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30の魔法使い  作者: 圧縮
本編
59/83

上位魔獣

上位魔獣


 走る。

 急いで走っているつもりなのにあまり早く走れているように感じない。遠くにいるあいつらがまだ大きくならない。車やバイク等がほしい。この際自転車でも良い。今の足より早くなるものがあれば……。この世界にそんな便利なものが無いのはわかっている。ひょっとしたらあるかもしれないが、現在無ければ意味が無い。苛立ち。焦り。もどかしさ。これらの感情が不安となって押し寄せる。一攫千金を狙っている冒険者が多い中、英雄思考の冒険者も多いことがわかっている。だから出遅れた。1匹だけなら多分数で押せば無傷とは言わないが倒せるだろう。だが、2匹以上は賢しい魔獣相手にするのは骨が折れる。最悪犠牲が出ることもある。だが、あいつらにそんな思いをさせたくない。だから走っている。

「畜生、全然たどり着かない」

「フミトさん!待ってください!レンティさんが離れています!」

「くっ……、ペース落とす。ノンナ!レンティ乗せてあげられないか?」

「乗せることはできるけど、戦闘になったらちょっとまずいかな-?」

「そうか……」

 レンティが離れ、そこの隙を付かれてレンティが怪我することは本末転倒になってしまう。声をかけられてようやくそのような状況だということがわかる。頭が全然回らない。リーダーたるもの冷静で居なければならないはずなのに、今はそのような気持ちになることが出来ない。

「あ!」

「どうした!」

「黒いグリフォンに誰か飛ばされました!」

「なに!?」

 慌ててそちらを集中して見てみると、円陣を組みつつ耐えていたのだが、その形状が崩れている。そして一人が誰かを引きずりつつ円陣の中心に向かっているのが見える。

 ナイア達ほど目が良くないのがもどかしい。ナイア達に誰か聞いてもわからないだろう。

「すまない!先に行く!戦闘圏内から少し離れたところで対魔法防御を全員に。ノンナは悪いが盾を持ってガードしてくれ。ナイアは近づいてから弓で射てくれ。ナイアの腕ならたぶん当たるだろう。ティアはグリフォンのまとってる風の精霊を剥がしちゃって。リーア、しっかり頼むよ!」

 そう言うと返事を聞かずに今までに無いくらいの足で走り出した。

 だが、まだ体の輪郭で人数わかる程度の距離。弓なら射程距離ではあるが剣や魔法じゃ全然届かない。その間も火球がグリフォンより放たれ、仲間を焼いていく。

「クソっ!」

 まだ耐えることが出来ているようだ。もう少し耐えてくれ!すぐ辿りつくから!と願いながら走る。

 何とかギリギリ魔法の射程圏内に入り、火球を放とうとしている黒いグリフォンにアイスランスを撃つ。

 銃弾のように早いわけでは無いので、魔法の発動タイミングには間に合わなかったが、体に直撃させることが出来、こちらに注視せざるを得ない状況を作る。

 だが、黒いのは無視し、一匹普通のグリフォンがこっちに向かってくる。いらついた俺は近くに来たところでサンドストームをそのグリフォンにぶつける。きりもみしながら落下していくのを眺めもせず走る。

 後ろからの強襲も考えられるが、フクロウの様に羽音がし無いわけでも無い。上位生物な為その必要も無い。その上位生物の甘えた部分が今回は助かる部分になる。音を頼りに後ろを若干警戒しつつ走る。

 大分人影が大きくなり、黒いグリフォンもこちらを確認するような旋回をし始めた。こうなると攻撃の手が和らぐので耐えている仲間たちの生存確率は高くなる。

 疲れて少し遅くなっていた速度をここぞとばかりに上げ、距離を減らし、一気にあの円陣の中になだれ込む。

 息を切らせつつ、メンバーを見回す。

 シリノとイオタが倒れている二人を治癒していた。

「あ……師匠……」

「誰が負傷した?!怪我の具合は?!意識はあるか?!」

「師匠……お願いします……ボルカを……クルノールを助けてやってください……」

 涙ながらにイオタが懇願する。この日常的にお祭りの様な男がここまでなっているとは不味いかもしれない。狼狽からか、俺の質問も答えられていない。だが、少しだけ目に光が戻ったように見えた。

