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元勇者、子育てに奮闘する  作者: カランコロン
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元勇者と少女

「さてと………この状況如何するかな?」


平原に散らばる無数の肉片、この状況を作った本人だが既に虫などが集っているのもあり、数が膨大すぎて気持ち悪い。


生々しいピンク色な肉片に、(ゴブリンの肉片ってピンクなんだ。)とちょっと関心を抱いたが今は忘れよう。


まぁ、ゴブリン殺したのあの世界で召喚された時に試し切り的な感じで殺させられた上に剣じゃなくて魔法だし、魔力の調節が出来ずに黒焦げだったので今更ゴブリンの肉片見ても妙な感覚だが……。


既に結界は解いてあり、残りのゴブリン達じゃあの森の魔物は突破は出来ない。ゴブリン達はそれでも俺から逃げる為に森に入った奴もいるがすぐにクマさん二世(あのクマさんの子供ではない適当に見つけただけ)などの餌だろう。


空を見上げ、星の位置と感覚で時刻は2時前と言ったところだろう。今から帰っても普通に寝て、朝をリースと一緒に過ごせる。


取り敢えず放置する事にし(俺の仕業にしたくない)手土産がわりにモモルの実を探そうかなと思いながら歩こうとすると同時に気がつく。


森の中にいる魔族の気配、強さ的には小鬼の王と変わらない程の存在が全力で息を殺しながらこちらを伺っていることに……。


あの世界の幻夢の魔王に比べたら雑な隠れ方なので[透過の水唱剣](クリスタルソング)を使う程ではなく、居場所もしっかりと分かる。


敵意は感じず、恐怖しか伝わってこない。どうやら敵討ちでは無さそうだ。


俺はその方向に一度だけ視線を送るとそのまま森に入って帰る。


視線を向けた瞬間にビクリと茂みが動いたが気にしない。




暫く歩き、途中で[透過の水唱剣](クリスタルソング)で見つけたモモルの実をもぎ取りながら開拓地、いや、もう集落だな。集落のテントの側により、近くで倒れてるミスティを放置して中に入る。


するとそこには眠そうに目をこしこしと擦りながら何とか起きているリースがいた。


「……リース、寝てなかったのか?」


「…んぅ、おとーさん待ってた。……おかえりなさい……おとーさん。」


何とか起きているリースはそう言うとカクンと首が傾きそのまま倒れそうになるので慌てて抱き止めるとまたちょっと起きたようだ。


「あー、取り敢えず、寝ようか?」


「んぅ、おとーさん…………あり……が……スピュルルル。」


きっと、その一言が言いたくて起きていたのだろう。少なくとも関係の無い奴は見捨てる事が出来ない子に育つんだろうなと思い、優しく育つ事を願いながらリースをベッドに入れると自分もそのまま寝た。




時間は過ぎ、朝。


リースに起こされる為に技と長めに寝ている俺は今日に限ってリースより早めに起きている。


理由は目の前の変態が起きると同時に「リースちゃんを守らなきゃ⁈」と言いながらテントに突撃しかけたからだ。


「……で?弁明は?」


「いや……あのさ……昨日、向かったんだよね?なんでいるの?」


テントの側で正座(こっちの世界には無い習慣)を強要し、念の為話を聞いておく。


「……俺に死ねと?」


「違うよ⁈農家なんでいるの⁈昨日のパターンだと私を気絶させた後一人で足止めに向かったと思うじゃん!なのになんでピンピンしてるの⁈これ夢⁈」


あー、そう言えばある程度は知らせているが全力は知らせてないから心配させたのか……。それで俺が決死の特攻で足止めをしたと勘違いをしているようだ。


「……面倒いからお前帰れ。」


「幾ら何でも私の扱い雑過ぎない⁈」


「ん……んぅ?おとーさんおはよー……。」


寝ぼけてなんかポヤポヤ状態のリースがテントから出てくる。着ているのはお気に入りの白いモコモコのパジャマだ。


「可愛い!ヒャウァ⁈」


「ひぅ⁈」


「寄るな変態!」


そんな姿のリースに興奮したミスティが飛び上がるが慣れない正座で脚を痺れさせ変な声を出しながら前のめりに倒れた。それに怯えたリースを抱き上げて放置した。


「おおおお⁈脚がぁー!」


何やら喚いていたが気にせずに俺は朝食の準備に取り掛かる為に水瓶に魔術で水を溜めておく。すると抱き上げていたリースが俺の顔をじっと見ていた。


「おとーさん、我儘聞いてくれてありがとう。」


未だに眠気が覚め切ってないリースがポヤポヤした状態で笑顔になる。それと同時に告げてくる言葉に嬉しく思い、取り敢えず水瓶から柄杓で水を掬い、顔を洗わせながら横で朝食の準備を始める。


人知れずな人生とはちょっと違うが少なくともこの子が笑顔になるならそれで良い。

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