結。(閲覧注意、残酷描写有り)
「………なんだ、これは?」
静まり返った住宅街に不釣り合いな金属音が鳴り響く。
地下へ続く重い扉が工具によってこじ開けられる。
――異臭に関する通報
それ以上でも以下でもない理由で、警察官たちはここにいる。
重い扉を強引にこじ開けた瞬間、
内部に溜まり切った空気が外へと噴き出す。
「……う、ぐっ……っ!」
先頭を歩く警官が一歩踏み込み、視界に入った〝物〟を見て口を押さえ激しく嘔吐する、
手からこぼれた吐瀉物が床に散った。
懐中電灯の光が、ゆっくりと地下室をなぞり、
闇の中にある《温室》の正体を曝け出す。
壁際の棚には透明な樹脂の直方体。
指。
耳。
舌。
——人間だった物のナニカ。
それらが丁寧に剥ぎ取られ。切り分けられ。
樹脂の中に沈められた「パーツ」が執着的なまでに整然と並べられて
いずれも切断面を正面に丁寧に配置され、固定されている。
まるで『作品』のように。
それぞれに、小さなラベル。
日付。
部位。
そして〝被害者〟の名前。
「………狂ってる。」
一人の刑事課一係。強行犯の刑事が正気を削り取る様な光景の中、考える
殺人。死体損壊。監禁。これだけ残虐で目に見える範囲でも複数人の被害、調べれば何人にのぼるのか
報告書を作る事を考えると今から頭が痛い。間違いなく犯人は
死刑を避けられない……と。吐息混じりに結論づける。
部屋の横、血溜まりの中に転がっている「個体」を見た時、凄惨な現場を見慣れた
男たちの顔から血の気が引いた。
かつて「ハナ」と呼ばれていたであろう犠牲者の死体は
四肢は節々から無残に切断され、その切り口からはどす黒く変色している血液が
だらしなく無残さを彩っている。
もはや人体の形を保っていなかった。
四肢は関節ごとに切断され切り口は雑に処理されている
血液は床に染み込み、乾いた部分とまだ粘度を保つ部分が混在していた。
胴体には削ぎ落とされた痕。
抉られた痕。
刃物を入れるたびに〝調整〟された形跡。
そして、顔。
口は、限界まで開かれた状態で固まっている。
絶叫の最中に喉が破壊され、声帯は裂け奥は黒く変色していた。
眼球は、恐怖によって突出し死後もなお切り刻んだ相手を見続けている。
「……拷問、か?」
違う。
この配置、この処理、この執拗さは——
説明できない。…これはただの殺人じゃない。
刑事たちが視線を逸らした『保存液の注入器』や『催涙スプレー』の、その先。
その狂気的な部屋の中心で、
一人の少女が倒れていた。
「……だめだ、もう事切れてる………………?…ッッ!……糞ッ!!!!」
一人の警察官が少女の首筋に触れた後、
目に移ったあまりの異様な光景に弾かれたように手を引く。
痩せた体。
乱れのない服装。
床に零れた、濁った液体の跡。
内臓は溶け、胃壁は焼けただれ、死は激痛を伴ったはずだった。
――だが。
「……表情が……」
少女の顔には、苦悶がなかった。
唇は耳元まで裂けんばかりに吊り上がっている。
歪みも、恐怖も、後悔もない。
遺体は苦しみなど微塵も感じさせず
目は、何かを見つめるように緩く開かれている。
それは表情は幸福そのものだった。
死の直前
彼女が。
被害者たちが。
〝見ていたモノ〟は何だったのか。
花園か。
解体された肉体か。
あるいは――
それらが区別できない世界か。
答えは、どこにも残されていない。
ただ一つ
彼女の傍らの棚。
ラベルには、小さな文字でこう記されている。
――「みんなの一番きれいなとき」
その隣の小さな付箋付きのメモ帳には、鉛筆で丁寧に書かれていた。
『茎の角度:完璧に曲線美
葉の広がり:理想通り
触感:最高
次回はもう少し光を当てて、より『元気』に見せること』
棚の端には、別のメモも重ねられていた。
『果実は熟しすぎず、やや小さめで保存すると長持ち
香りが強い部分は眺めると幸せ度120%
次回は枝の配置も少し調整してみること』
棚の近くには丁寧に洗われた女性が好みそうなデザインの小さなカップが置かれ
飲みかけで半分残った紅茶の跡が残っていた。
植物のメモ帳の続き、最後のページに予定として、筆圧が異常に高いよれた字で
『次は新しい種を植えよう!楽しみ!』と走り書きされている。
標本にされた〝作品〟への、愛情と細やかな指示が、
狂気と芸術の境界線を淡々と記していた。
笑顔で終わった少女の表情の奥に
誰もが計り知れない執念を感じ取る。
それは見た者の正気を削り取る
純粋で無垢な、救いようのない満面の笑みであった。
本人は一貫して幸せ?なのでメリーバッドエンド?ということで一つどうでしょうか(?)
ハッピーエンド至上主義なので方向性が違いすぎるこの作品はビビりながら投稿しました。
こっちの肝が冷えたわ!w
狂ってしまったギチギリに詰まった話の中に
彼女に一滴一滴人間味を足す作業が大変でした。
……彼女の奇行は正気に戻りかけてしまう
時の必死の抵抗ですw