「わかった!任せろ!」

 そう言うとイオタは後ろに下がる。そして見えてくる。血に染まった体のボルカとクルノールの蒼い顔が。

 呼吸が激しい。時折痛みからか呻くことがある。ボルカは右肩から右胸にかけて真っ赤になっている。クルノールは右脇腹から右胸にかけてだろうか。二人は右利き盾職だから右側に傷があるのだろう。

 シリノとイオタは血止めの魔法は使えたはずだが、二人の力ではあまり効果が現れなかったのだろう。もしくは効果があっても出血がこれしか押さえられなかったか。出血の状況を見て慌てて羊皮紙を取り出す。だが、リフレッシュの魔法は上質羊皮紙1枚しか書いていなかった。だが、この怪我の状況を考えると、念のために最高級羊皮紙にし、呪文を完全に記入するべきだと判断する。

 ペンとインクを用意し、頭の中にしっかりと転写したかのように覚えている呪文を手順通りに書いていく。幾度も書いた文章なので、月日が経ったとしてもスラスラと書くことが出来る。だが、その時間でさえももどかしい。もし、魔法が間に合わなかったら……。その様な不安が書いている今でもジワジワと湧き上がってくる。2枚も書かなければならない事も含めて非情に焦る。だが、先ほど走っていた時に比べれば現状が把握できているだけで何もわからない不安や焦りとは違い、まだ耐えられる。

 1枚を書き終え2枚目に掛かる。ここにレンティが居ないことが悔やまれる。もう一枚書いている間に呪文を確認してもらえるのに……。書いている間も火球が仲間を焼いていく。この二人を助けたいがために熱せられても耐え続けてくれる。急がなくては。

 何とか書き終え、1枚目、2枚目と確認する。書き損じは無い。これでようやく二人を助けることが出来るという安心する気持ちが少しだけ出てくる。その少しの余裕で二人のどちらがひどい傷かを確認する。正直血が溢れ差がハッキリとはわからない。だが、タイミング的にボルカの方が先になるだろう。基本的な盾をいつもしているからだ。

「待っていろ、すぐ治してやるからな!」

 ボルカは返事をすることが出来なかった。返事の代わりに、血を咳とともに吐き出してしまう。右の肺にまで傷が達してしまっていたのかもしれない!急いで魔法をかけることにする。

「リフレッシュ!」

 傷口が時間を巻き戻したかのようにゆっくりと埋まっていく。だが、血は戻らない。血管から出て溢れた血が埋まっていくついでに押し出されコップの水をこぼしたかのように流れていく。傷は埋まった。だが、喉に溜まった血はそのままである。だが、そこまでのケアをしている時間はない。

「イオタ!後は任せた!横かうつ伏せにして血を吐かせてくれ!」

「お……おう!」

 慌ててクルノールの隣に体を移動させる。すると驚くことがあった。

「師匠……すいません……」

 クルノールの意識はしっかりしていたのだ。

「待っていろ!すぐ治してやる!」

「ボルカは……?」

「大丈夫!悪いが先に治した」

「それで良いです……。俺はまだ耐えられます……」

「もう大丈夫だ」

 羊皮紙を準備し、魔法を発動させる。

「リフレッシュ!」

 クルノールの脇腹もボルカと同じようにゆっくりと時間を巻き戻したかのように埋まっていく。ボルカみたいに血がコップでこぼしたかのような流れは無かった。どうやらボルカと比べて出血が少ないようだ。

