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PROLOGUE

お初にお目にかかります。市村鉄之助と申します。

小説を書くことは初心者ですが、少しでも楽しく読んでいただけたらと思っています。



 かつて神々に世界は愛されていた。人間も、動物も、大地も、海も……

 しかし、神々の多くは世界を滅ぼそうとした。理由などはわからない。多くの説がある。例えば、争いを繰り返す人間に嫌気が差したなどから始まり、人間に恋した神がその恋心から狂ってしまったからという説もある。

 もうはるか昔の話なので確かめることはできないだろう。どんなに優れた魔法使いでも長生きすることができても三〇〇年が限界だろう。

 人々は神と戦い、大地に暮らす多くの種族が神と戦った。亜人、エルフ、ダークエルフがその筆頭である。

 神の中には彼らに味方する者も少なくはなかった。その筆頭が龍だった。

 そして……どこからか現れたのか、『魔族』という種族が現れた。彼らは、当時の人間や亜人、エルフたちが使っていた系統とはまったく別の力を使ったという。

 例えば、炎を生み出し、大地を凍てつかせ、森の木々をなぎ倒したという。

 例えば、魔法を食らったという。

 例えば、自身の何かを代償に神をも超越する力を使ったという。

 彼ら魔族は人間と変わらない姿でありながら、人間を超え、龍や神と同等の力を振るったと伝えられている。

 魔族が人間側に着いたことで神々との戦いは有利に進んだ。

 そして、戦いの中で生まれた英雄たちが決死の覚悟で戦い続けた結果……神々は敗北した。

 この戦いを『神人戦争』と呼ぶ。

 どれくらい続いたか解らない戦いであったが、戦いの後、人間は英雄たちが王となりそれぞれの国を作った。龍は龍族という一つの種族として国を作った。亜人は人間と共に暮らすことを決め、エルフたちは共存する者と静かに森で暮らす者と別れた。

 そんな中、魔族がどうするのかどの種族も注目した。

 どこからか現れ神と龍に匹敵する力を持つ種族である彼らが今度は敵となるかもしれない、多くの者がそんな不安を覚えたと伝えられている。

 だが、拍子抜けするほど魔族は友好的であり、人間との共存を求めたのだった。さらに多くの者を驚かせたのは、王たちが魔族を重要な役職や貴族へ誘ったが彼は一国民として普通の暮らしで満足だと言ったことだった。

 そして月日は流れ、魔族という種族は人間と交わり、消えた。時折、彼らの力を受け継ぐ子供も生まれたと言われているが、その子供がどのような力を持っていたのかは定かではない。

 また、勘違いされると困るので補足させてもらうと、私たち人間を脅かす悪魔と魔族は待った区別の存在である。悪魔にも人間と変わらない種族があるが、それとも違う。

 魔族については多くの説があるが、良く解っていないのが現状だった。

 なぜなら彼らは多くを語らなかったからだ。聞こうとした者が少なかったからとも言われているが、神との戦いで出会い、その後は復興や国を興したりしたことを考えればタイミングがなかったと言ってしまえば仕方がない。


 それよりも、私には気になることがある。

 魔族が加わったことで敗北した神々のことだ。多くの書物、伝承を読み漁り、言い伝えを聞いても、敗北、敗れた、人間たちが勝ったという言葉で終わっている。

 つまり、何が言いたいのかというと……神は死んだのだろうか? それとも封印されたのであろうか? それともただ敗北しただけで、いつかまた戦う時が訪れるのだろうか?

 そう考えてしまうとゾッとしてしまう。

 現在はかつての世界ではない。

 かつての世界がどのようであったかは書物などでしか知ることができないが、それでもお互いに手を取り合っていただろう。

 だが、現在は違う。国と国が争うようになり、龍と人も互いを警戒しあっている。亜人、エルフたちは相変わらず人間と共に暮らす者もいるが、国によっては迫害される国もある。

 もし再び神々と戦うことになった際、彼らが協力することはできるだろうか?

 答えは否だ。断言することができてしまうことが悲しい。

 そして何よりも、もう『魔族』はいないのだ。もし、いたとしても今の私たちには力を貸してくれるとは思えない。

 『神人戦争』が終わってから役二千年がたったと言われているが、二千年もあれば人々は変わってしまう。良くも、悪くも。

 不安要素はまだある。それは神をいまだ信仰する者たちの存在だ。

 『神人戦争』以前は神々は信仰の対象だったが、現在は信仰するものはいない……と言われているが、神を信仰する国や宗教もある。彼らの先祖は『神人戦争』の折には神側に着いた。無論、人間側に着いた神々を信仰する宗教ももちろんある。

 結果的に、問題は今も多く残っている。

 私だけだろうか? 神々がまだ世界を滅ぼす可能性を考える者は?

 私だけの杞憂なら良いだろう。何も起こらずに歴史が進み私が考え過ぎであったなら嬉しい限りだ。

 願わくば、今後の未来に多くの希望と優しさを。


 ウィザード ウィリアム・ザスアート






 パタン、とサミュエル・ルードは分厚い本を閉じた。

 数十年前、賢者と称えられたウィリアム・ザスアートの書物が手に入ったと数日前に古書店から連絡が入り、喜んで大金を払ったのは記憶に新しい。


「だけど、大金を払ったかいはあったな」


 同じウィザードとしてサミュエルにとって彼は憧れだった。多くの人間を、龍を、亜人を、エルフを助け導こうとした偉大なる賢者ウィリアム・ザスター。いつか、自分もそんなウィザードになりたいと夢見た次期もあった。

 ウィザードになることはできた。最年少でウィザードとなったという異例なことまでやってのけた。

 だが、自分はウィザードとして傷つけることしかできない。


「後悔はしていない」


 目的があって選んだ道だ。後悔など微塵もない。

 サミュエルは首を横に振って気持ちを切り替えると、服から懐中時計を取り出す。そろそろ約束の時間だ。


「まったく、何をどうしたら俺がこんな面倒なことに巻き込まれるんでしょうね、師匠?」


 わざと大きな声で言ってみるが、返事は返ってこない。

 徹夜で酒飲みに勤しんでいた師匠は自室で今頃ぐっすりと寝ていることだろう。

 そう思うとイライラしてくる。


「何が悲しくて……英雄様の娘に魔法を教えなきゃならないんだか……」


 窓から空を見上げると、悔しいくらいに良い天気だ。逆に自分の心は曇り空、いや台風だ。

 はぁ、とサミュエルは盛大に溜息を吐いて見せた。


最初なので短いですが、今後は文章を増やしていき、一話一話にボリュームをと心がけたいと思っています。

ご感想、アドバイス、ご指摘などがありましたらよろしくお願いします。

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