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はじまり

どれくらい寝ていたのだろうか。カーテンの隙間から射してくる朝陽で俺は目が覚めた。しかし、目覚めはよくない。

「そういえば、昨日はけっこう遅くまで起きてたんだっけか。」

別に誰も返事を求めないただの独り言のはずだったのだが、

「よく寝たなあ。お前さん。」

なぜか返事が返ってきた。

「は?」

「なんじゃその返事は。お前さん昨日の出来事を忘れたんか?」

銀髪の髪の女の子がなぜか部屋にいた。そして。俺と会話をするのが当たり前のようにふるまっている。しかも、美人さんだ。そこで俺はバイト帰りの出来事を思い出す。

「そうか、お前はパンツの・・・・妖精か何かだったっけか?って痛っ」

女の子に蹴られた。

「違うわ。どあほうがぁ。狐じゃ。名前はコン。それすらも覚えられない残念な頭なのかお前さんは。」

罵声を浴びた。うーん。美人さんになじられるのってあんまり経験したことないけど、少し気持ちいいな。

まあ、そんなことよりもだ。どうやら昨晩の出来事は本当だったらしい。俺はやっと鮮明に思い出した。しかし、パンツが人間になりさらにその正体が狐であったとは、世の中何が起こるかわからないものである。

「それで。コンさんは恩返しとかおっしゃられますが、具体的に何をなされるんですか?あと、パンツになっていた理由は?」

とにかく、疑問に答えてもらうことにした。

「恩返しの方法はいろいろあるが、そうじゃの。たとえば、うちの化ける能力を使って何かするとかでもええし、人間は悪知恵が働く動物じゃからな、そこはお前さんが考えよ。私の使い方は。あっ、でもエロいのは無しじゃぞ。獣耳最高とかけもなーとかいるらしいと聞いたことがあるが、うちはそんなのはお断りじゃ。よし。これで質問にはすべて答えたな。」

コンと名乗る少女はうん。うん。と満足そうにうなずいた。

「あれ?パンツは?」

「そうじゃ。お前さんは学生じゃろ?時間は大丈夫なのか?」

「へ?」

そういえば、今日は月曜日であり講義も一限目にあるはずである。すっかり失念していた。そして、ふとスマホの示す時間を見てみると、すでに時刻は九時。講義の開始は八時四十五分。あれま・・・・遅刻だ。どうにも最悪な一週間の始まりだ。

「ってやばっ。」

俺はあわてて準備する。この講義をさぼれば不可は確実だ。出席日数を考えるに。遅刻とはいえ、出席すれば誠意を認められ、まだなんとかなるかもしれない。床に転がっていたカバンをつかみ背負う、そして財布と鍵とスマホをポケットに入れ部屋を出ようとする。しかし、ここで俺は大きな忘れ物に気が付いた。狐である。

「コンさんはどうするんだ?この部屋にいてもなあ。俺はお前を信用しているわけでもないし・・・。申し訳ないが、俺が帰るまでこの部屋から出て行ってくれないかな?」

そうだ。慣れ慣れしくお互いにしゃべっているとはいえ、まだ初対面であるし、どんな奴かもわからない。それに狐は昔から人間を化かすものだと決まっている。家に置いておくわけにはいかない。

「それなら、うちも学校に行ってみたい。」

「は?えっと?」

俺は困惑した。

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