「あ……ありがとうございます……」

 二人の処置終わったので、一息入れようと思ったが、現在戦闘中と言うことを一瞬忘れていた。

 改めて状況確認する。

 3匹のグリフォンはまた合流していた。変わらず上空から魔法を放っている。

 だが、受けているメンバーがリーアとノンナに変わっていた。どうやら治癒魔法を使っている間に追いついてくれたようだ。レンティの対魔法防御を施したワイバーンスケイルの盾は炎にめっぽう強いみたいだ。普通のグリフォンから放たれる火球は石ころでも避けるかのように簡単に処理している。黒い方の火球は無理矢理軌道を足下に押し下げ、地面に投げ捨てる形で処理している。普段盾を使わない俺は感心しつつ、そういえばダグラスがやっていたなと少し懐かしんだ。

「フミトさん!」

 声を大きくしたいが思ったより出ず、更にはかすれた声で俺を呼ぶ声が聞こえる。

「ボルカ……大丈夫だったか?」

「はい……」

「涙の再会は後だ。行けるか?」

「やらせてください!」

「わかった」

 助かった直後でぬくぬくさせない理由は俺たちが全部グリフォンを倒してしまうとボルカ達に分配が行かないからだ。知らない仲では無いのであげることも可能だがそれでは意味が無い。現実的なことを言えば、彼らの武器防具はかなり破損していた。このまま戻ったとしてもまた一から貧乏冒険者やり直さなければならない。少なくともこの一匹でも倒せればマイナスにはならないだろう。

「全員対処しながら聞け!これからグリフォンを落とす。普通のグリフォンは各々のパーティーで処理してくれ。黒いのは俺がもらう。返事や質問は無しだ。全員全力を尽くせ!」

 そう言うと残り1枚の最高級羊皮紙にペンを走らせる。赤字?そんなこと気にしてられない。それより、如何にしてあの黒いのをブチ殺す事だけが重要だ。

「魔法を発動する。全員、殲滅せよ!オーバーウェルムロックスピアーズ」

 土の上位魔法。範囲内に無差別で岩の槍を降らせる魔法だ。この魔法は近くの土や岩石から組み上げ生成し、上空に飛ばしてから重力と加速を重ねて放つ魔法だ。以外と単純な物理魔法であるが、大量の魔力と気力を消費するのでなかなか使える者が居ない。使ったとしても、防ぐにはかなり硬い魔獣じゃないと防ぐことは難しい。

 だが、さすがグリフォンだ。鷹のように目が良いので、直撃コースの岩の槍を躱していく。だが、無差別と言うのは非情に怖いことだ。どこから来るか、どのタイミングで来るかは全くの不定期。幾つもの槍を避けたグリフォン達だったが、一度喰らい始めると体制を立て直すことが出来ずに次々にと当たる。普通のグリフォンはものの数秒で2匹とも墜落してしまった。だが、黒いグリフォンは魔法耐性が高いのか、直撃しても何とか耐えている。だが、結局は時間の問題。倒す必要はなく、翼を使って飛べなくなればいいだが目的だ。少しすると黒いグリフォンも翼を傷め、片翼でも飛べないかとあがきながら墜落していった。

「突撃!」

「おう!」

「はい!」

 魔法が切れると同時に号令をかける。両パーティーは左右に落ちていったグリフォン目掛けて走りだす。陸に上がったクジラと言えない所がグリフォンの怖い所だ。

 だが、そんなことも気にせず二つのパーティーは突進する。

「風の精霊よ!私の下へ集え!」

 ティアが一帯の風の精霊を集め、パーティーメンバーに風の守りをかける。

「行きます!」

 風の精霊が離れ、グリフォンの守りが薄くなったところでナイアが矢を放つ。ナイアの腕なら風の守りがあろうが、この位の距離なら問題なかったのだが、他の2体にもあるグリフォンの守りも解く必要があったためだ。

