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【5】内界編 第13話 噂のアイツ。

いつもお世話になっております。読んでくれて有難うございます♪


 さて、今日も今日とて投稿します。


 ………はっっ!


アイツが、……来るっ。




 「ソイ。 ヤー。」

 ヅッドオォォンッッ!


 ノーフが力士よろしく四股を踏む。


 そしてまさかの、大地が揺れる。

 いや波打った。


 その地波紋は広がるどころが集約される。意思を持ったかのように敵の足元へと集中した。…ならば当然のこと。敵の巨体は傾いて…


 「逃さなぃっ…チッ!」

 ゴコンンッ──バッギャん!


 その傾いた方角から痛恨のカウンター。

 地から突き出たのは巨大な氷塊。


 巨大な敵頭部にめり込んで砕け散った。あの大質量が砕け散ったのだ。相当な衝突威力であったに違いない。なんとも息の合ったコンビネーション。


 マージ。彼女の水魔法。


 しかし…この階層には水場はあるが遠く離れているはず。つまりこの一帯に水気はない。ならあの大質量の水分は…何処から持ってきた?周囲を見渡せば密集していた樹木がその直径を細らせていた。大量に枯れて…いる?…おいおい恐ろしいおチビだな。小さい身体が大きく見える。氷の女王然として。この時ばかりは、あのロングリーゼントが相応しげに()えてるな。


 氷塊が砕け煌めきを付与された大気の向こう…見えた。敵の姿。その巨大な頭が誇る巨大な顎は上下の噛み合わせを不自然なほどずらしていた。ああ…物語っている。確かなダメージが通った事を。まあ…どう少なく見積もっても完全に目は眩んだ。発生したその確かな隙を誤魔化すようにして敵は足掻いた。 グルンッ 一回転。

 分厚い皮と肉を引きつらせ背に逞しく浮き出た骨。その延長線上に生えていた巨大な尾をしならせ、振って、周囲の樹木諸共範囲内の全てを薙ぎ倒し、闇雲にでも蹴散ら………す、事で、劣勢を誤魔化そうとしたようだが。──それも叶わない。


 「もらってくべ…」

 ザヴォンッ!


 ヴァルキだ。


 彼女の槍が風を纏っていた。

 大樹の直径を上回る…それほどの尾だぞ?

 しかも最も太い根本から断ち切ったなッ?


 回転の途中というその大袈裟な動作の中で尾を失ったのだ。敵はボディバランスを著しく損なった。そのままハンマー投げ選手のように身体を傾け余分に大回転……その余剰半回転目ッ。

 傾きすぎ、スレスレを這って地に不時着する寸前だったそのティラノ顔を迎え撃つのは…… 


 ドゴーー「ドーーンダんずー!」ーーッ!


 スミスだ。

 大ハンマーが鳴らす快音。

 とスミスの怒号。


 そしてゴキュゴキュと頭部から、頚椎から、骨の芯から、鳴らされたのは敵の壊音。それらが合わさり不協和音。


 不自然な姿勢を強要された敵は不自然に横たわる姿勢で慣性に引っこ抜かれたように地を這っていく。

 つか、あんなに速度が乗った超質量を跳ね返すとか。相変わらずの馬鹿な力。昨日はその馬鹿力で俺の頭部を狙ったのだったな。…改めてだ。深く末長く鮮烈なまま記憶に焼き付けておくとしよう。覚えておれスミス。


 大回転の勢い。斜めっていた体勢。スミスの打撃。それら馴染み合わない力が絡んで捻じれ生じた、滅茶苦茶なるベクトル。

 敵はのたうちながら地をドゴンゴドンと凄惨に震わせ転がっていく。そしてやっと止まったかと思えば


 「ええいっ!」ザシっ!ジュッウッ!


 ああ。ドリュー。


 尾の根本に。

 ピンク色鮮やだった断面に。

 彼女が突き立てたは大ツルハシ。


 そこはたちまちウエルダン色に焦げていった。滲んでいた血液は泡立ち瞬時、モウと漂う煙となった。微妙に不味そうな臭いもついでに漂わす。

 その数瞬のちには敵は喉の奥から火を吐いていた。これはもちろんブレスなどではない。その証拠に敵の目は既に溶け、その眼窩からは沸騰して煮えた色々が垂れている。さっきのは…どちらかといえば断末魔。


 今のはぶっ刺したツルハシ越しに魔力を注いだドリューが、敵の内部で大火を発生させたのだろう。…ブルルっ…エゲツないことするなー。こわいなー。


 あ。てくてく近寄っていくのはカル。ジュウ。水魔法で冷却した。


「マスター?これ収納頼むっチー。あとあのバカでかい短槍と丸盾も頼むっチー。」


「はいよー」


 カル…お前のその動揺がない様子に俺はひどく違和感だぞ。なんで何もしなかったお前が一番の貫禄なの?


(いや、俺も人の事は言えんけども…)


 なんとも思わないのか?まったく…ということはお前もコイツラと同格に強いんだよな?何だそれ。呆れた強さだなコイツら。俺みたいに内蔵ダンジョンの力を纏ったとか…そういうチート補助があるならいざ知らず…


(素の戦闘力でアレかよ…)


 今眷族達がいとも簡単に屠ったこの敵は、かつてこの五階層を守護していたエリアボスと言われる存在だった。


 細長くも引き締まって生やした腕に槍と盾を持って襲い来る。太い尻尾でバランスを取りながら地と背を平行にした前傾姿勢を保った猛スピードで突撃して来る。そんなヴェロキラプトル。ゲームやラノベで描かれてたのより、かなりエグい見た目だが。


 それが、この内蔵ダンジョンでの出没する『リザードマン』だった。今倒したアイツはその親玉だ。リザードマンキングという魔物。


 その見た目は『ティラノサウルスが巨大な短槍とラウンドシールドを持つ』という、理不尽を極めたフォルムで、その威容に見合う強さだったはずで、一度倒されたこのボスは晴れて雑魚へと降格したはずで、なのにその強さはそのままに自ら獲物を求めて徘徊するというより凶悪な存在になっていたはずで…


 ……はず、だったのだが。


 器用に武具を扱うはずであったその両腕は、戦闘開始早々ヴァルキに切り落とされてしまった。そこから先は…今見た通りの蹂躙劇だ。まったくもって恐ろしい。


「はあー…」


 ん?何やらカルが盛大にため息を。


「どうしたカル?」


「いや、あの『経験値狂い』がこのリザードマンキングをスルーして先を急いだ…それが気になる…というより、これをもって確信に至ったっチ」


 誰の事を言って…


「あー。アイツかー。」

「そう、アイツだっチ。」


 嫌だなー。苦手なんだよ俺。アイツ。


「遂に反旗を翻した、そう見てもいいっチな…」

「そんな大袈裟なもんでもないだろう。きっとただの対抗意識ってやつで…」

「何呑気な事を言ってるっチ!」


 最近のカルは怒りっぽい。

 カルシウムが足りてないんじゃ?

 なんつってな。


 つか、カルよ。


「ここまでのんびり来たのはお前の判断だろ?なんで今更、そんなに焦ってる?」

「それは…覚悟を決める時間も欲しかった…っチから…」 

「あー…まーなー…」


 その気持ちは、分かる。


 彼ら眷族の事情も、知ってるしな。


 なんせ相手は…



  あの『勇者』なのだから。




 という訳で勇者登場します。気になる!という方は是非とも、4種の神器、そのどれかをどうか…夜勤週に休日出勤する…そんな作者に愛の手を…っ!


 

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