと俺を見るリースを見るともう間違いはないだろう。


「…………これは……リースが?」


「えっとね、あのね、シュルさんがね、教えてくれて……リナちゃんと……あの……作ったの。」


シュルさんは多分ウルドの奥さんだろう。1度鍋を覗き込むと魚の切り身や芋、人参もどき、カラフルな豆が見える。確か《叡智の大書庫》で1度だけ此処らを調べた時に郷土料理の一種でこんな料理があった。


綺麗に切れてる切り身や芋、人参もどき、それらとはあからさまに切った人が違うとわかる不出来な切り口の具材が所々に見える。


慌ててリースの手を確認するが切り傷や痣などもない。どうやら怪我せずに済んだようだ。


「………………。」


「えっとね、えっと……おとーさんにありがとうってどうするのってリナちゃんと話したらこうしたら良いよって。」


もしかしたらイケナイ事だったのかと思ったのかリースは俯いたままになってしまう。そんなリースを抱き上げると驚いた顔をした。


「リース、ありがとう!」


そのまま喜びに身を任せてクルクル回る。リースも喜ばれている事に気が付くと笑顔になった。















回りすぎて後でリースに怒られたけど初手料理の日だ、いい思い出になる。

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