 ナイアの手から離れた矢はいとも簡単にグリフォンの右肩に突き刺さる。

「はあぁぁぁぁ!!」

 着弾を確認してからリーアとノンナが走り込もうとする。

 だが、グリフォンは近くに寄らせまいとして火球を二人に向かい放つ。二つの火球という少々難しい事を容易くやってしまう所はさくさに脅威とされている魔獣だけはある。だが、魔法は二人を直撃するが盾で容易に防ぐ。既に二人とも火球の扱いにも慣れ、処理にもたつく事は無かった。だが、足を止めていた防いでいたことで二人は慌てることになる。グリフォンは羽ばたいて突撃してきたのだ。

「あぶないっ!」

 リーアとノンナは爪は盾で、毛や羽による擦り傷はマントで防ぎ、掠めた衝撃は体を跳躍させて威力を逃がす。グリフォンが突進し、盾職を突破したということはレンティとティアに脅威が迫ることになる。だが、グリフォンは突破した後目標を見失い戸惑っていた。

 盾職二人に遊撃が一人、後衛二人の212という陣形ではあるが、ナイアは基本右翼側に付いている。つまり、中央を突破されても両脇がそのまま真っすぐ走るだけで左右が入れ替わっただけの陣形に戻るのだ。それを難なくこなし、陣形を崩さずにグリフォンへと前進する。グリフォンが振り向いた時には既に攻撃圏に入っており、容赦なく武器が振り下ろされる。

 幾つかは爪やクチバシで防ぐが、多勢に無勢、次第に幾つも深くはないが浅い傷をつけられてく。苛立ったグリフォンは大きく羽ばたき後方へと下がる。そして火球ではなく、今度は石球を飛ばしてきた。だが、リーアは火球と同じかのようにうまく軌道を盾でそらし、追い詰めるために構え直す。

「倒すよ!」

 リーアの号令で全員前進しようとした所、発狂したかのようにグリフォンから火球の連続放出が始まった。パーティーメンバーへの攻撃なので、リーアとノンナは慌てず、メンバーに当たるものだけを上手く処理していく。だが、と言うよりやはりグリフォンは再度突進してきた。全員が先程と同じように陣形入れ替えを意識して動き始めた所でそれは起こった。

 突進中のグリフォンは、足を使い無理やり突進の軌道をリーアの方へと変えた。軽く逃げるために重心を移動し何時でも飛べるように準備していたリーアだが、飛ぼうとしていた方向へと突進してくるので逃げることが出来ず直撃してしまう。

「あぐっ!!」

 何とか盾で防ぎ飛ばされるだけで済んだのだが、上手く着地できるはずもなく転がり倒れてしまう。

 グリフォンはその隙を突いてまずはリーアを仕留めるつもりなのだろう。再度突進するために羽を広げる。だが、グリフォンの頭部に盾が当たる。虚を疲れたグリフォンは突進することが出来ず思わず投げられた方向に頭を向ける。その先にはノンナが投げ終わった動作で立っていた。止めを刺すことを止められたグリフォンは更にイラつき、そのままノンナへと向かっていった。

 ノンナはクチバシと爪の連続攻撃を剣だけで何とか防ぎ、耐えている。だが、一撃は非情に強く重い。ノンナの剣はかなり直感に頼っている。だが、その直感も限界があったようだ。

「あれ?!ちょっとまって!まって!」

 魔獣相手に何を言い出すかと思うだろうが、その理由はノンナの手元にある。

 キィンと甲高い音が聞こえ、3分の1を残して折れてしまった。

「あー!折れたー!ってやばいやばい!」

 盾は投げてしまったし、攻撃を受けた剣は折れてしまった。折れ残った部分で取り敢えずは凌いでいるが、グリフォンは勝ちを確信したのか、攻撃てを緩めない。剣先で逃していた攻撃も短くなったので出来ない。避けるだけでは体力の限界に達するのが早くなる。このままではやられてしまうのではないかと思った時だった。

