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元勇者、子育てに奮闘する  作者: カランコロン
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元勇者と会談


出された書類に目を通し、抜け道が無いか確認するがやはり無さそうだ。辺境伯とその領地のギルド長、普通に考えてたかが冒険者が逆らえる相手じゃない。


何より、普通冒険者はランクを上げる者が圧倒的に多い。ランクが上がれば多種多様な権利も得るし、融通もされる。まぁ付属する義務も有るがそこまで大きな義務は無かったはず。なので基本的に冒険者はランクを低く維持しようとは思わないだろう。


だが俺はランクに拘りがない。寧ろ低い方が色々動きやすい。有名になれば面倒な輩も増えるだろう。なので俺はランクを低い維持して来た。


「出来れば遠慮したいのですが……。」


一応、俺の意見を言ってみるが意味は無いだろう。


「それが通ると思いますか?」


にこりと胡散臭い微笑みを浮かべるダークエルフ。あぁ、やっぱりだめかと思っていながら出されたモロコーヒーを1口口に含み舌を湿らせる。


何とか逃げる方法を考えて思い出したのは確かダークエルフは魔族領にしか居ないはず……。そんな情報だが横の執事服着たサキュバスと良い、此処に居るのはおかしいからそこから攻めれば何とか打開できるかも?


でもそれじゃぁ幻術見破ってる事を自分から暴露する訳だし、舌戦ではにわか仕込みの俺が勝てる相手とは思えない。


最前は出会わないことだったのになぁ……。と黄昏(表情は取り繕っている)ているとダークエルフが微笑んだ。


何か、前の世界での妖怪の主みたいな色々と含んでいる様な笑みだ。


「そうですね。貴方の方にも事情があるのでしょう。少し世間話でもして気を紛らわせましょうか?」


何だろう、乗っちゃ行けない気がする。だが気分転換したいのもまた事実。


「そうですね。ではこの茶菓子はいったいなんと言う名前でしょうか?」


一応調べたので名前は知っている。ウラカラと言った名前でクッキーみたいな見た目だが食感が噛んだ瞬間はクッキーなのに口の中でゼリーになる。


「此方の品はウラカラ、帝国と王国の境界にある地方で有名な物です。食感が中々面白く、今回特別に用意させました。」


「自分なんかの為にそのような物を用意していただきありがとうございます。」


「いえ、お気になさらず。……そうそう、王国の事で思い出しました。」


ん?何か話がそれた気がする。


「王国で今、勇者召喚が話題になっていますね。」


「そうなのですか?何分、森の中で採取が主だった依頼でしたので王国の方はあまり知らないのです。」


「そうですか。では知らないかも知れませんね。その勇者召喚なのですが失敗したと噂が流れているのです。」


そりゃそうだ。召喚された俺が広間ぶっ壊してその後王女や兵士の記憶を改竄したので失敗したで通っているだろう。


内心そんな事を考えた時だった。何か、頭の中で引っかかる。


そんな俺の心情を知ってか知らずかダークエルフは俺の表情を確認しながら話を続ける。


「ですが、これは確かな情報では無いので信憑性は無いのですが召喚は成功していたのではと噂もあります。」


言われた言葉にちょっと固まる。だが気が付かれてはいないのかそのまま話を続けてきた。


「信憑性は有りません。噂は噂です。ですが、もし勇者が召喚されたなら、その勇者に王国が逃げられていたら、秘密裏に探すでしょうね。」


何だろう、凄く嫌な事を思い出した。俺確か、あの召喚の間から逃げる時、『力有る言葉』を掛けたままだったっけ?動かす為に解除しなかったっけ?


「そんな勇者ですが、特異な力があるとか……確か」


ダークエルフはそう言って、幻術を解いた。


「簡易な幻術程度は見破る……とか。どうでしょう?合っていますか?」


取り敢えずの結論、俺はコイツが苦手だし、もしかしなくても王女に掛けた『力有る言葉』全部解除していると思う。どうしよう。

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