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はじまり

「ほーん。これがお前さんが通っておるという学校か。うちが前住んでおった大学とはえらい違いじゃのう。」

自分が通っている大学に行ってみたいと言っていたので連れてきたら何やら感想を一人で述べている。

 ちなみにコンは俺のリュックサックに化けている。先ほどから周りが見えんとか、もうちょい配慮はできんのか?とか文句を垂れていて非常にうざい。

「ん?あんたは大学を知っているのか?」

「ん?知っておるぞ。むしろ知っておらんとでも思ったのか?こことは違ってかなり大きくてうちらの寝床になっていたくらいじゃけ。その大学には原生林があっての。カラスが多くていつも縄張り争いをしておったなー。あとは牛とか馬とか。」

それってどう考えても俺が前いたところなんだが・・・・。

「もしかして、その大学は札幌駅からすごく近くなかったか?」

「そうそう。お前さんよく知っておるの。まあ、当たり前かの。うちはお前さんを追ってきたのだからな。スイサンガクブ?かの?たしかこの函館の町に移るのは。他にも札留とかいう怖い行事が存在するとかどうとか?聞いたことがあるがの?」

「・・・・・・。詳しくすぎだろ。」

得意げな顔をして、こちらを見ているんだろうなっていうのを背中から感じる。

「確かお前さんは札留・・・。」

「はい、ストップー。そこまでだ。コンさん。」

あまり思い出したくないことを告げようとしていたので思わず会話を止める。

「にしてもここは少し寂しいところじゃの。」

「そうか?もう慣れてきたけど。」

たしかに札幌からここに移った直後は寂しかったし、気持ちも乗らなかったが、いつの間にかこっちに来て友達もできたし、前ほど寂しいという気持ちにはならなくなっている。しかし、それでもたまに札幌の街と友達が恋しくなる時があるのだが。

「しかし、誰もおらんの。」

「まあ、今は春休みだからなあ。わざわざここに来るやつもおらんだろ。」

「ふーん。それもそうか。でもみんなここに来たくて勉強したくてここに通っておるのではないのか?」

確かにその通りのはずなのだけど、俺はどうにもおとなしくうんとは答えられない。

「いいや、そうでもない。」

「そうなのか。」

「そうなんだ。人にはいろいろあるのさ。」

「そうか。人にもいろいろあるんじゃの。そうじゃ、次は五稜郭に行きたい!」

今の時刻は三時二十五分。今日はバイトもない。時間はたっぷりとある。

「いいよ。連れて行ってやるよ。」

「やった!」

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