「グギャーー!!」

 不意にグリフォンが叫び声を上げ攻撃が止まる。痛みからグリフォンは暴れ始める。ノンナはこの隙に攻撃圏内から離脱する。

 グリフォンが何故叫びを上げたのかは、攻撃に集中し過ぎてナイアが接近して来たことに気づいていなかったようだ。

 おかげで渾身の一撃をグリフォンに見舞うことが出来、グリフォンの左翼を切り落とすことは出来なかったが、腱を切ることに成功した。

 この間に他のメンバーも動き出す。レンティは吹き飛ばされたリーアの下に向かい、助け起こす。ティアは弓でグリフォンの片目を穿ち、視界を遮る。だが、ここで一番驚いたのはシザーリオだ。遠くで待機してもらっていたはずなのに、ノンナの下まで走り寄っていた。どうやら鞍につけていた槍を渡す為だったようだ。臆病な性格が基本である馬なのに、危険を犯してまで武器を渡しに来る。本当に主人思いの良い馬だと思う。

 リーアとレンティが戻り、隊列を組み直す。

「皆さん!行きます!」

 リーアが最後の止めの号令を上げる。

 レンティはスパーダーアンカーで残った翼を絡めとり、ティアが最後の残った目を穿つ。視界が無くなったグリフォンには容易に近づけ、ノンナが左前足を切り裂き、ナイアが右前足を切り裂く。痛みで耐え切れなく体制が前のめりで倒れてきた所にリーアが喉元を切り裂く。喉の切られたグリフォンは次第に動きが弱くなり、最後には弱々しい悲鳴を上げ絶命した。


 ボルカ達はというと、リーア達より早くグリフォンを仕留めていた。

 血が足りないとはいえ、盾職の誇りがある二人がグリフォンの魔法を防ぎ、突進を躱す。風の守りが無くなったので、弓を持つ4人から一斉に突進で通り抜けられる瞬間撃ち込む。ロングボウのイオタ、ショートボウのオリヴェル・エイト、クロスボウのシリノ。各々が両翼の付け根、両前足に撃ち込む。

 突進が避けられ、グリフォンは止まろうとするが、足の関節に刺さった矢のおかげで力が入らず前のめりで倒れる。その隙を逃さずボルカ達は距離を詰め攻撃を始める。レヴァイト、ラーヴァイトが左右から剣で後ろ足を切る。剣に持ち替えたイオタ・オリヴェル・エイト・へリンクが盾であるボルカ・クルノールの両脇から押し出てグリフォンの両脇腹をそして翼の付け根を再度刺す。痛みにより絶叫を上げ、そして反撃に移るグリフォンだが、振りかざした腕に盾職二人の後ろで控えていたシリノやバルボからの槍が刺さり、攻撃にも移れない。残ったクチバシで攻撃しようと首を上げた瞬間を逃さず、ボルカとクルノールは喉元目掛けて剣を突き刺す。

 突き刺したことを確認した全員は一気に後方に下がり、戦闘態勢のまま相手の絶命を待つ。


 バルボ達の戦闘は、リーア達に是非見てもらいたかったお手本のような連携攻撃だった。都市級冒険者の中にもこれほど連携が取れるパーティーはそこまで多くはないだろう。最後まで気を抜かない辺りも素晴らしい。同じ冒険者として見習って欲しい所だ。

 2匹が絶命するまで黒いグリフォンは俺と対峙したまま動くことはなかった。

「お待たせ。さあ、やろうか」

 そうグリフォンに伝えながらカタナを抜く。

 構えた所でお互いに示し合わせたように動き始める。

 グリフォンの突進が来る。だが、走っての突進だった。少し意表を突かれ、避けるために体制を整える。だが、足を止めた瞬間翼で大きく羽ばたき本来の突進で仕掛けてきた。重心を下げた瞬間なので、このままなら直撃を喰らうかもしれない。慌てて避けるために体を動かそうとした所で、グリフォンが目の前で急制動をかけ、爪で攻撃を仕掛けてきた。幾つものフェイントが重なりその都度対応してしまっていた俺の体制は酷く崩れていた。カタナで何とか攻撃を受け止めるが、大きく弾き飛ばされてしまった。だが、自分でも弾き飛ばされる方向に飛んでいたため、派手に飛ばされた形にはなったが、距離を取って体制を整える時間が作れそうだ。

 だが、そんな甘いことはなかった。火球が目の前にいきなり飛んできていた。慌てて火球を切り裂くと、お馴染みの戦法なのかグリフォンが突進してきていた。

「あぶねっ!」

 今度は急制動せず、通り過ぎていく。なんとかタイミングを合わせて剣を振るが体制を崩したままでは満足に振ることが出来ない。

 たたみ掛けるように攻撃してくるが、避けられなくはない。正直、地に足をつけての爪やクチバシの攻撃が怖い。魔力が高いことに関しては一般的には脅威だが、魔法は知り尽くしている。その上魔法防御も高いので俺に対してはあまり効果がない。普通の攻撃が怖いのは、1撃しか受けていないが、多分普通のグリフォンより遙かに筋肉量が多いのか、密度が高いのだろう。体制を崩していたとはいえ、かなり飛ばされることになったのには少し焦った。

 一呼吸入れた所でまた火球が飛んで来る。今度は複数個、全部で4つあった。全てが直撃コースになっている所がすごいと思うのと、少し苛つく所だ。

 タイミングを計り順に火球を切り裂いていく。ファイアボールではなく普通のファイアボルトだったようで、切り裂いた後の爆散は無かったが、やはり目眩ましとしての効果を狙ったようで、突進してくる。だが、俺は重心を下げ、剣を上段に構える。グリフォンの突進に合わせてタイミングよく剣を振り下ろす。

「せいっ!!」

 体重差は少なくとも数倍以上あるだろう。それが突進するエネルギーに重ねて来るのだ。普通に考えたら突き飛ばされ最悪死んでしまうだろう。

「ギャーー!」

 グリフォンから悲鳴が上がる。悲鳴の理由は左の翼が半分ほどなくなっていた。

 ひとつ前の突進時に右の羽先を切り落とし、翼で滑空するグリフォンの軌道が変わるように仕向けたのだ。案の定突進時の方向がずれ、全力でカタナを振り下ろし翼を切ることが出来た。

 悲鳴を上げつつ、グリフォンは足を使い距離を取る。怯えの色が見えてきたグリフォンは火球と石球を乱発してくる。先程は俺に向かって放出されていた魔法だが、今度は確実に当たるとは言えない方向になっていた。俺はゆっくりとグリフォンへと向かい歩いて行く。魔法の射出する個数が増え始める。増えると同時に方向がより定まらなくなる。一足でたどり着く間合いに来ると、グリフォンは魔法さえ使えなくなっていた。奇声を上げつつ暴れている。

「今度はこっちの番だな。アイスランス」

 グリフォンの顔目掛けてアイスランスを放つ。グリフォンは慌てて顔を背ける。だが、魔法抵抗の高い個体だったようで、あたっても殆どダメージらしき跡は無かった。だが、これは陽動。そむけた顔の逆に走り、カタナを全力で振り下ろした。

 グリフォンは悲鳴を上げる事無く、そのまま倒れる。倒れた衝撃で首が転がり、確実に絶命した事を証明した。




暑くなったり、夜は涼しかったりと、忙しい気候になってきましたね。夏バテには牛乳が良いらしいと聞いたことがあります。お腹を壊さない程度に飲んで頂ければ少しは暑い夏を耐えられるようになるのではないかと思います。後は、出来るならばですが、30分に一口で良いから水分補給した方が良いです。これに関しては夏場でも冬場でも言えることですが。

万年筆は色々と魅力的な色があり、非情に心が揺さぶられています。そんな中、Youtubeでナミキファルコンという動画を見つけてしまいました。文章を書いている者がこういうのはどうかと思いますが、非情にこの動画は万年筆の魅力を伝えてくれます。まあ、おかげでより心が揺さぶられているのですが…。

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